那須
ふたくら
DONE那須隊で某アイス店に行く話、あるいは未来のための約束の話。ほのかに甘く、まぶしく光る/那須隊 計画は完璧なはずだった。
初めてのショッピングモール、初めてのアイスクリーム店。相手を知ることが勝利への第一歩。ボーダーで学んだことを忠実に守り、下調べは入念に行った。ホームページでメニューを確認し、フレーバーもサイズも容器のタイプも、すべて決めてここに来た。けれど、そんな那須玲の決意は、あえなく打ち砕かれた。期間限定フレーバーによって。
「ごめんなさい、待たせちゃって……」
「気にしないでください」
「迷うのも楽しみのひとつですよ! 」
優しい後輩たちの言葉に、かえって申し訳なさが募る。かれこれ数分、店前で彼女たちを待たせてしまっている。早くしなくちゃと焦るけれども、なかなか決められない。
「どれと迷ってるの? 」
1945初めてのショッピングモール、初めてのアイスクリーム店。相手を知ることが勝利への第一歩。ボーダーで学んだことを忠実に守り、下調べは入念に行った。ホームページでメニューを確認し、フレーバーもサイズも容器のタイプも、すべて決めてここに来た。けれど、そんな那須玲の決意は、あえなく打ち砕かれた。期間限定フレーバーによって。
「ごめんなさい、待たせちゃって……」
「気にしないでください」
「迷うのも楽しみのひとつですよ! 」
優しい後輩たちの言葉に、かえって申し訳なさが募る。かれこれ数分、店前で彼女たちを待たせてしまっている。早くしなくちゃと焦るけれども、なかなか決められない。
「どれと迷ってるの? 」
ふたくら
DONEホワイトデーの話をする熊谷さんと志岐さんの話。那須さん不在。つやめきに託して/那須熊「ホワイトデーに贈るものって、それぞれ意味があるらしいですよ」
賑わう催事場、ライトブルーで彩られたそれを横目で見ながら、小夜子は言った。
今日は3月14日、遠征選抜試験説明会の翌日。あたしと小夜子は、第1試験の持ち物を買い揃えに近場のショッピングセンターに来ていた。人の多いところだからダメ元で誘った小夜子が、苦虫を噛み潰したみたいな顔で「行きます、人に慣れるためにも……」って言った時はどうなることやらと思ったけれど、やっぱり一人より二人の方が、ずっと楽しい。小夜子も、今のところは大丈夫そうだ。
それはさておき。小夜子の話はちょっと気になる。
「意味って? どういうこと?」
「贈るものによって、相手に伝えたいメッセージが変わる、みたいな話です。たしかキャンディだと好意、クッキーだと友達、マシュマロだと告白のお断り、みたいな」
906賑わう催事場、ライトブルーで彩られたそれを横目で見ながら、小夜子は言った。
今日は3月14日、遠征選抜試験説明会の翌日。あたしと小夜子は、第1試験の持ち物を買い揃えに近場のショッピングセンターに来ていた。人の多いところだからダメ元で誘った小夜子が、苦虫を噛み潰したみたいな顔で「行きます、人に慣れるためにも……」って言った時はどうなることやらと思ったけれど、やっぱり一人より二人の方が、ずっと楽しい。小夜子も、今のところは大丈夫そうだ。
それはさておき。小夜子の話はちょっと気になる。
「意味って? どういうこと?」
「贈るものによって、相手に伝えたいメッセージが変わる、みたいな話です。たしかキャンディだと好意、クッキーだと友達、マシュマロだと告白のお断り、みたいな」
ふたくら
DONEお題メーカー様の「ゼロ距離告白」で書いた那須熊。(お題メーカー様:140文字で書くお題ったー(https://shindanmaker.com/375517))
ゼロ距離で恋して/那須熊 一度捕捉されたら逃げられない。彼女へのそんな評価を耳にするたび、私はなんだか誇らしかった。
けれど、今。その評価を、こんな形で思い出すなんて。
栗色の髪からはふわりと花の香、柔らかな吐息は耳をかすめて。
「くまちゃん、私、今から大事なことを言うから聞いていて」
