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    ダイジェスト

    tamagobourodane

    DOODLE元の世界に帰れなくなっちゃった晶くんが全部忘れたフィガロの家の近くに住んでいる話
    フィガ晶♂

    点滴効果はないよ!

    注意書き↓
    ※ループものの最初のルートとして考えていたお話の最初のところです。
    2周年読んだ感じ、2章の方向性次第ではプロットごとさよなら(あーん)かもしれないのでどんな話だったのか、最初のとこだけダイジェスト風にして置いておきます。
    2章の雰囲気次第では長いやつとしてぜんぶ書くかも?



     子供の泣く声が響いている。
     今しがた細い若木のような腕に差したばかりの注射針を鉄製の容器の中に戻しながら、フィガロは単純に元気な子供だな、という感想を抱いていた。若い生命は小さな痛みも大きな危機のように捉えて、助けを求める声を上げるエネルギーを惜しまない。隣では子供の母親が決まり悪そうに身体を竦めていて、時折その小さな背中に触れていた。我が子の行儀が悪いと思っているのかもしれない――医師としてはそんなことは気にならなかったのだが。医者の処置を受ける時の子供というのは、得てしてこんなものである。
    「痛いの我慢して、よく頑張ったね。ちゃんと毎日薬は飲むんだよ」
     子供にねぎらいの言葉をかけながら、フィガロは傍らの薬の包みを取ってそれを紙袋に入れると、母親に向かって差し出した。
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