Episode名無し鬼+待雪


鬼雪

「……待や、待雪」

呼ばれた。鬼様の声。
ふっと意識が浮上し、鬼様の元へ駆けつける。

「はい。待雪はここに居ります」



廊下を走ってはならぬよ、転んで怪我をしてしまうから。
大きな声で返事してはならぬ、喉が枯れてしまうから。



鬼様に教えられたことを守りながら過ごす日々。
父と暮らしていた頃はどうだっただろうか？
あまり思い出せない。

「新しい菓子が手に入ったでの。お食べな」

鬼様は待にお菓子をよくくださる。
今日のお菓子は少し大きい。どう食べようかと思案していると気づいた鬼様が細かくしてくださった。

その大きな手に撫でられながらお菓子を頬張った。あまいあまいお菓子。



ーーー鬼様があまいお菓子というから、これはあまいお菓子だ。

Episode出会い

セラフィオス×ネフラ


誰も足を踏み入れたことのないような森の奥に迷い込んだその日、とても綺麗な妖精に出会った

キラキラとその子の周りだけ輝いているような綺麗な翡翠色の髪
この世の汚れを一切しらないような無垢な瞳に目を奪われる

踊るように歩く君の声を聞いてみたいと願ってしまった
その華奢な手に触れてみたいと願ってしまった

その日私は、恋に落ちた


------

鬱陶しい雨が止んだ昼頃
綺麗な歌声が聴こえ、その声に誘われるまま森の奥へと踏み込んだ。


そこに居た君は、私の足音に驚いたようにこちらを見た。
こんな綺麗な人間がいるわけないのに思わず聞いてしまう。


「君は、人間かい？」


自己紹介もしないまま問いかけてしまった。
非礼に内心慌てているとポツポツと返事を返してくれる君は怯えていたのだろうか？

Episodeリンゼ×レイシー
リンレイ


黒の国と神の国の国境沿い、神の国側に１つの教会。
その教会は貧しい者も優しく受け入れてくれる場所であり、そして神の国に入りたくもうしろ暗く正面から入国出来ない者達が居た。

「……神獣様のご加護があらんことを」

今日も祈りを信徒達と捧げ終わるとウサギ族の神父であるリンゼは瞬く間に信徒達に取り囲まれた。
神父らしく優しい微笑みを浮かべ、その端正な顔に見惚れる者も少なくない。そんな中、あまり見かけぬ顔を見つけリンゼは更に笑みを深めた。

「…おや、あまり見かけない方ですね。こちらには初めてですか？」

「ウン。はじめてこの国に来たの。あなたに会いに」

「おや、私にですか？それは光栄ですね」

小柄な体型に可愛らしい洋服、それに合った可愛らしい顔をした“少女”はにこりと笑った

Episodeセラフィオス×ネフラ

産まれた時には、ここにいた。
花たちはみんな、僕を大切にしてくれた。
でも、それでも、

「ぼくは、ひとりぼっちなの？」

_____人の国：熱帯雨林_______

ヒスイカズラ。このターコイズブルーの美しい花を咲かせる樹が僕の宿り主。
ドリュアスは、空気の綺麗で、汚れのない森にある樹にやどり性を成すのだと、花たちは教えてくれた。
だから、僕がここにいることは、花たちにとってはとても誇らしい事なのだと。
でも、他のドリュアス達は、ここにはいない。

この国は、『人間』が支配しているらしい。
『人間』は、木々をなぎ倒し、自分たちの住みやすい土地を作るのだそう。
そのせいで、水も、土も、空気も、何もかもが汚れてしまって、この国には綺麗な土地が少なくなってしまったんだとか。

Character Episode種族：人間
名前：アレン・クラウン
年齢：18
所在：人間の国（店と居住地はそこにあるけど色んなところにいる）

身長：

人の国の人間。人間の国在住。
魔石宝石鑑定士、魔石宝石細工工
若いが腕はトップレベル。が、市街地の隅でで小さなお店魔石宝石工房『CROWN』構えている。お店は小さいが魔法石、宝石関係で知らない人はいないほど名前は有名。なのにお店の場所を知る人はごく僅かだったりする。何故ならそこにいないことが多いから！←
小さい頃から祖父が魔石、宝石に関することは全て教えてくれていたが、少し前に亡くなってしまって現在一人暮らし。
なのだが、良質な魔石を求めて黒の国に不法入国したり宝石求めて妖精の国に不法入国したりとわりと命知らずなところがある。神の国にも行くが魔石持参しまくりなので正攻法ではぶっちゃけ入れない。けど入れてくれる知り合いがいるからね←

