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    suzumi_cuke

    REHABILI20230521鯉月(鯉→月)。身体の関係はあるけど両思いかは微妙な時期(大団円前)。うちは軍曹が割りと塩対応です。
    好みでない相手が好みになるまで 初年兵の教育を終え、兵舎の廊下をミシミシ鳴らしながら執務室へ向かっていた鯉登が、不意に斜め後ろについて歩く月島にこそっと耳打ちをした。
    「今晩部屋に来い」
     手元の書類に目を落としていた月島は、怪訝そうに顔をあげ、隣の上官へ尋ねた。
    「部屋に来いとは」
    「無論、そういう意味だ」
     平然と返され、月島は白目を剥きそうになった。「そういう意味」が何かわからぬわけではない。何故なら、鯉登からのこのような――同衾の誘いはしばしばあることだからだ。そして月島はそれを受けたことが一度ならずある。拒みきれずやむなくのことであり望んでのことではない。
    「……他を当たられては」
    「月島がいい」
     歩きながら一歩隣に詰め寄られ、同じだけ月島は身体を引いた。するとまた鯉登が距離を詰めてきたので、月島は腕を擦るか擦らないかのところまで兵舎の壁に身体を寄せた。花沢少尉と壁に挟まれている尾形の姿が思い出された。当時は何やってるんだと思っていたが、いざ似たような状況に置かれてみると人のことは言えない。
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