かいこう
DONEタオル/花流花流の日まで後6日~
タオル 自分の洗濯物を片づけるついでに、流川のシャツや下着類もしまってやろうと棚の引き出しを開けようとすればがたがたと引っかかる。ふぬっと強引に開けてやった。中の衣服は雑然としていて、これが開けにくかった原因かと、桜木は呆れる。
「あいつはよぉ…」
バスケ以外はずぼらなところがある男の引き出しの中身を、仕方がないなと整理してやることにした。ここのところ、遠征や取材で忙しかったのを知っている。甘やかしているな、と思いながら、それでも普段の生活で、不得手ながら家事に勤しむ姿に接しているので、まあいいか、と畳み直し、きれいに詰め始めた。
「ぬ…?」
引き出しの奥に古びたタオルが入れられている。見覚えのある薄れた色合いや洗濯を重ねて薄くなってしまった生地の具合に、目を瞬かせた。それは、桜木の親が桜木が生まれる前に赤ん坊の肌かけにと桜木のために買ったもので、赤ん坊の時分から、幼稚園、小学校、中学校と育つ中、ずっと桜木の手元にあったタオルである。おしゃぶりの代わりにタオルの角をよく吸っていたと言われたり、そのタオルがなければ、昼でも夜でも寝られないと泣き喚いたり…自身の記憶に残っているもの、いないもの、合わせても思い出がたくさん刻まれている桜木の大事なタオルだった。小学校を卒業する頃にはもう肌かけにはしておらず、代わりに枕カバーとして使っていたものの、高校入学を翌日に控えた夜、中学校での最後の失恋から立ち直れなくて、可愛い恋人なんてこの先現れないんじゃないか、もしいるなら顔が見てみたい、好きになった相手とつき合いたい…と、布団に入って枕を、大事なタオルを、べそべそと涙で濡らしていれば、視界の端で模様がひとつ、すっかり消えて元々のタオル地の色が露わになっていることに気づき、束の間失恋の辛さも忘れて、桜木は起き上がると慌ててタオルを確認する。白いタオルに淵をぼやかせた青空と、元気よく飛び跳ねているキツネたちが描かれているはずだった。これまでの洗濯で全体的に色が薄くなってきたとは言え、一匹のキツネが、まるまる消えてしまったなんてことはない。初めての事態に、これ以上使って残っているキツネたちも褪せて見えなくなってしまうのは嫌だと、桜木はその夜から、タオルを使わなくなった。畳んで大事に取っておく。しばらくは長年使っていたタオルが手元にないことが寂しかったが、高校生活が始まれば、バスケに出会
2612「あいつはよぉ…」
バスケ以外はずぼらなところがある男の引き出しの中身を、仕方がないなと整理してやることにした。ここのところ、遠征や取材で忙しかったのを知っている。甘やかしているな、と思いながら、それでも普段の生活で、不得手ながら家事に勤しむ姿に接しているので、まあいいか、と畳み直し、きれいに詰め始めた。
「ぬ…?」
引き出しの奥に古びたタオルが入れられている。見覚えのある薄れた色合いや洗濯を重ねて薄くなってしまった生地の具合に、目を瞬かせた。それは、桜木の親が桜木が生まれる前に赤ん坊の肌かけにと桜木のために買ったもので、赤ん坊の時分から、幼稚園、小学校、中学校と育つ中、ずっと桜木の手元にあったタオルである。おしゃぶりの代わりにタオルの角をよく吸っていたと言われたり、そのタオルがなければ、昼でも夜でも寝られないと泣き喚いたり…自身の記憶に残っているもの、いないもの、合わせても思い出がたくさん刻まれている桜木の大事なタオルだった。小学校を卒業する頃にはもう肌かけにはしておらず、代わりに枕カバーとして使っていたものの、高校入学を翌日に控えた夜、中学校での最後の失恋から立ち直れなくて、可愛い恋人なんてこの先現れないんじゃないか、もしいるなら顔が見てみたい、好きになった相手とつき合いたい…と、布団に入って枕を、大事なタオルを、べそべそと涙で濡らしていれば、視界の端で模様がひとつ、すっかり消えて元々のタオル地の色が露わになっていることに気づき、束の間失恋の辛さも忘れて、桜木は起き上がると慌ててタオルを確認する。