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    昔話

    sakatori

    MEMOWT 村たぬ(穂半)
    アクスタ企画用に書いた小話の再録です。鈍足さんの昔話をイメージした小話(三次創作)です。
    素晴らしき元ネタ: https://min.togetter.com/VyIMJyV
    (全体公開 2021年4月24日)
    アクスタ企画用村たぬ(穂半)「伸びてきたな爪が」
     縁側でまどろんでいると男の声が聞こえた。床の上に放り出した自分の手足を見ての言葉だというのはすぐに分かったが、少年は黙って目を細めた。返事をする代わりに欠伸を漏らす。
     男に指摘されて初めて、今まで指先など気にせず過ごしていたことに少年は気づいた。以前は大半を野性の姿で過ごしていたからだ。それに爪なんて自然に削れるし、伸びたら折れたり剥がれたりするものだという認識しかなかった。
     男は少年に寄り添うように座り、その小さな手を取った。春の日差しのような温もりが掌に接する。水でも触っていたのか、それとも何か作業をして汗をかいたのか、その大きな手は湿り気を帯びていた。
     感情の抑揚が少ない男の切れ長がじっと少年の手を見つめている。同い年の仲間より小柄であるという自覚はあったが、男の手と比べると大人と子供のような差がある。年齢はそれほど変わらないにもかかわらずだ。そんな一回り半ほど小さな手を握った彼は飽きもせずにじっと見ている。
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    nicola731

    DOODLE「自分のふるさとの昔話を調べてみましょう!」
    謎時空での俺モブ×道満の話です。そんなヤバイ彼氏やめて俺にしろよ道満。
    やまりさんと話した結果ヤバイ晴明さんに托卵される俺モブです。
    ある時。山間にある村の庄屋に美しい人の形をした何かが嫁いだ。庄屋が言うには、その人は山から下りてきたらしい。
     その人は鬼と見紛うほどに背が高く美しかった。雪の積もった谷間を過ぎる夜の川に似ている長い髪を流して、見上げるほどに背が高く、恐ろしく力が強かった。村人達はその人を「御寮人」と呼んでいた。
     先代から家を継いだばかりの若い庄屋が山の中で出会い、天女のように清らかで輝くように美しいその人を「ぜひ妻に」と切望したのだ。それを了承して、山を下りてきたその人は内儀となった。
     今にしてみれば恵まれた体躯と綺麗な顔をしているその人は、人では無かったのかも知れない。
     乞われて田畑を耕せば、御寮人は男の十倍は耕した。読み書きはおろか漢詩を幾つも諳んじることができた。薬学や医術にも詳しく、村人の中には命を救われた者も少なくは無い。庄屋は良い嫁御を貰ったものだと、村中の人間が頷き合った。御寮人から見れば庄屋は子供のような背丈だったが、二人は仲睦まじく、十年も経たないうちに子供を十人も作った。御寮人は畜生のように双子や三つ子を産んだ。産んだ子供はどれも美しく、父親に似ている者はいなかった。
     御 1900