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    (野田)

    DONE諸注意
    *これはツキプロ(ツキノ芸能プロダクション)合同舞台『太極伝奇』シリーズの用語や設定、世界観の一部をお借りしたものになります。原作と異なる点が多いので純粋に元ネタが好きな方にはおすすめ出来ません。割と好き勝手やってます。
    *人族(人間)の清麿と獄族(人型の魔物)の水心子の話。いずれ麿水になるけれどその前のおはなし。

    →続く
    →諸注意続き

    *史実の源清麿が自刃した、という説から別人格の清麿も出てきます。スランプになった時とかお酒飲んでそうなったらな〜程度で史実とは完全に別物です。
    *元ネタの世界観は中華ファンタジーみたいなものですがこの話の舞台設定は日本で江戸時代辺りを目安に書いてます。でも目安なので江戸時代風くらいで全部きっちり調べているわけではないのでご注意。
    *この時点ではまだ序盤なので後ほどいろいろと辻褄が合わない部分もあるかもしれません。そのうち続きとまとめることがあればその時に加筆修正します。








     この世界は陰と陽で出来ている。かつては陰(夜)と陽(昼)の天秤が釣り合わず、陰が世界を支配していた。
     陽の存在である人族は陽の光がさすわずかな時間だけ活動し、夜は魔物に怯え息を潜め肩を寄せ合い生きていた。だからこそ『最弱の種族』と呼ばれる。
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    フカフカ

    DONEK2 / T先生と和久井君が待ち合わせしておしゃべりして解散するだけのシリーズの前日譚みたいなやつ / CP要素ない / 3月のいのちのけ~ふで出す予定の再録本の中身から7割抜粋 / しょうもない用事で空港に行ったらかつての養い子に遭遇してワァ~!となったT先生が日を改めて和久井君と茶をしばいている話です / たぶんこのシリーズの和久井君はマジ医者で大人
    白い石で出来ている 和久井譲介は真田との約束通り本当に、 午前十一時に、ホテルのティールームにいた。真田はそれをホテル入り口から目で認めて、すこしばかり愉快になった。
     いくらか古めかしく豪奢なティールームは内装にふんだんに臙脂と金の色彩を散りばめていて、慣れない人間をおのずとはじき出すような印象がある。その中に、白いシャツをぴったり着こんだ年若い人間がいて、居心地悪そうな様を隠しもせず、ひとり用ソファに身を預けている。正面のローテーブル上に白いコーヒーカップが鎮座しているが、足音を抑えつつ近づいて覗くに、カップの中身は大して減っていないようだった。
    「よお」
     背後から声をかける。和久井はゆっくりと真田を振り返り、立ち上がった。何を言うわけでもなく真田の姿をじろじろ眺め、「ああ、なるほど」と言った。それから席を離れて通路側に出て、つい先ほどまで己が座っていたソファを手で指して、真田に「どうぞ」と譲った。
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