白いタオルに淵をぼやかせた青空と、元気よく飛び跳ねているキツネたちが描かれているはずだった。これまでの洗濯で全体的に色が薄くなってきたとは言え、一匹のキツネが、まるまる消えてしまったなんてことはない。初めての事態に、これ以上使って残っているキツネたちも褪せて見えなくなってしまうのは嫌だと、桜木はその夜から、タオルを使わなくなった。畳んで大事に取っておく。しばらくは長年使っていたタオルが手元にないことが寂しかったが、高校生活が始まれば、バスケに出会
かいこう
DONEラブレター、こわい。/花流花流の日まで後8日~
ラブレター、こわい。「…今日のは怖い…かも」
下駄箱に入っていた手紙を読んでそう呟く流川を廊下の曲がり角から伺っていた桜木は、よっしゃと歓声を上げながら飛び出しそうになって慌ててリーゼント頭を引っ込める。そんな桜木に気づかない様子で、流川は便箋を封筒に戻すと肩にかけていた鞄にしまい、階段を上がっていった。その後ろ姿に口元を手で隠しながらぷくく…と笑う。今日こそ流川を怖がらせてやれた。天敵である流川の強い物を知って、それを与え続けて八日目。ようやく効果があったようで、桜木は嬉しかった。明日はもっと怖がらせてやろう…流川が怖いと言う、ラブレターで。流川の姿が完全に階段の向こうに消えてから、桜木はこそこそと忍び足で階段を上った。踊り場をひとつ過ぎ、一年生の教室がある階で、またさっきのように少しだけ顔を覗かせる。流川は教室の手前で眠そうに大きな欠伸をしていた。天才による天才的な策略に嵌っているとも知らずに呑気なもんだぜ。教室に入り姿が見えなくなった流川を追うべく、見つからないように隠れながら廊下を進み、開いていた窓の隙間から、いけ好かないキツネ野郎を観察した。何せラブレターを書くには、情報が必要だから。
4140下駄箱に入っていた手紙を読んでそう呟く流川を廊下の曲がり角から伺っていた桜木は、よっしゃと歓声を上げながら飛び出しそうになって慌ててリーゼント頭を引っ込める。そんな桜木に気づかない様子で、流川は便箋を封筒に戻すと肩にかけていた鞄にしまい、階段を上がっていった。その後ろ姿に口元を手で隠しながらぷくく…と笑う。今日こそ流川を怖がらせてやれた。天敵である流川の強い物を知って、それを与え続けて八日目。ようやく効果があったようで、桜木は嬉しかった。明日はもっと怖がらせてやろう…流川が怖いと言う、ラブレターで。流川の姿が完全に階段の向こうに消えてから、桜木はこそこそと忍び足で階段を上った。踊り場をひとつ過ぎ、一年生の教室がある階で、またさっきのように少しだけ顔を覗かせる。流川は教室の手前で眠そうに大きな欠伸をしていた。天才による天才的な策略に嵌っているとも知らずに呑気なもんだぜ。教室に入り姿が見えなくなった流川を追うべく、見つからないように隠れながら廊下を進み、開いていた窓の隙間から、いけ好かないキツネ野郎を観察した。何せラブレターを書くには、情報が必要だから。
かいこう
DONEいつわりのなか/花→流花流の日まで後10日~
いつわりのなか「よーし、来たなお前ら、そこに座れ」
いつもなら居残りをしている時間に、桜木は流川とともに宮城に呼び出されて部室の入り口に立っていた。ドアを開ければ険しい顔をした宮城と三井がいて、二人に向かい合う形で置かれた椅子を顎で指される。並んで腰かけた。
「呼ばれた理由は分かってるよな」
「リョーちん、すまん、もう二度と喧嘩はしねぇからっ」
「しねーっす」
「だから部活と試合に出さねぇってのは勘弁してくれ!」
「頼んます」
