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    MAIKING「説明できない」53.地底・下
    赤クロ青ロレの話です。
     ゴネリル領のすぐ近くに異世界としか言いようのない空間が広がっていた。広大な空間には芸術に詳しいイグナーツですら見たことがないという建築様式の建物が見渡す限り連なっている。ローレンツにはよく理解できないが内部の機構は素晴らしいらしく好奇心旺盛なクロードがいちいち言及していた。

     こんな風にクロードがはしゃいでいたのは五年前、儀式へ参加するために聖墓に皆で降りて行った時以来だろうか。あの時もクロードは地下に降りるための仕掛けの動力源が何であるのかを気にしていた。あの時ローレンツは動力源は魔道に決まっていると思い込んでいた。

     魔道を利用して何かを動かせば痕跡が残る。修道院は魔道研究の場でもあるのでそこらじゅうに痕跡が残っており痕跡など気にも留めなかった。だがここはおかしい。こんな広大な空間に黒魔法の痕跡が全くない。黒魔法を使っていないとなると人力や牛馬などであらゆるものを搬入し組み立てたことになる。動力源は一体なんなのだろうか。ローレンツはそこに大きな深淵があるような気がした。施錠された部屋に設置されていた巨大な兵器が闇魔法で動いているのが分かってむしろ安心したほどだ。
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