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    ネオン

    irisbff14

    MAIKINGキネオンリー展示作品だったもの①です。おそらく来年夏に出すであろう次の本に入る予定の話のちら見せ。オンリー期間中のみ公開していたのですが、剣盾三周年記念に常時公開に変更します。
     気まぐれマイキャット/Thank God It's Friday気まぐれマイキャット

    ネズという人間は、最高にカッコいい。それは今では半同棲という言葉に置き換わったゆるいルームシェア生活の頃から…否、ネズという人間の魅力をオレが認識した時から常々思っていた事だった。強くしなやかで、しかして繊細な芯を持った男。ともすれば折れそうな細身の体に確かな意思を秘め、唯一試合が広く興行化されないジムながらガラルで二番目に強いジムリーダーの座を守り続けてきた男。タチフサグマのような反骨精神を、ズルズキンのような気性の荒さを、カラマネロのような聡明さを、スカタンクのような執念深さを、ストリンダーのような二面性を持った男。
    しかし、晴れて恋人の座を手に入れてから気づいた事がある。ネズは、カッコいいのと同じくらい可愛いのだ。元々ネズはあまり自己評価が高い方ではない。それは彼の歌の歌詞にも如実に表れていたし、付き合い始めてからも「おれがお前みたいな人気者の恋人だなんてお前のファンに刺されませんかね?」なんて真剣な顔で言う。むしろガラルのロックシーンを牽引するスターと付き合っているだなんて刺されるのはオレさまの方だと思う。懐に入れた人間には甘い男だというのは知っていたが、甘やかされるのは慣れていないと彼自身無意識に線を引いていた所があった。
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    13_rooms

    DONE学生ネロ×作家ファウストで、ネロがファウストに自分の片腕をひと晩貸してあげる話。設定は川端康成の「片腕」のパロディです。
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    ネロ×ファウスト現パロwebオンリー「ネオンの現に祝杯のファセット」開催おめでとうございます!遅刻してすみません!
    アンディーヴと眠って「先生、眠れないの?なら片腕をひと晩貸してやろうか」

     先生、と僕を呼ぶ彼は、右腕を肩からはずして、それを参考書のうえに置いた。僕はおもわずあたりをみわたす。旧い喫茶室は昼間でも薄暗く、煙草の煙で視界がわるい。おまけに狭い店内のあちこちによくわからない置物や観葉植物が置かれているせいで、僕らの席は完全に死角になっているようだった。(もっとも、この店の主人も客も、他人に興味を払うような性質ではないのだけれど)
     ネロは残ったほうの手で頬杖をつき、僕のほうをじっとみつめた。都内の私立にかよっているという彼は、大抵学校帰りの制服姿でこの店にやって来る。着崩した指定の上着となにかのロゴがはいったTシャツ、フィラのザック、履きつぶしたコンバース。けれども今日はそのシャツの片袖が、萎れた花みたいにうなだれている。僕はテーブルに置かれたものに眼をやった。どこをどうみても、それはやっぱりネロの右腕だった。中指にできたペンだこはみなれたものだったし、手首につけたリストバンドはいつも彼がしているものだ。だというのに、彼の手を離れたそれは、酷く馴染みのない置物のようにみえた。例えば博物館の硝子ケースに飾られた化石や恐竜の骨みたいに。いや、この場合、文字通り手が、離れたのか。ぼんやりとした頭で、つい、くだらないことを考える。
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