桜木が必死に言い募っても宮城の表情は硬い。
「お前らの謝罪は聞き飽きた。こっちが怒っても誉めてもいくら言っても喧嘩をやめないのはお前らだ。部活の邪魔になってる。冬の大会が近いっつーのに、お前らの喧嘩を止めてる暇はねぇ。これも言い飽きたな。だからさっき花道が言ったようにお前ら二人、明日から部活に来なくていいし、試合もなしだ」
3767いつもなら居残りをしている時間に、桜木は流川とともに宮城に呼び出されて部室の入り口に立っていた。ドアを開ければ険しい顔をした宮城と三井がいて、二人に向かい合う形で置かれた椅子を顎で指される。並んで腰かけた。
「呼ばれた理由は分かってるよな」
「リョーちん、すまん、もう二度と喧嘩はしねぇからっ」
「しねーっす」
「だから部活と試合に出さねぇってのは勘弁してくれ!」
「頼んます」
桜木が必死に言い募っても宮城の表情は硬い。
「お前らの謝罪は聞き飽きた。こっちが怒っても誉めてもいくら言っても喧嘩をやめないのはお前らだ。部活の邪魔になってる。冬の大会が近いっつーのに、お前らの喧嘩を止めてる暇はねぇ。これも言い飽きたな。だからさっき花道が言ったようにお前ら二人、明日から部活に来なくていいし、試合もなしだ」
かいこう
DONE鼓動/花流花流の日まで後12日~
鼓動 居残りを終え、学校を出れば外はもう真っ暗だ。流川は自転車を押しながら、桜木とともに冬の夜の家路を辿る。桜木には、先月告白された。密かに好きになっていて、でも桜木はマネージャーが好きで、だから、バスケやってりゃ同じコートに立てるから、それでいいかと思っていたのに、思いがけない事態にびっくりして、てめーマネージャーはいいんか、と聞いてみたら、ハルコさんはそういうんじゃねぇんだよ…とはっきりしない返事を寄越されたが、そういうのじゃないなら、と流川は納得する。そう言えば告白されて頷くのは初めてだったので、いいけど、と、何となくすっとしない答えになってしまったが、流川が言った直後、緊張でこわばっていた桜木の顔がほわほわと綻んだので、こいつも納得できたらしーからこれでよし、と流川は満足した。つき合い始めて、登下校は一緒にしている。朝、お互いに何の用事もなければ待ち合わせしている場所で、帰りは別れた。今日も辿り着いてしまう。どちらともなく、足を止めた。
1512かいこう
DONEノックアウト/花流花流の日まで後15日~~
ノックアウト 屋上での眠りを妨げた上級生らしき男たち四人を退けたところで、背後の扉が開いた。振り返ると、赤いリーゼント頭を先頭に、五人組が立っている。自分と同じようながたいの派手な赤い頭の男と視線が絡んだ。
「流川楓」
リーゼント頭の後ろから誰だと聞かれたので、名前を教えてやる。赤いリーゼントの男が驚いた様子で繰り返してきた。落ち着きのない動物みたいなしぐさで人の周囲をうろつきながら、ジロジロと人の顔を眺めては、何故だか知らないが、自分とこっちの身長を手で比べたりし始める。取り敢えず屋上で伸びている奴らの仲間かと聞けばオレの名前を教えてやろうか、と喚き始めた。別にいいとあしらったのが気に喰わないのか、学ランの胸元をつかんでくる。
2539「流川楓」
リーゼント頭の後ろから誰だと聞かれたので、名前を教えてやる。赤いリーゼントの男が驚いた様子で繰り返してきた。落ち着きのない動物みたいなしぐさで人の周囲をうろつきながら、ジロジロと人の顔を眺めては、何故だか知らないが、自分とこっちの身長を手で比べたりし始める。取り敢えず屋上で伸びている奴らの仲間かと聞けばオレの名前を教えてやろうか、と喚き始めた。別にいいとあしらったのが気に喰わないのか、学ランの胸元をつかんでくる。
かいこう
DONE最高のバレンタイン/花流14でバレンタインだなってなったけど、たくさんのチョコをもらうるかわに嫉妬を爆発させて暴れるはなみち、を回避しようとして中途半端
