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    mizutarou22

    DONE今日という日が『不思議』という花言葉だったので。不思議をテーマにした短編です。
    不思議な人「不思議だ……」

    「……? ディオン様、どうかなさいました?」

     私は、まだ敬語を使うテランスの口元を指でそっと押さえる。

    「テランス、私はもうザンブレクの皇子ではない。ただの流浪の旅人だ。お前も私の従者ではない。私と共に新しい世界を見ていく者だ」

    「しかし、ディオン様……」

    「慣れないのはわかっている。しかし、私たちはもう……、何物にも縛られなくなった、パートナー同士、だろう?」

     そう、世界はオリジンの崩壊で新たな世界に生まれ変わった。先ほども焚火をつけるのにも時間がかかった。もう魔法もクリスタルも、何もない。全て自分たちでやらなくてはいけないのだ。

     しかしそれが、どこか楽しく感じている私がいる。以前イフリートたちがいる隠れ家で世話になったときも、皆が新たな世界で奮闘していた。皆がそれぞれやるべきことを自分で見つけ、世界に混乱が起きないように努力をしていた。私もそれに倣い、隠れ家を出て、新たな世界となった今、私に出来ることがないか、テランスと共に旅をしようと決心したのだ。そして今、私は……こうして、恋人と一緒に焚火の揺らめく炎をみつめながら思考の海に沈んでいた。
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    そらの

    DOODLEIF設定の種運命時のイザキラに到るはずのお話。
    ・捏造設定多数あり・シホについてはほぼ捏造・公式男女CPは基本的に準拠・ヤキン後イザキラ顔合わせ→終戦条約締結までアスラクキラがプラントにいた設定・イザが議長に疑念を抱くことからラク暗殺がおこなわれずに話が展開する。完結してない。できるかもわからない。
    軍人になれなかった男(仮題)(イザキラ)序章


     痛い! 痛い! 痛い! そう叫ぶ己の声を忘れない。焼け付くような痛みを忘れない。己の血が玉となって無重力に舞うのを忘れない。何一つ忘れはしない。
     アカデミーで切磋琢磨した友人がいた。その友人らと将来を有望視され、クルーゼ隊の一員になった。戦場を知らないこどもであった己は、この友人らと終戦を迎えるのだろうと思っていた。友人らの中でも、己と憎らしいことだがアスラン・ザラは白服を纏うことになる。そうして国防の担い手となるのだと思い込んでいた。しかしそんな空想など、戦場に出るなりすぐに打ち砕かれてしまった。ラスティ、ミゲル、そしてニコル。どうして彼らは死なねばならなかったのだろう。彼らも国を守りたいという志を持った志願兵だ。ニコル・アマルフィなど己より二つ下の一五歳でピアニストとしての才能を有した、やさしい少年であった。争いを好まず、反りの合わないアスランと己との些細な衝突でも、いつも仲裁に入るような少年だった。なんで。何故だと目の前が真っ赤になった。込み上げ溢れ出す涙の熱さで頬が焼けるかとさえ思った。けれどそれが零れ落ちてしまえば、残るのは冷たさだけでそれは憎しみによく似ていた。
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