私はカフェラテに砂糖を入れる。普段はまぁ、コンビニのカフェラテにも入れるし、家でも温めた牛乳に粉コーヒーを入れて、たっぷりはちみつを入れる。でもある時だけは入れない。願掛けのようなものだ。
目の前の肥前は気難しそうな顔をしている。そんな顔で飲んでいるのは砂糖とミルクがたっぷり入ったカフェラテ。更に喫茶店のマスター手製のベイクドチーズケーキに舌鼓を打っている。失礼ながら顔に似合わないなと思うことは黙っていよう。私はブラックコーヒーを啜る。鼻を抜ける香りと目の覚めるような苦味が口の中で主張しながら腹の中に落ちていく。
「…何見てんだ」
「いいえ。美味しそうに食べるなぁと思いまして」
「…」
私の言葉にチッと舌打ちをした肥前はまた、視線をチーズケーキに戻す。
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