最高のバレンタイン 恋人がいると公言していようが、流川のバレンタインは盛況だった。本人はむっつりと面白くなさを前面に出して靴箱に入れられているチョコレートをスポーツバッグに詰めている。朝練を終え、いつもなら教室に上がる時には素通りする玄関で、中に入れられたプレゼントのせいで閉まらないロッカーから中身が落ちてくる前に片づけを始める流川を待つために、桜木も玄関に立っていた。色も形も様々なチョコレートの箱を、流川は、もう何度もこういうことをしてきたと分かる手つきでバッグへ放り込む。去年の秋の終わりからつき合い始めた男の横顔を桜木は見やった。桜木から告白してつき合うようになって、いいけど、と交際を了承したものの、果たしてこいつはバスケ以外の交流はできるのかと危ぶんだ桜木の予想に反して、一緒に登下校したいと言ってみれば頷いてくれたり、帰り道でまだ別れたくねーと呟かれたり、バスケ同様、流川は恋人としても、最高で、流川と恋人になってからというもの、桜木の心はぎゅんぎゅんと甘く満たされている。廊下の奥や背後の階段の上から、朝練の最中にチョコレートを入れたのだろう生徒たちの忍び笑いや囁き声が聞こえてきて、ぐるりと首を捻って視線を巡らせる桜木の足元で、流川がため息をつきながら、スポーツバッグから紙袋を取り出した。最初からバッグじゃなくてそっちに入れりゃよかったんじゃねぇの。流川の杜撰さやものぐさに対して呆れたが、口には出さなかった。
2593かいこう
DONE袋の中の飴/花流参加しました!
#백호태웅_100분
#花流全力_100分
テーマ『キャンディ』
花流の日まで後17日~
袋の中の飴 秋晴れの空に覆われた屋上で昼食を食べ終えると、手持無沙汰になってしまい、桜木は何も考えずに制服のズボンのポケットに手を入れれば指先に当たるものがある。ああ、と思い出した。桜木が自身のポケットから、個包装された飴の大袋を取り出す。昨日の部活の帰りに寄ったコンビニで買ったのだ。買うつもりはなく…コンビニに寄る予定もなかったのに。二つ折りにしていた袋をがさがさと伸ばして、一つ取り出して口に入れた。飴は全部で二十個入っている。昨日と合わせて二つ目の飴を舌で転がしつつ、空を見上げた。あー…まずい。昨日もそう思ったのに、また食べてしまった。桜木はぎゅっと顔を顰める。喉に優しい何たら成分が含まれていて…パッケージに印字されているとおり、確かに喉にはいいようで、今朝の朝練でも、声はよく出た。だが肝心なことは言えない。いやだってまだ早いし…口の中の苦味が、帰宅してからいじいじと袋の中の飴を数えた己と重なった。じわじわと顔や首が熱くなってきて、飴のまずさを忘れる。
4298かいこう
DONE壁/花流花流の日まで後18日~
年齢間違ってたらすいません
壁「じゃあな、桜木、流川」
「キャプテン、桜木先輩、お先です!」
「気をつけて帰れよ」
後輩や同級生たちが居なくなると、さっきまで騒がしかった部室がしんと静まり返る。去年の今頃、キャプテンだった宮城から職務を引き継いだ流川は、挨拶に頷き返すために上げていた顔を、部誌へと戻した。部室の奥の机に座って部誌を埋めていた流川にところに、お喋りに夢中になって着替えの手が止まっていた桜木が、ようやく練習着から制服姿になって、近づいてくる。
「よお、さっきの、聞いてたかよ」
机の端に腰かけた桜木の尻から、下敷きになった部誌を引き抜いた。
「知らねー」
「桜木センパイ、高校からバスケ始めたのにすごいですね、だってよ、今年の一年坊主はよく分かってやがるぜ」
1479「キャプテン、桜木先輩、お先です!」
「気をつけて帰れよ」