距離はゼロ、囁くのは震え声。伝播する緊張に閉じかけた目を、しっかりと開く。
逃げられない、逃げたくない
187けれど、今。その評価を、こんな形で思い出すなんて。
栗色の髪からはふわりと花の香、柔らかな吐息は耳をかすめて。
「くまちゃん、私、今から大事なことを言うから聞いていて」
距離はゼロ、囁くのは震え声。伝播する緊張に閉じかけた目を、しっかりと開く。
逃げられない、逃げたくない
ふたくら
DONEお題メーカー様の「無理をするのは得意」で書いた那須熊。(お題メーカー様:140文字で書くお題ったー(https://shindanmaker.com/375517))
うちがわの赤/那須熊無理をするのは得意だった。
正しく言うなら、無理をしていないふりをするのは得意だった。自分にも、周りにも。
今はもうそんなことはしないけれど、ままならぬ体に納得ができていなかった幼い頃、たまの外遊びではしゃぎすぎては体調を崩してしまうのが常だった。心配する母の言葉を振り切って、大丈夫、まだ大丈夫、私は元気だからって言い聞かせて。騙し騙し。けれど楽しい時間の終わりはいつも、喘鳴の音が連れてきた。
無理をしていないふりをするのは得意だった。
けれど、もう。
「ほら、無理しないで休んで」
穏やかだけれど有無を言わせぬ説得力のある声に、そうねと肯定を返して私は体を横たえる。
あなたの手によってかけられた毛布が、少しずつ私をあたためる。覗きこむ深い緑、私より私のことを知っている瞳。
403正しく言うなら、無理をしていないふりをするのは得意だった。自分にも、周りにも。
今はもうそんなことはしないけれど、ままならぬ体に納得ができていなかった幼い頃、たまの外遊びではしゃぎすぎては体調を崩してしまうのが常だった。心配する母の言葉を振り切って、大丈夫、まだ大丈夫、私は元気だからって言い聞かせて。騙し騙し。けれど楽しい時間の終わりはいつも、喘鳴の音が連れてきた。
無理をしていないふりをするのは得意だった。
けれど、もう。
「ほら、無理しないで休んで」
穏やかだけれど有無を言わせぬ説得力のある声に、そうねと肯定を返して私は体を横たえる。
あなたの手によってかけられた毛布が、少しずつ私をあたためる。覗きこむ深い緑、私より私のことを知っている瞳。
ふたくら
DONEハロウィンに、隊の皆と一緒に放棄地帯の遺品回収に向かう那須さんの話。・ボーダーの行事の捏造があります
・三門市民が出ます
・何でも許せる方向け
枕辺に花は飾らない/那須熊「玲、そういやホラー映画って観ないよね」
私の部屋、本棚の一番下、並んだDVDを眺めながらくまちゃんが言った。
「そうね」
「なんで?もしかして怖がりだったりする?」
からかうでもなく、いつもの調子で尋ねる彼女に、私は曖昧に肯く。
「ふふ、そんなところ」
その反対なのだとは、言えなかった。
私たちはあまねく死者になる、遅かれ早かれ。
珍しく点けっぱなしのリビングのテレビが、ここではない遠くのニュースを伝えている。今日はハロウィンで、シブヤでは、混雑を見越して既に警戒体制が敷かれているらしい。量販店の衣装売場前で、前のめりにインタビューに答える若い男性たち。
「玲、出られそう?」
玄関から聞こえるくまちゃんの声に「今行くわ」と答えて、テレビを消す。ハロウィンの前に、私たちにはやるべきことがある。
5510私の部屋、本棚の一番下、並んだDVDを眺めながらくまちゃんが言った。
「そうね」
「なんで?もしかして怖がりだったりする?」
からかうでもなく、いつもの調子で尋ねる彼女に、私は曖昧に肯く。
「ふふ、そんなところ」
その反対なのだとは、言えなかった。
私たちはあまねく死者になる、遅かれ早かれ。
珍しく点けっぱなしのリビングのテレビが、ここではない遠くのニュースを伝えている。今日はハロウィンで、シブヤでは、混雑を見越して既に警戒体制が敷かれているらしい。量販店の衣装売場前で、前のめりにインタビューに答える若い男性たち。
