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    図書室

    amazake_oisii

    PASTだいぶ昔に思いついた、財前と図書室でのお話
    甘くないし話が長い割に言いたいこと何にも言ってない
    放課後の図書委員は暇である。貸出と返却のシートをまとめてしまえば、後は図書室にやってくる人を迎えるくらいしかない。しかし、新入生歓迎イベントも終わり、テスト期間にはまだ早いこの時期の放課後に訪れる客などいる訳もなく。1週間の終わりである金曜の午後は開放感を加速させ、ともすれば5月の心地よい風に溶けてしまいそうだ。
    『えげつない顔してはりますね、顎取れるんとちゃいます』「うわっっ!!!財前おるんなら言ってや…………めっちゃびっくりしたわ…」『いや、言っても何も俺も今日の当番なんすから来るんわかるやろ』奴は仏頂面を崩さずにそのまま隣にスっと腰かけた。いや、それにしてもなんかあるやろ…挨拶しろとは言わんけど、ほら、なんか入ってきましたよ~みたいな…さ……… プライベートな空間を崩されたことと全表情筋を使って口を開けた豪快な欠伸を見られたことの恨めしさで、じとーっと横を睨んでみる。が、その元凶たる本人は残りの返却シートに目を通し、サラサラと手を進めている。全くなんなんだ。こちとら将来嫁の貰い手がつかないかもしれないなんていう人生の局面に立たせれとんねんぞ。ムフーっと鼻から大きく息を吐き出し、隣 1425

    ほしいも

    DONE図書室デートをしている猗窩煉

    ■女子高生同士
     放課後の図書室。
     終礼のチャイムが響いたら、二人揃って同じ教室を後にする。図書室までの一階と数百メートルの距離を彼女の手を取って歩むのが、在学中で最も繰り返したデートコース。

    **

     三回巡らせた季節。四季の移ろいでデートコースの景観は随分と違って見えた。陽が長くなったとか、窓を開け放って流れ込んでくる風が気持ちいとか、夏を前に制汗剤の香りがするとか、冬の廊下は外よりも寒いだとか。特別な場所に行くわけではない、それなのに、私たちにとっては立派なデートだった。

     夕陽が差し込む図書室に通うのは、私たちだけではない。二、三年生の姿が多く、それぞれに自主学習へ耽ったり、本の世界に没頭したり、居眠りをしたりして自由に過ごしている。図書室は常に開かれていて、拒むことなく全ての生徒を受け入れてくれている。

     彼女は、家で待つ家族に図書室通いの事を、付き合っている彼女と蜜月を過ごしている。などとは言えず「受験勉強」という四文字で断りを得ていた。
     私はというと、世話になっている施設が門限さえ守りれば後は自由に過ごして構わないという放任主義だったので、完全下校の19時を知らせる鐘が鳴るまで 1447