後輩や同級生たちが居なくなると、さっきまで騒がしかった部室がしんと静まり返る。去年の今頃、キャプテンだった宮城から職務を引き継いだ流川は、挨拶に頷き返すために上げていた顔を、部誌へと戻した。部室の奥の机に座って部誌を埋めていた流川にところに、お喋りに夢中になって着替えの手が止まっていた桜木が、ようやく練習着から制服姿になって、近づいてくる。
「よお、さっきの、聞いてたかよ」
机の端に腰かけた桜木の尻から、下敷きになった部誌を引き抜いた。
「知らねー」
「桜木センパイ、高校からバスケ始めたのにすごいですね、だってよ、今年の一年坊主はよく分かってやがるぜ」
かいこう
DONE全部俺の/花流花流の日まで後19日~
全部俺の「おめーがそんなにトマトが好きだとは知らなかったぜ」
朝食の目玉焼きにかける醤油を忘れたと、台所に立った間の出来事だった。戻ってきた桜木の前で、流川は片頬を膨らませている。桜木は呆れながら卓袱台の流川の向かいに腰を下ろした。
「それとも俺には食わせたくねぇってか」
よく家に泊まらせてもらっているからと、流川の母親が持たせてくれた食料品のひとつであるミニトマトは、ヘタを取って洗ってから、それぞれの皿に半分ずつ、桜木が分けて入れたのに、流川が全部、引き取ってしまっている。流川がごくんと口の中のミニトマトを呑み込んだ。残った十九個の、大きくて真っ赤に熟れたミニトマトが、桜木が作ってやった目玉焼きを皿の淵に沿うようにしてぐるりと取り囲んでいる。
1673朝食の目玉焼きにかける醤油を忘れたと、台所に立った間の出来事だった。戻ってきた桜木の前で、流川は片頬を膨らませている。桜木は呆れながら卓袱台の流川の向かいに腰を下ろした。
「それとも俺には食わせたくねぇってか」
よく家に泊まらせてもらっているからと、流川の母親が持たせてくれた食料品のひとつであるミニトマトは、ヘタを取って洗ってから、それぞれの皿に半分ずつ、桜木が分けて入れたのに、流川が全部、引き取ってしまっている。流川がごくんと口の中のミニトマトを呑み込んだ。残った十九個の、大きくて真っ赤に熟れたミニトマトが、桜木が作ってやった目玉焼きを皿の淵に沿うようにしてぐるりと取り囲んでいる。
かいこう
DONE卵二パック/花流花流の日まで後20日だな~と思って書きました
卵二パック『今日、特売で、卵一人一パックの日だから、来いよ、スーパー』
三時間ぶりの連絡を受け、流川はいつものスーパーに向かうべく、家を出た。十五分足らずで到着したよく行く大きめのスーパーの前にはすでに桜木が立っている。流川がその後ろ姿に後一歩で辿り着くというところで、桜木が口を開いた。
「ちゃんと来やがったな」
むっすりとした横顔でそう言うと、先に開店したばかりのスーパーの中に入っていく。流川も後に続いた。カゴを乗せたカートを押して、桜木は卵売り場を目指して、のしのしと歩いている。
「…てめー、俺に何か言うことあんじゃねーの」
テーマソングが繰り返し流れる店内で、流川は桜木の背中に突っ込んだ。
「何かって何だよ」
2698三時間ぶりの連絡を受け、流川はいつものスーパーに向かうべく、家を出た。十五分足らずで到着したよく行く大きめのスーパーの前にはすでに桜木が立っている。流川がその後ろ姿に後一歩で辿り着くというところで、桜木が口を開いた。
「ちゃんと来やがったな」
むっすりとした横顔でそう言うと、先に開店したばかりのスーパーの中に入っていく。流川も後に続いた。カゴを乗せたカートを押して、桜木は卵売り場を目指して、のしのしと歩いている。
「…てめー、俺に何か言うことあんじゃねーの」
テーマソングが繰り返し流れる店内で、流川は桜木の背中に突っ込んだ。
「何かって何だよ」
かいこう
DONE後悔/花流#백호태웅_100분
#花流全力_100分
テーマ『酔中真談』
