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    nachi_osora

    @nachi_osora

    GW:T、K暁にゴロゴロしてる。書くのはほぼ固定、読むのは雑食。だいたいけけ受肉してるしアジトメンバー全員わちゃわちゃしています。

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    nachi_osora

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    K暁デー。四月のお題、「洗濯日和」を使わせていただきました。
    けけ視点ですでにくっついてるけあきです。
    先日書いた話(https://x.com/nachi_osora/status/1912864698896363772?t=6M7YqWfAdOrmyppSfenFYQ&s=19)とほんのちょっと繋がってます。
    息を吐くように生存ルート。

    #K暁

    愛染春布 ふと意識が上昇した。
     閉じたままだが、まぶたの裏側に白い光を感じて朝が来たことを知る。寝室の扉の向こう側からはパタパタと往復する軽い足音。いつの間にやら隣から抜け出た暁人だろう。起き抜けにアイツが開けたのか窓から入る柔らかい風が頬にあたり、それが爽やかで清潔な香りも運んできた。
     そう言えば昨日寝る前に「明日は晴れるみたいだね」と嬉しそうに笑っていたなと思い出す。暁人は晴れると嬉々として洗濯機を回しては物干し竿に並べていくのだ。「オマエは洗濯狐か」とつっこんだオレに、暁人は「なにそれ」と言うもんだから説明してやったのも懐かしい。
     そんなことをつらつら考えていると、また意識がぬるま湯に沈んでいくような感覚に陥る。ここ数年感じることのなかったそれは、『安らぎ』というやつなんだろう。
     あの事件の直前は般若を追うのでいっぱいいっぱいで自分の部屋に帰ることも稀であったし、それ以前に妻子と別れた時点で『家』は『寝る場所』という意味しか持たなくなった。だが今暁人と過ごすここは、間違いなくオレにとっての『帰る場所』であり『心地いい場所』だ。
     オレがそのまま二度寝を試みたのと、扉が開かれたのはほぼ同時だった。石鹸の香りがさらに鮮明になり「けぇけぇー?」という暁人の気の抜けた声がする。
     寝たふりをしてやろうと返事をせずにいれば、寄ってくる気配。ぎしりとベッドが音を立てて沈み、暁人の香りが強くなる。
     しばらくの沈黙の後、暁人の指がオレの髪の毛をかき混ぜた。そしてそのまま眉間をぐりりといじられる。地味にいてぇ。
    「――狸寝入りだろ」
    「ばれたか」
     ゆっくり目を開けば、いたずらっ子のような表情の暁人が目を細めている。逆行を背負った暁人は後光でもさしてるようで、なんだか触れちゃいけないものに触れているような気分になる――ま、今更コイツを手放せるはずがないんだが。
     手を伸ばして頬に触れれば、オレの思惑がわかったのかそっとかがんで顔を重ねてくる。軽いリップ音を立てて離れた唇を惜しく思いつつも、近くでささやかれた「おはよう、KK」という挨拶に同じ言葉を返した。
    「なぁ、暁人」
     触れるだけのキスじゃどうにも物足りなくて、腰を引き寄せようしたオレの手が空を切る。自然とむっとした顔になっていたのか、身をかわした暁人が愉快そうに笑った。
    「今日はだめだよ」
    「あン?」
    「この前はそれで大物の洗濯出来なかっただろ」
    「そうだっけか?」
    「とぼけてもだめ。前回はあんたのワガママきいたんだから、今日は僕の番じゃない?」
     そう言われてしまうとぐうの音も出ない。洗濯日和だと張り切っていた暁人を、ベッドから抜け出る前に引き戻し、シーツに溺れさせたのは記憶に新しい。
     穏やかではあるが頑固である恋人を怒らせるのは得策じゃない。オレはため息をついて「お暁人くんは何がお望みだ?」と聞いてやる。それにパァッと顔を明るくするんだから、ずいぶん安くて可愛い奴だと言わざるを得ない。
    「ベッド関係まるっと洗濯しちゃいたいんだよね。もちろん干すのも手伝って。シーツとか一人でやるの大変だからさ」
    「へえへえ、オマエの言う通りに」
    「もちろんそれだけじゃないよ。洗濯機が回ってるうちに朝ご飯食べて、全部干し終わったら……買い物とランチも兼ねて出かけたいな」
    「……デートか?」
     コクリと頷いた暁人は「だめかな? 休みたいって言うなら僕一人で買い物行ってくるけど」と続ける。
     ――ほんとにコイツときたら。
    「欲がなさすぎだろ」
     呆れたように言ったオレに「僕の一番の望みは叶ってるから」ときれいに笑う暁人が愛おしい。
    「じゃ、とりあえずはシーツ引っ剥がすか」
    「了解! じゃあ僕こっち引っ張るね」


     レースのカーテンが翻る。爽やかな青空に、暁人が先に干したであろうタオルが揺れていた。
    「ああ、確かに洗濯日和だ」
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    リキュール

    DONE #毎月25日はK暁デー
    7月お題【宿題】を書かせていただきました。またも大大大遅刻。
    可愛いこと言い出すあきとくんとそんな可愛いやつを甘やかしちゃうけけの話。
    美味しいもの食べるあきとくん。
    生姜の辛味は何にでも合う気がする。
    甘やかしには辛味を足して七月、それはある者にとっては書き入れ時、またある者にとってはただの平日、そして僕らの様な学生にとっては長い夏休みの始まりである。

    休みに何しようかと楽しそうに予定を立てる友人たちを横目に僕は頭を抱えていた。
    夏は夜に肝試しをする若者が増える季節ということもあってか、禁足地や事故物件が騒がしくなり毎夜KKと共にパトロールに精を出していたのだが、そんなこんなで忙しくしていたので、すっかり忘れていたのだ。
    前期の試験やレポートは問題ないが、引き続き後期でも受講する選択科目の講義には宿題が存在することを…!
    普通ならば夏休み中にやればいいんだから焦らなくても、なんて思うだろうがこれは資料集めが厄介で、どれも大学の図書館にしか無いようなものばかり。休みに入る前に資料の検討をつけてコピーしなくてはならないのである。ただでさえ難しい科目で前期レポートもギリギリだったのだ、生半可なレポートは出せまい。夏休み中も図書館に来ることはできるが休みには遠出の依頼があるため資料を求めて毎回行くわけにはいかず、できるだけ必要な資料は今のうちにまとめておきたい。それにあわよくばKKとの時間ももっと確保できれば…大丈夫僕ならやれる。
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