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    edF1X2

    DONE麟修
    https://twitter.com/edF1X2/status/1488662471934345217?t=nMQ27KB00WFkg_w6d3v5Dg&s=19
    これ。基本捏造しかない
    いつものふたり。たぶん、その日も雨が降っていた。

    麟児のどこか冷たさをまとった低い声がいつもよりハッキリと聞こえたと嬉しく思ったからだ。
    ぽつりぽつりと傘を叩く雨音に溶け込むように穏やかに麟児は話す。他人と話す際にはない温度を傘の内側で感じながら顔に出さないように前を向いていた。
    「お前がこの前言っていた橋が映るんだろう?」
    「え、あっ、はい。フライヤーに載ってたのでおそらく」
    海を越えたとある国のとても大きな橋がロケ地となる。そう教えてくれたのは同じく海を越えた先で働いている父だった。だが日本での公開は一ヶ月ほど遅れると知り、当時いつになくテンションを上げて麟児に話していたことが修は少しだけ恥ずかしかった。
    その映画のコマーシャルがテレビで流れたようで麟児はなんでもないように修へと話を振ったのだ。一ヶ月も前に話した、麟児の興味では無いような映画の話を覚えていてくれたことにのぼせる頭を傘の外へと傾ける。そんなことをしたって顔が赤いのはバレているし、なんなら傘の中の温度さえも上がったように感じて足が止まってしまいそうだった。
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    sirasu810

    DOODLE麒麟ギ主上ぐだverの十二国記パロ、くっつき台輔の小話。うまく具現化できなかったけど、お題ポストありがとうございました!
     天と地を貫くかのようにそびえる凌雲山りょううんざん萋州国さいしゅうこくにおいては峯抄ほうしょう山と呼ばれるそのいただきには、王の居城、峇水宮こうすいきゅうがある。この宮を遥かな高みから見下ろすことができたなら、湖のように広がる浅葱あさぎ色の屋根が、本物の水池と重なりながら、典雅な橋の数々によって結ばれている玲瓏れいろうな光景を眺めることができるだろう。
     地にあれば山の頂は天と同じに遠く、頂にあっては地上の街明かりは砂粒のように小さい。それぞれは雲海によって隔絶された別世界だった。それでも宮の庭院にわに芽吹き枝伸ばしている植物たちは、照るの変化を敏感に汲み取り、地上と同じように春には春の、夏には夏の花を咲かせ、見る者たち(その多くが寿命から離れた仙である)に生命の循環があることを知らしめる。王の私室に面した場所に植えられていた空木ウツギもまた、真白の花を満開にしていた。夏の訪れを告げる落葉樹は、陽が落ちれば月光の下、夜風に葉を揺らす。この時期の風に含まれる熱と湿り気は、こずえの合間のみならず、室の中にも流れ込んでいた。
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