Recent Search

    uxiro_xxxx

    @uxiro_xxxx

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💚 ❤ 🍱 🍖
    POIPOI 27

    uxiro_xxxx

    TRAINING【嶺蘭SS】
    8月17日 / 1/fゆらぎ

    #ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
     全身を包む熱気、背中にじわりと広がる汗の感触、カーテンの隙間から差し込む日差し。遠くからは車の走行音と、蝉の鳴き声が聞こえる。暑さで寝苦しいながらも、眠気が勝ってしまう微睡みの中で、嶺二は今日がオフだと思い出し寝返りをうつ。日差しに背を向け、腕を前に出すと、すぐ隣の温もりに触れた。薄く目を開くと、こちらに顔を向けるように眠っている蘭丸が見えた。普段の、セットされた髪型とは異なり、あどけなさが見えるサラリとした銀髪。その隙間からは、長いまつ毛が下を向いている。ぐっすりと眠っているその寝顔は、普段の彼の気の強い態度からは想像出来ないような、緩んだ表情……無防備とも言える表情をしている。薄く開いた口からは、小さな寝息が聞こえる。カーテンから差し込んだ日差しは、蘭丸の白い肌のその首筋を照らす。嶺二はその日差しの当たる部分をなぞるように、指先を滑らせる。首、鎖骨、肩、胸……どくん、どくん、どくん。手のひらを伝う、心臓の音。その音が、自分の呼吸とシンクロするような感覚を覚えると、まるで身体のつながりはなくとも、蘭丸と一つになれたようにも思え、嶺二は安心感に包まれた。そうしているうちに、目蓋がゆっくりと視界を落とす。嶺二は蘭丸の胸に頭を埋めるように、寄り添って眠りについた。
    2325

    uxiro_xxxx

    TRAINING【嶺蘭SS】
    8月10日 / ハート

    #ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
     これはあいつへの労いだ。
     ここ最近、不規則な時間での仕事が立て続き、睡眠時間も十分にとれていない。あいつの場合、おれと違ってショートスリーパー気味なので、十分な時間を取らなくてもどうにかなる分、仕事にも今のところ支障をきたしていないようだ。しかし、それでも見えないところで疲労が出てきていることには違いない。それに加えて食事だ。最近はろくな食事が取れていないはずだ。シンクや冷蔵庫、インスタントのゴミの様子見れば一目瞭然だ。寿弁当だって、忙しすぎてかコミュニケーションが取れていないようで、最近は手配しているのを見ていない。相当忙殺されている。……とはいえ、あの快活な、あいつのお袋さんの人柄あってか、ついこの間は「母ちゃんに文句言われちゃったよ」なんて小言を言ってたから、親子関係に問題は出ていないようだが。……あいつんちの唐揚げ、そろそろ食べてぇな。ああいけねぇ、手が止まってた。今日は比較的早い時間に帰って来れると聞いていた。あまりの忙殺ぶりを察した日向さんが、各所に相談の上、スケジュールを調整してくれたとのこと。今でもこうやって、日向さんに迷惑がかかってんのはどうかと思うぜ? 日向さんだって自分の仕事があるんだからよ。……まあ、ありがたくもそんな配慮があってか、はやく帰ってくるあいつのために、おれは飯を作っている。あいつへの労い……いや、あいつと一緒に飯が食いたかった、だけ、かもしれない。あー、今のらしくねえ。あいつに聞かれたら面倒くさい絡みをされるから絶対に言わねえ。一緒に飯を食うなら、デリバリーでも、外食でも、なんでも良かったかもしれねぇが、そこはおれが振る舞ってやりたかった。労いと、日常の共有。何より、あいつがおれの作る飯を食いたいって、いつかの日に泣き言のように言ってから、振る舞うタイミングを失っていて……その後ろめたさにも似た使命感があった。
    2305

    uxiro_xxxx

    TRAINING【嶺蘭SS】
    8月4日 / 酔い

    #ういの夏の嶺蘭強化月間シリーズ
     玄関の開閉音と同時に強い物音が響いた。
     日付の変わる手前の時刻。リビングでうたた寝をしていた蘭丸は、その物音で目を覚まし、思わず立ち上がった。リビングのドアを開け、玄関に向かうと、嶺二が玄関から廊下へ倒れ込むように転がっていた。蘭丸は嶺二の側に駆け寄り、その背中を摩る。
    「おい、大丈夫かよ……って……クセェ」
     嶺二からは、汗臭さに混じった居酒屋特有の油っぽさとアルコール臭がした。「クセェ」その一言に反応するように、倒れていた嶺二がもぞもぞと顔を上げようと動く。汗ばみ紅潮した顔面が、蘭丸のほうを向く。
    「だははランラン。クセェってドイヒー」

     普段からふざけたハイテンションなノリが通常運転とはいえ、酒に呑まれるようなことあまりない。こんな風に悪酔いして帰ってくるなんてことも、蘭丸はあまり見てこなかった。……というより、決まって蘭丸が先に酔って記憶が飛んでいることがほとんどだった。いつかの日に「酔ってベロンベロンになったランランを介抱するぼくの身にもなってごらん?」と言われたこともあったが、逆の立場が来いと頼んだ覚えはない。今日は嶺二が出演していたドラマの打ち上げで、夜まで飲み会とは聞いていた。ヘラヘラと緩み切っただらしない顔を見せ、また床へと頭を突っ伏す。こんな状態でよくもまあ一人で帰って来れたものだと、蘭丸はため息をついた。しゃがみ込み、艶めいた栗色の頭に手を当て、軽くゆする。
    1848