Episodeルシフェル×アレン

ルシフェル2

「はぁぁぁぁ、まぁたけったいなもん持ってんなぁ！」

神の国の国境沿いにある教会で酒を煽った神官の声が響いた。
リンゼは見せられたそれをしげしげと眺めた後持ち主に返す。


「それは中央教会のモンだ。それを持ってるってことは別にコソコソしなくても堂々と胸張って入国出来るさ。あーぁ、せっかくの金ヅルが…」

「…今金ヅルって言った？」


盛大に舌打ちしながら目の前で酒を煽る不良神父は放っておき、この間の天使から借りたクロスを眺める

そんな大層な物だったのか、知らなかった。

確かにこれを見せれば入れるとは言われたけれども教会だけかと思っていた。まさか入国まで出来るとは。

酔っ払いをその場に残し、堂々と入国する。

Character Episode種族：黒の国（父）妖精の国（母）のハーフ
名前：焔夜/えんや
年齢：130歳
所在：妖精の国

身長：

情報屋。カフェ兼バー、情報屋『en.』のオーナー。基本的に"焔（ほむら）"の名前で通ってる。
ありとあらゆる情報を扱う。
どうでもいいような些細なことから戦争が起きるような事、外に出してはならないようなことまで何でも知ってる情報屋。
入手経路は企業秘密。誰がどうやって集めてるのかは誰も知らない。
トップがどういう人なのかも知られていないが、窓口はある。
日中はカフェ、夜のバーで『en.』のオーナーにとある言葉を言うと交渉できるらしい。
対価は欲しい情報に見合ったもの。それを決めるのは情報屋側。
タダ同然のようなものもあれば金銭で可能なもの、はたまた絶対に渡せないようなものまで様々である。

Character Episode種族：うさぎの獣人
名前：ルイン・ミルア
年齢：27歳
所在：妖精の国

身長：

リリアンの兄、10人兄弟姉妹の7番目。
7番目なので割と好きにしていい事にはなっているのだがやりたいことが見つからないので家の手伝いをしつつ、リリアンの様子をみつつ、リリアンの周りを護りつつ…と過ごしている。
リリアンには割と甘いが、激甘ではないので可愛いがりつつお兄ちゃんしてる。
血の気が多い。けど頭が悪いわけでもないわりと常識人。
見た目のせいで昔荒れていた時期に助けてもらって一目惚れした人を今でも忘れられずにいる。
しかしまさか今になって見つかるとも思っていなかったし、なんならそんなに年下だったとも思わなくて悩み中。でも好き←
それもあって強くなろうと努力したタイプ。

Character Episode種族：花人(ドリュアス)
名前：ネフラ
年齢：約100歳ほど
所在：人の国(人里離れた熱帯地の森の奥)

身長：172cm

一人称：ぼく
二人称：あなた
三人称：あなたたち

人の国の熱帯地、森の奥深くに産まれてしまったドライアドの子供。
ヒスイカズラという花の木に宿り産まれてしまった為体が弱く、寒さを嫌い安定した気温を求めている。

まだ人間達に汚されていない奥地に1人で産まれた。
他のドリュアスはこの森に存在せず、孤独に日々を過ごしている。
青い宝石と称されるヒスイカズラに宿っているおかげか、人間たちを魅了するドリュアスの中でも一際の美しさを持つ。

