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    aya.t

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    aya.t

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    ツイッターにあげたお話 塩村さんの呟きに反応させていただいた妄想

    #秘密
    secrets
    #薪剛
    Maki Tsuyoshi
    #鈴木さん

    小さい頃の夢─警察官
    幼稚園の頃の他愛ない質疑応答。俺は元気よく「警察官!」と答えた。
    なんでだったかな。ちょうどその頃見ていた子供向けヒーロー戦隊物の主人公が警察官だったからかもしれない。
    わかりやすい悪玉。 善役の主人公達が力を合わせて大事な人達や世界を悪い奴らから守るのを ワクワクしながら見ていた。 カッコ良かった。
    「宇宙飛行士」「ケーキ屋さん」「サッカー選手」「お姫様」
    まだ 世の中にどんな職業があるかも知らない幼い頃。 完全な善悪の判断なんて単純ではない事を知らなかった幼い頃。
    それなのにおまえは「全米スペルなんちゃら」 ちっちゃい頃からなんて具体的な‥夢があるんだか無いんだかわからない夢を。 それ 夢じゃなくて目標じゃないか? しかもおまえ 達成させる気満々だっただろ? 夢ってのはもっと 漠然と 叶えられるかどうか分かんないけどそうなったらいいな って ふわっと幸せになるような。 
    まぁ いいや。
    だからさ。 小さい頃の夢は警察官だったんだけれども、その為に色々考えて準備してきたかって言うとそんな事はなくて、この大学だって学部だって その為に選んだわけじゃない。
    大学進学時に その時興味があってやりたい事 っていうか、一番大学生活を楽しめそうなところを選んだ。四年あれば何か就きたい職業も具体的になっていくだろうって。 


    小さい頃の夢─全米スペル選手権優勝。
    語学は面白い。 語源 文法‥ 
    そもそも言葉は誰かに何かを伝える為にある。 そして思考する為に。
    他との関わり。 己の確認。
    外へ。内へ。
    歴史や宗教 考え方、何を大事にしているのか─民族の相違すら映し出す言語は移ろいも含めて実に面白い。 
    だからってこの学部を選んだわけじゃない。
    言語は相変わらず僕の興味を引いていたが それは自分で自由に探求すればいい事で、師も仲間もいらなかった。
    大学を選ぶ基準は 個人では難しい研究施設や実験環境のある所であったが そんな事より優先すべき事があった。
    ─プレミアム─
    プレミアムに近付く為にだけ選んだ大学と学部。 
    東大文一。僕がそこの学生になったのは それ以外に理由はない。 プレミアムに近付く。 プレミアムに入れる人材を見つけて近付いて取り込み 操る。 
    そして 見つけた‥。


    どうやって生きていくか、どう生計を立てていくか考えなきゃいけない時期になって、小さい頃の夢を思い出したんだ。
    悪い奴らを捕まえて 泣いてる‥苦しんでる人を助けて守って この世界を守っていきたかったって。 ヒーローになりたかったって。
    もうあの頃の俺じゃないから 一〇〇%正しい善とか 一〇〇%の悪とか 世の中そんなに単純じゃない事も知ってるし、誰かのヒーローはもしかしたら誰かの仇になってしまう事も知ってしまってるけど。
    俺は今でも 俺の大切な人を守りたい。好きな奴を守ってそいつのヒーローでありたいと思ったりするわけよ。
    あの 薪の関わっていたMRIの研究さ。
    あれ。捜査に導入される事になっただろ? ワクワクしたんだ。
    もう既にある方法じゃない。
    これから導入されて画期的な捜査方法になっていくMRI捜査の創世記に 今なら関われる。 立ち会える。
    おまえが形にしようとしていた おまえが生み出そうとしていたものを見守り育てていける。 そしてそれが世の中に役立って守るのを支えていける。 
    今だから出来る事。 今しか出来ない事。 なんてタイミング! おまえと出会えた事も、何もかも。 
    って 思ったわけ。


    MRI捜査の為の実験及び協力は 決して世の中の為なんて博愛的な物でも その手法に興味があるなんていう崇高な探究心からでも無く、両親の死の真相を知りたい暴きたい 犯人に報いを受けさせたいという利己的でしかない理由だった。
    それさえ叶えば その後 どうなろうが興味もなかったかもしれない。
    自分の為 だったのだ。
    誰かの 世の中の為になるから なんて考えてはいなかったと思う。
    東大文一。そこは、両親の死の真相が判明したら 不要な肩書きであり場所だった。
    プレミアムに入り込める人材。そいつは、犯人に報いを受けさせられたら用済みになる駒でしかなかった。
    犯人は悪で 報いを受けるべき悪で 憎むべき恨まれて当然の悪で、裁きが下されたら僕はスッキリと晴れ晴れとする筈だった。
    夢って何なのかよく分からなかった。
    未来の事。 
    したい事があればそこに向かって手筈を整えて向かえばいいだけで。可能か不可能か判断して 駄目なら次善策を講じて、不確定要因だって考慮すればいいだけで。
    文一なんてさっさととやめて 興味の赴くまま研究施設の整った所へ行くつもりだったのに。
    誰かの為にとか 誰かの幸せとか そもそも 誰かがいる事すら考えた事がなかったのに。
    僕は見つけて出会ってしまった。
    違うな。
    見つけられたんだ。 出会えたんだ。


    MRI捜査。すごいよな。ワクワクする。おまえが‥苦しみながらも生み出したMRI捜査を 俺が育てていける。 やりがいのある仕事だ。

    「"俺"が? "僕達が"だ。」

    結局 四年間 東大に通った。
    卒業式に一緒に出た。
    内定式にも一緒に出た。
    "夢"は相変わらず良く分からない。
    鈴木はずっと僕と一緒にいる。 それは夢でも目標でもなく任意の未来でしかなく、不確定要因も何もなく。つまりは確定した未来でしかない。
    鈴木は 僕と一緒にMRI捜査を育てて世の中を守るヒーローになる。 
    ヒーローはいつだってかっこよくて 最後に必ず幸せにしてくれるんだ。



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    aya.t

    MOURNINGこっそりシリーズ 
    とっても大好きな沼の民様(いつも大変お世話になっております🙇‍♀️)。お話しさせていただいているうちに妄想が暴走して つい。つい‥。
    気付けばタジク3つめ😅
    一部 別のやはり大好きな沼住民様の呟きを借用させていただいております🙏
    タグは青薪。 ‥間違ってないと思う‥けど‥全方面からのブーイングが‥🙇‍♀️
    「やだ‥ もう許して‥」
    ─駄目だ。涙が‥。

    タジクがニヤリと笑って僕の目尻を拭う。

    「この綺麗な涙はね。あの 貴方のことが大好きで宝物のように扱う坊やには効くのかもしれませんが、俺にとっては燃料にしかなりません。もっと泣かせてみたくなる‥。あなたの 理性が失われた先のあなたの姿を‥見たい」

    ──落ちていく。
        あおき アオキ‥
          


    あの時は こんな事になるとは思わなかった。 

    目の前の誘惑。
    ‥好みだったんだ。そう はっきり言って 何もかもが僕の好きなタイプだったんだ。
    ちょっとした気の緩み。
    行き詰まっていた捜査で煮詰まっていたのもある。全区あげての捜査。僕だけでなく全ての捜査員が休む間もなく。 ‥青木とは逢瀬どころかプライベートの会話すら ずっと出来ていなかった。
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