真夏のアスファルトは、ジリジリとした太陽の熱をたっぷりと含み、熱気を押し上げる。上からも下からも暑さが攻め上げ、何故自分の交通手段が自転車なんだと自問自答する。好んで選んだから仕方ないにしろ、今日ばかりはミスだったと後悔する。そんな暑さを予期していたからこそ、午前の比較的涼しい時間帯を選んで、外出したものの、目的地に着いた頃にはなんだかんだ昼間が近かった。脳天を照りつける太陽は、ステージライトよりも強烈だ。
蘭丸は目的地に辿り着き、自転車を敷地内に立て掛ける。寿嶺二が住む、マンションにの入り口の前に立ち、インターホンを鳴らす。メインエントランスから、玄関先に移動すると、まるでタイミングを予期したかのように扉が開かれた。栗色の丸みを帯びた髪が目の前を揺れる。
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