春の終わり頃になると、宿っている木が花を咲かせる為、彼の瞳はより一層のその宝石を輝かせる事が出来る。

Character Episode種族：ネズミの獣人
名前：ミュズ・イリニ
年齢：18歳
所在：妖精の国（国境近くの森にある丘の麓の診療所）

身長：180cm


《過去_虐殺》
嘗て、原因不明の疫病の原因がネズミの獣人にあるとして彼らは迫害を受けた。多くの罪のないネズミの獣人が捉えられ、生きたまま焼き討ちにされた。
魔術師と縁を結んだとも、医術を逆手に疫病を蒔いたとも言われているが、それらの疫病はただただ未開の地の開梱と、発展途上の不衛生が原因であったことが大虐殺の数年後には明らかになる。しかし人の心に残る印象というものは簡単に払拭すること叶わず、また自らの行いが身を守る善行などでは到底なく聞くにも無残な虐殺であったと認めることなど到底受け入れがたく、真相は闇へと葬られ人は皆口を閉ざし、今も尚、ネズミの獣人を見掛ければ彼らは忌避の眼差しを向け続けている。

Character Episode種族：人間（魂）
名前：待雪（マツユキ）
年齢：享年14歳
所在：黒の国、名無し鬼の手中

身長：150cm


父親は妻だけを愛し、死んだ妻を生き返らせたい一心で待雪を育て上げた。
愛情をかけられなかったためか感情が乏しく、死を恐れない。とても利口で、教えられたことはよく覚える。
15歳を迎える前に鬼の手により死を賜っているが、それは本人の預かり知らぬところ。
魂となった彼女は今日も、鬼に与えられるものを素直に受け取りながら平穏に日々を暮らしている。



「鬼様、鬼様は私をお食べになるの？」

「鬼様のお口に合う魂となればいいのね。けれど困ったわ。感情というものは、如何すれば育つのでしょう」

「はい、鬼様。待はここにおりますよ。すぐに参りますね」

Episode鬼の雪

男がか細い少女の手を引きながら山を歩いてきた。ぶつぶつと何か呟きながらあるくその姿は異様で正常とは言い難い。
少女はそんな男に連れられているというのに無表情で、まるで感情等ないようにただ手を引かれるがまま歩いていた。

どのくらい歩いたであろうか。数日…いや、数時間だったのかもしれない。

ふと視界が開ける。
山の中とは思えぬ邸宅、チラチラと舞い散る季節外れの桜。そこかしこに雪が残っているのにそこは確かに“春”だった。

リン…と静かな邸宅に鈴の音が鳴る。

邸宅の中に“それ”は確かに居た。

男は反射的にひれ伏すと同時に叫ぶ。

「此処に御坐す“鬼”様！！どうか、どうか此処まで辿り着いた私めの願いをお聴きください！！」

Episode神の国神子ルシフェル

「…何故、何もお応えくださらないのですか？神獣様…」


神の国の神殿、祈りの間にて神の使徒である天使は声を震わせた。
かれこれ数年、神託を受けていない。もしや自分が何か神獣様のお気に触ることをしてしまったのだろうか。
それともまさかーーー

そんなはずはない。神獣様は慈悲深いお方だ。
疑うこと自体が間違っている。
そう、きっと己が良くないのだ。祈りを捧げ、神獣様の為だけに生き、そして死ぬ。
神獣様のお声だけを頼りに、お導きのあるまま。

ーーー神獣様は我らを見捨てたのではないか

そんなはずはない！考えてはいけない！
それは私の信仰心が足りないだけである。
だから神獣様のお声が届かなくなったのだ。

民にはお告げが少なくなった、と伝えているものの実際は少なくなるどころかまったくないのである。

Episodeまつゆきのいっしゅうかん

今日は鬼様がとてもお暇なのだそう。
蹴鞠をして遊ぼうなとお声を掛けていただいたので、待は紫色の綺麗なお鞠で遊んでいただきました。
前よりも上手になったと褒めてくださったけど、そうかしら？
小鬼たちと練習したからかもしれません。
お鞠で遊んだあとは鬼様と一緒にお菓子を頂いたの。
今日は餡の黄色いお菓子。
キラキラしていてとてもきれい。
夜はお星様が見えるかしら。


せっかく起きたのだから、暫く遊んでおいでと鬼様が言ってくださったのだけれど、何をすれば良いのかしら。
お庭を歩いていたら小鬼が紙とお筆を持ってきてくれたから、今日は絵を描くことにしたの。
鬼様の絵を描いてみたのだけれど、これで良いのかしら？素敵に描けていて？