後悔 今日、引っ越してきたばかりで、あちこちに段ボールが積んである、そんなマンションの一室で、桜木は流川に言われた。
「…てめーに告白する気なんか、なかった」
流川の横顔をまじまじと見やる。驚いて、咄嗟に返事ができなかった。流川との距離は近い。肩に腕を回して、ほとんど、抱き込んでいるような体勢だった。アルコールくさい息が混ざり合ってどちらのものかと分けられない。床に、近所のスーパーで買ってきた惣菜や寿司やハイボールの缶を広げて、夕飯にした。ダイニングテーブルは内見の時から決めていた位置にあったが、卓上に片づけ途中の食器や雑貨を置いているので、一日ぐらいいいかと、二人して、リビングの床に座り込んでいる。昼過ぎに引っ越し業者によって運び込まれたそれぞれの荷物や二人で選んだ家具など、予定では、もうそれぞれの場所に収まっているはずだった。だが、いよいよ、二人で暮らせるのが嬉しくて…高校一年の晩秋からつき合い始め、高校卒業とともにバスケットのために渡米するまでは、一人で生活していた桜木のアパートに流川が入り浸っていたものの、アメリカでは、生活の拠点が離れてしまい、こうして同じ空間で、寝食を共にできるというのは何年ぶりだろうかと、いちいち感動してしまって、すぐそこに居る流川に見惚れるばかりで、片づけに集中できなかったことを思い出す。日本からのオファーに応える形で戻ってきた。アメリカの時と同様にチームは違うが、それぞれの拠点の真ん中で、一緒に暮らせるのでありがたい。マンションを決めるのも、使っていたものを使い続けるか新しく買うかと家具について相談するのも、楽しかった。ようやく日本でもできるようになったから、結婚もする。婚姻届けの証人の欄を誰に書いてもらうか、という話から、バスケを中心にしたいとほとんど恋人らしいことをしなかったらアメリカ時代、部活でも学校でも放課後でも振り返ればべったり過ごしていた高校時代を、飲み食いしながら振り返っていた。その流れで、ぽつんとこぼした流川は、結構酔っている。たらふく食べて、いっぱい飲んだからだは、重たくて、熱かった。やや下がった瞼はアルコールのせいだけではなく、眠さの現れでもあるだろう。
3162「…てめーに告白する気なんか、なかった」
流川の横顔をまじまじと見やる。驚いて、咄嗟に返事ができなかった。流川との距離は近い。肩に腕を回して、ほとんど、抱き込んでいるような体勢だった。アルコールくさい息が混ざり合ってどちらのものかと分けられない。床に、近所のスーパーで買ってきた惣菜や寿司やハイボールの缶を広げて、夕飯にした。ダイニングテーブルは内見の時から決めていた位置にあったが、卓上に片づけ途中の食器や雑貨を置いているので、一日ぐらいいいかと、二人して、リビングの床に座り込んでいる。昼過ぎに引っ越し業者によって運び込まれたそれぞれの荷物や二人で選んだ家具など、予定では、もうそれぞれの場所に収まっているはずだった。だが、いよいよ、二人で暮らせるのが嬉しくて…高校一年の晩秋からつき合い始め、高校卒業とともにバスケットのために渡米するまでは、一人で生活していた桜木のアパートに流川が入り浸っていたものの、アメリカでは、生活の拠点が離れてしまい、こうして同じ空間で、寝食を共にできるというのは何年ぶりだろうかと、いちいち感動してしまって、すぐそこに居る流川に見惚れるばかりで、片づけに集中できなかったことを思い出す。日本からのオファーに応える形で戻ってきた。アメリカの時と同様にチームは違うが、それぞれの拠点の真ん中で、一緒に暮らせるのでありがたい。マンションを決めるのも、使っていたものを使い続けるか新しく買うかと家具について相談するのも、楽しかった。ようやく日本でもできるようになったから、結婚もする。婚姻届けの証人の欄を誰に書いてもらうか、という話から、バスケを中心にしたいとほとんど恋人らしいことをしなかったらアメリカ時代、部活でも学校でも放課後でも振り返ればべったり過ごしていた高校時代を、飲み食いしながら振り返っていた。その流れで、ぽつんとこぼした流川は、結構酔っている。たらふく食べて、いっぱい飲んだからだは、重たくて、熱かった。やや下がった瞼はアルコールのせいだけではなく、眠さの現れでもあるだろう。
