変わる刀と、欲される刀 三日月宗近が重傷で本丸へ戻って来た。顕現したばかりの刀たちを連れて、万屋へ案内がてら買い出しに行ってのことだった。
遠征中の鶴丸がそれを知ったのは、彼の手入れも終わってからのことだった。
本丸に戻るなり三日月と一緒に出かけていた刀たちが大慌てで一部始終を説明してくれた。
「主にこってり絞られたんだってな」
鶴丸が三日月の部屋を訪ねると、彼は困ったように笑った。
「うん、また怒られた」
突然の襲撃。圧倒的な戦力差。
自分以外を本丸へ逃し、殿として敵を一手に引き受けるのはよくあることだ。経験値が違う部隊でうっかり検非違使に遭遇した際など鶴丸も似た手を取る。なので今回のことは鶴丸からみて、三日月に落ち度は何もなかった。それでも「怒られた」のは「また」の部分にかかっているのだろう。
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