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    アドベントカレンダー

    waremokou_2

    DOODLE全然間に合ってないアドベントカレンダーネタです。
    ネヤネ:ほんのきまぐれ「これ買ぉてやあ」
     くい、とジャンバーを引かれる感覚に、三毛縞はなんとなく眺めていたワインの紹介ポップから力の方へと目線を下ろす。小さな赤と黄色の目が二対、ジッと三毛縞を見上げながら、なんとかこの交渉を成立させようと強い眼差しで訴えかけていた。
    「なァに二人して持ってきたんだよ」
    「これなあ、おかしはいってるねん!」
     ずい、と差し出されたクリスマス仕様の大きな箱は、この店の中でも一番目を引くディスプレイで陳列されていたものだ。三毛縞はもちろんその商品が何であるか知らなかったが、カレンダーじみたデザインになんとなく、どういったものかは理解できた。小さな手に握られた大きな紙箱をぐるりと眺め回し、再び二人に向き直る。この子供たちが、この商品が普段買ってもらっているようなお菓子でないことを正しく理解しているのか確かめておかねばならない。まあ三毛縞は黒柳誠と違い、こういった物事に大らか――黒柳誠曰く、杜撰である。財布の出どころを黒柳誠に頼り切っているとはいえ、たかがお菓子の箱一つずつくらいと言ったところだが、黒柳誠はけしてその限りではない。ケチくさい、というより生真面目なのだろうと三毛縞は思う。やれお菓子を夕飯前に食うなだとか、ルールには従えとか。弁護士としての職業病というより、黒柳誠の性質が弁護士としてちょうど良かった、という方が正しいほど、彼はルールに忠実だった。これで三毛縞が今、ろくな説明もなしに買い与えてしまえば、文句を言われるのは三毛縞当人である。しょうがない、とは思いながら小さな目線を受け止めるため、よいせとしゃがみ込み二人の子供に向き合った。
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