無敵プリンちゃん
DONE酪農家花×乳牛流♡決死のケツ振りが無駄死にだよほんとに萌えてほしーから翻訳載せときます!!わかりにくかったらすみません🤍
🐄「나를 쓰다듬어 달라. 나랑 놀아줬으면 좋겠어. 너랑 같이 자고 싶어."
🌸「배고파서 시끄러워하는 거야? 나는 바쁘니까 방해하지 마."
🐄「......😠」 2
taokdmm2017
MAIKING流花流リバ「一時帰国した流と大学生の花が24時間ラフ゛ホに籠もる漫画」
※このページにあるのは57~151コマまでです
※ここからはR18なのでこそフォロ限定(作者は誰にフォローされたか分かりません)
1~56コマ目まではこちらにあります
https://poipiku.com/92143/8835598.html
パス→18歳↑?(y/n) 85
塩味マメ子
INFO【2023/8/20新刊サンプル】幼馴染AUの花流が仲良くやり取りしたりすれ違ったりしつつ丸く収まる話です。
何の説明もしてないんですが花道が小学生の途中で引っ越しちゃって高校で再会してるイメージです。が深く考えていないので何も考えずに読んでほしいです。
(表紙ができて価格も決まったらぴくしぶにもあげます)
B5漫画/58p/全年齢/価格未定
よろしくお願いします! 21
taokdmm2017
PROGRESS流花流リバのエッチな絵や進捗をまとめていくページです。(2/10追加)しばらくしたら消えていきます
こそフォロ限定です
パス→18歳以上ですか?(yes / no) 2
taokdmm2017
DONE花流のエッチな絵や進捗画像をまとめていくページです。上のほうが新しいです。(3/11追加)
こそフォロ限定です(作者は誰にフォローされたか分かりません)
パス→18歳以上ですか?(yes / no) 25
solarclock3
DOODLE花流#백호태웅_100분 # 花流全力_100分
20番目の全力テーマ:"海"
参加したかったんですがその日できなかったのと、書いてるうちに横へ横へ逸れていってしまったのでタグなしで失礼します🙏
お題だけ借りた感じになりました🌊
桜木と流川がアルバイトをしているパラレル世界線です🏄🐠 9
taokdmm2017
DONE双子ifの花流R18絵などをまとめるページです。上の方に新しいものを載せます。(10/11追加)
こそフォロ限定です(作者は誰にフォローされたか分かりません)
パス→18歳以上ですか?(yes / no) 4
solarclock3
MOURNING花流キスマーク、噛み跡などの表現があります。
苦手な方は注意してください。
捏造・やおい・読み辛い
前回の↓花流
https://poipiku.com/7759018/8981749.html
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※※※こんなに連続で描いて、私がすごい💋マークシチュ好きに思われてるかもしれませんが、そうでもありません※※※※ 14
solarclock3
MOURNING花流キスマークボツネタの続き
前回の↓
https://poipiku.com/7759018/8966781.html
なぜか続きました。
前の読まないと意味分かりませんが、読んでも意味分からないかと思います。 5