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    ロバ耳

    DOODLE一緒に暮らすうちに宗教観と死生観と金銭感覚がバカなってしまった譲とテツの話を書きました。
    みんな大好きメモリアルダイヤモンド!(まだなってません)(死臭の強い話ですがまだ死んでません)
    またしても何から注意喚起したらいいかわからないので、なんでも許せる人向けです。
    Happily Ever After「徹郎さんの宗派ってどこですか」
     譲介の忌憚なき問いかけに、徹郎は怪訝そうな視線でもって応じた。
    「俺が神なんてもんを信じてるように見えんのか?」
    「思想信条の話じゃなくてご実家の話です」
    「ンな昔のこたァ忘れたね」
     徹郎は気だるげな様子でベッドに横たわっていた。二人きりの病室。周囲を囲む物々しい機械の数々。専門知識がなければどれがどこに繋がるか見当もつかぬであろう大量の管。譲介はその間に紛れるようにしてベッド横のパイプ椅子に腰掛け、布団の上の空きスペースに頭を預けてぐんにゃりと力を抜いている。
     清潔を保たれているはずの病室にはぼやけた疲弊の匂いが停滞し、燦然と輝くLED灯の下であってもどこか薄暗く見えた。何を隠そう、譲介はとんでもなく疲れていたのだ。ここ暫くまともに眠れておらず、清潔を保つためにシャワーを浴びに帰る他はほとんど仮眠室と医局、そしてこの病室をローテーションしながら暮らしていた。同僚からも朝倉からも徹郎からも再三帰って寝ろと促されていたが、どうしても積極的に帰宅する気にはなれなかった。
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    suzumi_cuke

    DONE20230401祝月島誕。月島基軍曹殿、お誕生日おめでとうございます!
    祝い続けて3年目。誕生日のことはチラッとしか出てこないいつもの鯉月です。

    正直なこと言うと、潔く散るよりも泥臭く足掻いて足掻いて見苦しくても生き残る鯉月が好きなので、「桜か?」って言われると「いや…?」って気持ちもあるんですが綺麗なものを見て好きな人を思い出すのってなんかいいよね頭が春だねってことで許してください(言い訳)
    護花鈴の胸中 鯉登が陸軍大学校を卒業した翌年のことである。
     重要書類の受け渡しと諸々報告のため、遣いとして東京へ赴くこととなった鯉登は、定限も間近の部下、月島を連れ立って帝都へ来ていた。
     朝一番に仕事を速やかに終わらせ、半ば接待のような昼食を見事な作り笑いでやり過ごした二人は、受領した新たな書類を手に、三宅坂の参謀本部を早々に辞すことに成功した。
     解放感に満ちた足取りで昼下がりの暖かな陽の光の下を歩く。あとは北の地へ戻るだけだが、急いで戻るのも味気ない。駅までの道を遠回りすることで、二人は束の間、久しぶりの帝都を味わうことにした。
     なにせ、とてもよい季節なのだ。
    「こちらはもう桜が満開だな」
     あちら、つまり北海道では、ようやく残雪を気にせずに済み始めた頃だというのに、二人の眼の前では、宮城をぐるりと囲む淵に沿って、桜並木がその枝をのびのびと伸ばし、地面を覆うように淡紅色の花の雲が広がっていた。
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