「玲、出られそう?」
玄関から聞こえるくまちゃんの声に「今行くわ」と答えて、テレビを消す。ハロウィンの前に、私たちにはやるべきことがある。
ふたくら
DONE那須熊嵐への感謝と解釈を込めました。あの苛烈な攻撃の裏にあったものがこうだったらいいな、という妄想です。荒野に火は灯る/那須熊 許せない。
こぼれた言葉は、自分のものとは思えないほどの激情を孕んでいた。
「玲、大丈夫?」
ベッド脇、年季の入ったスツールに腰かけて、くまちゃんは私に尋ねる。そろそろ買い替えようかしら。くまちゃんの長い脚が窮屈そうに折りたたまれているのを見るたびに思うが、遠出できる日が限られているのがもどかしい。
「大丈夫、心配かけてごめんね」
くまちゃんが運んできてくれたマグカップを手に取りながら答える。鼻孔を擽るのはほのかな桃の香りで、口に含むと品のある甘さが広がり、喉から体全体を温めてくれるよう。ベッド脇に置かれた簡易テーブルの引き出しにはピーチティーだけでなく他にも色とりどりのティーバッグが揃っていて、その全てが那須隊の皆が持ってきてくれたものだった。ちょっとしたお土産に、と渡されたそれは日を追うごとに増えていき、今や引き出しの一段まるまるを陣取っていて、私はそれを見るたびに嬉しいような恥ずかしいような、くすぐったい気持ちになる。駅ビルの雑貨店で買ってきてくれたものも、私の体では行くことも叶わないであろう有名店のものも、私には等しく大切だ。
7998こぼれた言葉は、自分のものとは思えないほどの激情を孕んでいた。
「玲、大丈夫?」
ベッド脇、年季の入ったスツールに腰かけて、くまちゃんは私に尋ねる。そろそろ買い替えようかしら。くまちゃんの長い脚が窮屈そうに折りたたまれているのを見るたびに思うが、遠出できる日が限られているのがもどかしい。
「大丈夫、心配かけてごめんね」
くまちゃんが運んできてくれたマグカップを手に取りながら答える。鼻孔を擽るのはほのかな桃の香りで、口に含むと品のある甘さが広がり、喉から体全体を温めてくれるよう。ベッド脇に置かれた簡易テーブルの引き出しにはピーチティーだけでなく他にも色とりどりのティーバッグが揃っていて、その全てが那須隊の皆が持ってきてくれたものだった。ちょっとしたお土産に、と渡されたそれは日を追うごとに増えていき、今や引き出しの一段まるまるを陣取っていて、私はそれを見るたびに嬉しいような恥ずかしいような、くすぐったい気持ちになる。駅ビルの雑貨店で買ってきてくれたものも、私の体では行くことも叶わないであろう有名店のものも、私には等しく大切だ。
ふたくら
DONE那須隊バレンタインの話。本編時系列(B級ランク戦)の一幕です。
那須隊、皆でいっぱい楽しいことしてくれ〜!
※後半那須熊
チョコレートは酸っぱくない/那須隊 手作りお菓子の期限は短い。
2月14日。その日が近づいて来ると、ボーダーもランク戦の真っ只中ではあるけれど少しだけ浮つきはじめる。友達同士の交換の方が多いみたいだけれど、その中に時たま本命チョコの話も混ざっていて、皆ちょっぴりそわそわしている。
そんな中で、私は苦い記憶を思い出す。
小学生の頃、クラスの友だちにあげようと手作りしたチョコレート。バレンタイン当日からしばらく発作で行けなかった学校。ごめんなさいと謝りながら、事前にラッピングしていたそれらを捨てたこと。お母さんが、ごみ箱の前で泣く私の背を撫でてくれたこと。手作りお菓子の期限は短くて、機を逃すとそれらはすぐ行き先を失ってしまう。その年から、私はチョコレートを準備するのをやめた。当日調子が良ければ買いに行って、お父さんや友達にあげたり、それだけ。それだけの一日だった。
33062月14日。その日が近づいて来ると、ボーダーもランク戦の真っ只中ではあるけれど少しだけ浮つきはじめる。友達同士の交換の方が多いみたいだけれど、その中に時たま本命チョコの話も混ざっていて、皆ちょっぴりそわそわしている。
