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    シャモ

    nbsk_pk

    DOODLE転生現パロ記憶あり。博が黒猫で花屋の炎さんに飼われている。博猫さんは毛づくろいが下手すぎてもしゃもしゃにされたのを自力で戻せないので、原因にブラッシングを要求しました
    ねことのせいかつ いくら朝から店を閉めているとはいえ、生花という生き物相手の職業であるためやらなければならない作業は多い。ましてや今回の臨時休業の理由は台風、取引先各所への連絡から店舗周辺の点検と補強までひと通り終わらせたときには、すでに窓の外にはどんよりとした黒い雲が広がり始めていた。


    「ドクター?」
     店の奥にある居住スペースの扉を開けても、いつものようにのたのたと走り来る小さな姿はない。しん、とした家の気配に嫌な予感を募らせたエンカクがやや乱暴な足取りでリビングへと駆け込んだとして、一体誰が笑うというのだろう。なにせあのちっぽけな黒猫はその運動神経の悪さに反して脱走だけは得手ときている。植物や薬剤をかじらないだけの聡明さはあるというのに、頑として水仕事で荒れた手のひらで撫でられねば一歩も動かないと主張する小さな生き物に、どれだけエンカクが手を焼いたことか。だがエンカクの心配をよそに、雨戸を閉めた仄暗い部屋の中で黒猫はあっさりと見つかった。キッチンの出窓、はめ殺しの小さな窓には雨戸もカーテンもないため、今にも落ちてきそうなほどの暗雲がよく見て取れた。自身が抱いているものを安堵とは決して認めないものの、やや歩調を緩めたエンカクは窓の外をじっと見つめたまま動かない黒猫の背にそっと立つ。
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    kxxx94dr

    DONEΔドラロナwebオンリー、開催おめでとうございます!

    これは約1年前、アニメを見てどハマりし勢いで書いたものになります
    なのでΔ未履修の時です
    94で初めて書いたものなので色々おかしいこともありますがせっかくなので

    シャモさんのこちらのイラストからです
    https://twitter.com/shamo_dr/status/1479138526537330688?s=20&t=aVkOYwRE
    Bubble「ドラ公! 俺も!」

     え、と振り返ったドラルクが見たのは、高く舞い上がった水飛沫だった。ぐっしょりと濡れて額に張り付く髪をかき上げると、目の前には随分と機嫌が良いロナルドが湯の中で笑っているのが見えた。いくら大きめのバスタブとはいえ、さすがに大の大人が向かい合って入れば、膝が当たり大分狭くは感じる。
     普段は自分から入ろうとはしないくせに珍しいこともあるのだと眺めていると、再びキラキラと光を受けた雫が目の前に散らばって肌の上で弾けて消える。あ、と声にする前にパシャという音と、からからと楽しそうに笑う声が浴槽に響いた。

    「ははっ、どんくせぇな!」
    「ロナルド君!? さっきから何なのだね!?」

     怒鳴ったところで愉快に笑う声だけが返ってくるだけだった。あははと笑いながら、再び手のひらで水を掬っては散らばしていく。指の隙間から溢れる水滴が、鮮やかな彼の爪先を濡らして怪しく光っていた。
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    みちとせ🍑

    DONEしゃもさんのお誕生日祝い いつもありがとうございます𝑳𝑶𝑽𝑬
    龍狐AU忘羨の絵とても好きなのでそれの三次創作詰めみたいな何かです🌟
    今→回想→今、的な流れの場面飛び飛び
    お誕生日……お誕生日!?となり帰宅後に慌てて書きました誤字脱字謝罪……
    此処にいる理由「あ~……流石に、しくじったかな」

    洞穴の奥深く──洞穴というにはもう、原型を留め切れていないその場所で、彼はひとり呟いた。山の地脈に溜まっていた水が崩落の影響で染みだしているのか、不規則な水音が何処からか聞こえてくる。ぽたぽたと鳴り止まないそれが精神すらも蝕んでいくようで、ぶるりと身体を震わせた。濡れそぼった衣のせいで身体をいくら縮こまらせても寒い。寒くて、寒くて、本当に自分はひとりなのだと実感させられる。

    九つの尾を持つ彼の名前は、魏無羨。
    夷陵の山の奥深くで人々から後ろ指を指されながら暮らしていた彼は今朝、山の地鳴りで跳び起きた。連日の雨で緩んだ土盤が震動し、脆くなった箇所から次々に土砂が崩れ落ちていく。不味いことになると悟った魏無羨は住処を飛び出すなり麓の村近くまで駆けだして──今にも村に襲い掛かろうとしていた大量の土砂を自らの力で何とか食い止めたのだ。
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