EpisodeIFの世界の根幹


(3分クッキングのBGMでどうぞ〜)

「…さて、今回は私の光であるアレンが知りたいというのでこの世界、ひいては神の国について説明させていただくよ。私はルシフェル、神の国の神子をしている」

「どこから話そうか…神の国には神聖力という物がある。神聖力は傷を癒やし、時に力を増したりさせる事が出来る。実はこれは生命力の底上げをしているだけであって万能ではないんだ。
悲しいけれど、天に召されようとしている方に神聖力を注いでもその運命を覆す事は出来ない。」

「神聖力自体は大なり小なり、黒の国民たち以外誰でも持っているんだ。神の国はもちろん、妖精の国、人の国の者達もね。黒の国は神聖力の代わりに魔力を持っている。神聖力と魔力は対立しており、その魔力が強ければ強い程世界の神聖力と衝突し彼らは制約を受ける…とされているよ」

Character Episode種族：悪魔、淫魔（インキュバス）。
名前：レイシー・ミラー
年齢：450歳
所在：黒の国


性別♂。
力は全然強くない。魅了の力なんてちょっと普通より好意的になるくらい。催淫は普通に使える。淫紋くらいは使える…はず。あと空飛べるくらい。
実は昔は力強かった。魅了も催淫もインキュバスの中では上位だったので国からまったく出られなかった。けどサボって寝過ぎちゃったら力枯渇してて最下層近くまで力落ちたら普通に国からは出られるようになった。
力戻さないとなぁーと思って国の外でうろうろしてる時にリンゼにあって一目惚れ。からのちゃんと裏の顔を知った上での追い回し。しかし全然相手にしてくれないので全然力回復する見込みがない。

「こーんなに可愛い俺に惚れないの？？俺可愛いでしょ？♡」←

Character Episode種族：妖精
名前：月音/つきと
年齢：562歳
所在：妖精の国


妖精の国の妖精。この見た目にして実はとても年取ってる。凛月の双子の弟。
薬屋。花から作る薬、香水などを店で売る。薬などに関して知識の量が膨大なので毒も軽いものから激薬まで、妙薬などわりとなんでも作れる。昔は作って売ったりしていたけど今は毒は売らない。ストック等も作ってないし作り方を教えていないのでレシピを知るものは弟の凛月の他にいない。兄のことはこの国で1番強いと思ってるので、さほど心配はしていない。毒とかは自分が対処すればい系思ってる。

「そっちはいいんじゃない？あぁ、でもそれはだめ。そっちは悪くないけど…僕が選ぶなら貴方にはこっちが合うと思う。ん？だってこの間あの匂いはちょっとって言ってたじゃない？」

Character Episode種族：妖精
名前：凛月/りつき
年齢：562歳
所在：妖精の国



妖精の国の妖精。見た目の割にとても年取ってる。月音の双子の兄。
神獣の社を護る総大将だった。今は平和すぎて隠居とか言って月音のとこ手伝ったりたまに後輩たちの訓練的なの手伝ったり自分のとこに持ってこられた依頼とかをちょっとこなしながら生活してる。なのでとても強い。弟の作る薬は何よりすごいと思ってるので、レシピ教えられてはいるけど自分には作れないと本気で思ってる。挑戦しようと思ったこともない。

「ん？何だい？？あー…今は隠居中なんだよね。戻ることはないかなぁ。優秀な部下達が引き継いでるからね。俺がいなくても困らないのさ。まぁしごきにくらいは行くけどね？」

Character Episodeリンゼ・ミルア

31歳男性ウサギ族。ミルア家三男坊。

妖精の国出身のウサギ族だが、真摯な信徒()ということで神の国で神父をしている。神聖力もそこそこ。
好きなモノは弟と妹、そして酒と金と宝石。
よく法外な値段を要求しながら神の国へと入国させてくれたりする。生臭坊主。