そんな中で、私は苦い記憶を思い出す。
小学生の頃、クラスの友だちにあげようと手作りしたチョコレート。バレンタイン当日からしばらく発作で行けなかった学校。ごめんなさいと謝りながら、事前にラッピングしていたそれらを捨てたこと。お母さんが、ごみ箱の前で泣く私の背を撫でてくれたこと。手作りお菓子の期限は短くて、機を逃すとそれらはすぐ行き先を失ってしまう。その年から、私はチョコレートを準備するのをやめた。当日調子が良ければ買いに行って、お父さんや友達にあげたり、それだけ。それだけの一日だった。
NARI
DONE #1番目にリプ来たキャラに2番目にリプ来たキャラの服を着せるみかみかに那須さんの服を着てもらいました🥳
今回もいただいたリプライが抜群でしたね…!組み合わせが神でした😇🙏
楽しく描かせていただきました♡
nemu_nchu
SPOILERヨガのやつまじでなんでこんな宣伝してるんやろて思ってたけど見たら納得する元太たまに那須くんにみえる時ある
中学生しゅーやの分け目じわる
隣にいたオタクが結構序盤から号泣してた
1人で見に来てるおじいちゃんもいた
5fOnAUC9JgLgwME
DOODLEワールドトリガーの那須さんとくまちゃん。那須さんはいつも綺麗に微笑むけど、くまちゃんといるとくしゃって笑って欲しい。とか、みれそうな落書きを何枚か…那須熊+那須隊1枚 6fukamm3116
PROGRESS前に上げた当真誕生日話の後日談で各方面(荒船哲次の場合、那須隊の場合、夏目出穂の場合、当真勇の場合、冬島隊の場合)を書こうとしていてふと思いついたので東春秋の場合をメモしたら意外といい感じになったので自己満の為に載せます(長い)あくまでメモ段階なので文脈は繋がってません、雰囲気
東春秋の場合何にせよ、放浪癖のある彼を縛り付けるものが増えたことは喜ばしいことだ。
気づけばいなくなってしまいそうなフラフラとした、あるいは飄々とした歩き方。
あちらからフラリと近づいて来たかと思えば、今度はこちらが近づき過ぎるとするりと逃げてしまう。
まるで仲間の馴れ合いを嫌う猫のようなその性格。
彼は時々今では弟子となった彼女の事を、意識的か無意識か「うちの子猫が」と呼び表すことがある。
それに東は首を捻らざるを得ないのだ。
夏目は確かに猫好きで、猫のような特徴的な瞳をしているがその中身はどちらかと言えば犬に近い。
誰とでも仲良くできる明るい性格。
ハッキリ自分の意思を持ち、口にすることが出来る素直さ。
そして意外と、と言っては失礼かもしれないが礼儀正しい。越えてはならない一線は超えてこない。
475気づけばいなくなってしまいそうなフラフラとした、あるいは飄々とした歩き方。
あちらからフラリと近づいて来たかと思えば、今度はこちらが近づき過ぎるとするりと逃げてしまう。
まるで仲間の馴れ合いを嫌う猫のようなその性格。
彼は時々今では弟子となった彼女の事を、意識的か無意識か「うちの子猫が」と呼び表すことがある。
それに東は首を捻らざるを得ないのだ。
夏目は確かに猫好きで、猫のような特徴的な瞳をしているがその中身はどちらかと言えば犬に近い。
誰とでも仲良くできる明るい性格。
ハッキリ自分の意思を持ち、口にすることが出来る素直さ。
そして意外と、と言っては失礼かもしれないが礼儀正しい。越えてはならない一線は超えてこない。
o3ka_sala47
DOODLE第二話!鋼さん来た!中も外も戦闘シーン滾る、特に今回は遠征艇防衛組と三輪米屋組の戦闘が!
那須くまちゃん組、外組はこれからに向かってが楽しみな感じになってたし、ヒュースも、あー早く来週見たいな!
ワートリ推しが多いけど最推しは鋼さん。
僅差でカゲ荒船さんヨーコちゃん、セットになると爆上がりするヒュースと陽太郎とか、チームになるとやっぱり爆上がりする玉狛第2ああ文字数
20210117