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    #lucashu

    KAYASHIMA

    DONE8/28sh右 Web only/闇の帳が明ける頃
    展示しておりました作品です。
    ⚠マフィアボス💛と呪術良家の息女💜♀の話。💛の部下視点です。
    【lucashu♀】このお見合いは運命です。

    カネシロファミリーの次期ボスを継ぐことが決定した、ルカさまは表社会に連れ歩くだけの「お飾りの妻」を娶ること、に首を縦に振ることはなかった。けれど、逃れられず「彼女とだけは会いなさい」と母君に強くいわれ、ジャパニーズスタイルの料亭に引っ張られ今に至る。ボディガードとして座敷の隅に、互いの右腕たる人物が控えていて、先方は未だ姿を見せない。居心地悪そうに、というよりも威厳を保とうと眉間に皺を寄せたルカさまは、恵まれた体躯を丸めて胡座をかいて頬杖をついていた。
    「ルカさま、行儀が」
    「平気だよ、こっち見る気配もない」
    多分、向こうも無理やりお見合いさせられるんだ。と唇を尖らせてルカさまは、目配せした先の目を閉じたまま動かない女性を観察して囁いた。高く結われたポニーテールに、紫が散る漆のように艶やかな黒髪を持つ、目鼻立ちの整った相貌に、淡い藤色の着物に、墨色の袴を着こなした女性だった。街を歩けば男女問わず振り向く美人だろう。その人が、赤いラインを引いた双眸を開いた。
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    KAYASHIMA

    DONE8/28 sh右 Web only 『闇の帳が明ける頃』
    展示しておりましま作品です。
    【lucashu】あいがこわいと君がいうので。

    「好き」という言葉を聞くとシュウは声を震わせる。友愛・親愛・恋愛。たくさんの「すき」があるけどそれらすべてにシュウは困った顔(あくまでバーチャルな外側)を、一瞬見せる。震えて、唇をきゅっと噛むような。なにか怯えてるみたいに。愛を受け入れられないっていってるみたいに。全く寂しそうな素振りはないのに。見えないはずのシュウが、オレには映る。



    ボイスチャットで、よく姿を見るのがシュウだった。シュウは用がないときでも顔を出して、他愛ない会話に混ざって、仲間を助けてくれる。良き隣人、って感じ。シュウなら死んでも三日で蘇りそうな聖人みたい。でも相応だったり、子どもっぽかったり。でも大抵はそこにいる人に合わせて、自分を変えていくように感じた。オレの前では良いお兄ちゃんみたいな。それでいて、最近はちょっとだけなつこい。今までは、何となく間合いを探られてたんだと思う。ファーストインプレッションで、オレは「シュウがちょっと怖かった」。多分、それをシュウは感じ取ってて、オレとの距離の適正を見定めてたんだと思う。どうすればオレが緊張しないか、怒らないか、楽しめるか、笑うか。話すことでシュウはたくさんの情報を仕入れて、自分をカスタマイズする。シュウの中で、オレとの接し方が決まったってことなんだろうなって。そう直感すると、カスタマイズされたシュウが、目の前で笑っている気分になった。良かれと思って、偽られたシュウなんだと思ってしまって、オレはそれを暴きたいと思った。
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