--------



「-----して、神獣様のお導きがあらんことを」

神々しさすら感じる優し気な微笑みに教会に来た者達は魅了される。
子どもの頭を優しく撫で、怪我をしている者には無償で施す。
そんな理想的な神父様。



「………ぅえぇうっぷ…気持ち悪、昨日飲み過ぎたわ…」

光あれば闇がある。これは彼の持論である。

「はぁぁぁぁ、神聖力が自分には使えないとかマジ使えねぇよな。いや、位が上がれば使えるらしいけどよぉ…。……で？今回は何名サマ？俺ぁ今具合悪いからさぁ、明日でもいい？」

Character Episode名無し鬼(IF)

黒の国の奥のさらに奥。とある鬼の住まう山がある。
鬼の力は強かった。千里を見通す100の目と、世の理を理解する知能。

鬼に決して名前を与えてはいけない。

名を与えたが最後、山から出てしまう。

人を惑わせ、欲を放ち、世を乱す。

どんな名前も、鬼に与えてはいけない。



「………と言われてものぉ、暇なものは暇なのじゃ。焔夜や、焔夜。遊びに来ておくれな。お主のための菓子もたんまり用意してやるでの。いつでも我を訪ねておいで」

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ある日山に迷い込んだ“人”が居た。
この場に相応しくないその客に鬼は興味を示す。
根城に招き、さまざまな幻術を持ってもてなした。人は大層よろこび、快楽に酔い、入り浸る。

「あんたのこと何と呼べばいい？」

Character Episode種族：ネズミの獣人
名前：ヴィナ・イリニ
年齢：享年5歳
所在：妖精の国

身長：120cm

ミュズ・イリニの妹。
スラム街にて死亡。
嘗ては少しおませでよく笑い、よく話す活発な少女だった。
好きなものは母が焼いたパウンドケーキ。
レモン風味の甘いケーキがお気に入りだった。

兄と二人虐殺から逃げ延び、行き着いた先のスラムにて数年を生きるが、迫害による暴力に晒され道半ばに息絶える。
スラム街で出会ったカインのことは、ヴィナもまた憎からず思っていたが自分の死を悟り、自分の死は過去のものとして乗り越え幸せになってほしいと願う。


「お父様！お母様！お兄様！！みて！頂いたドレスを着てみたの！どうかしら、似合っているかしら？」

「お兄様、カイン様、見てくださいまし、お花がこんなに綺麗に咲いていたのよ！」

Episodeとある令嬢の最期の願い

「お兄さま逃げて…私はもう駄目よ。わかってるくせに…頭がよくて優しくて格好いい、私の最高のお兄さまですもの」

「ね、逃げてね。そして私の分までしっかり生きてね」

「私の髪をあげるわ。生まれてから一度も切ってない、自慢の髪よ…お守り…きっとお兄さまを護ってくれるわ…いつだって一緒よ…」

「さぁ、いって…逃げてね…」




最期だってわかったから、私、頑張ってたくさん喋ったわ。

いつもだっておしゃべりだけど、叩かれた頭は痛いし、指先だってもう力が入らない。口を動かすのも、息をするのも大変なのよ。

でも滅多に泣かないお兄さまが、かしら。

お父さまとお母さまが恐ろしいひとたちに殺されてしまって、言われるまま逃げ惑ってたどり着いたスラム街。　

IFの世界の先IF

世界は主に4つの国、その国を守る4匹の神獣により成り立つ。

人の国
1番人口が多く、さまざまな文化が花開く国。
しかし戦闘力は至って普通。武器がなければ牙も爪も、そして魔力もない。
そんな国がなぜ1番人口が多く、何処からも迫害されないか…それは4つの国の中で唯一、神獣が常におり国を守っているからである。
神獣は力強く、どの神獣よりも強いらしい。
だが争いを好まず侵略をされない限り手は出さない。

妖精の国
別名愛の国。亜種族、獣人族の暮らす平和で愛情深い国。1番尊いモノは愛であり、番を何よりも大事にする。
神獣は降臨する時もあればしない時もある。降臨した年は豊穣の為、祝う祭が開催される。

黒の国。
魔術を扱うことが出来る、いわゆる魔族。魔法は強く脅威的ではあるが長命ゆえか、数は少ない。神獣はなかなか降臨せず、土地は痩せ細っている為侵略を日々狙っているものの圧倒的数の差になかなかうまくいかない。