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    07tee_

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    100パーセント妄想!!!!!
    rnis♀でrnがisg♀の後輩になったn番煎じネタ。
    blが無くて比較的平和な世界線。
    息するように受けが女体化してるので注意。
    rnちゃんが丸い。

    #rnis
    #rnis♀

    凛と一緒(1) 潔世一。一難高校男子サッカー部所属の女子。マネージャーではなく、れっきとしたレギュラーFWだ。小中学生は地元一番のストライカーと名を馳せ、高校生になってもサッカーを続けたいという理由で強豪校に入学した。一難高校サッカー部の理念に挟まれながら一年生でベンチ入りしてレギュラーFWとして活躍している。男子と混ざっていたとしても、女子から変な目で見られようとも、サッカーだけは止められなかった、どうしもうのないサッカー馬鹿。それが潔世一である。
     高校二年生の夏。一難高校サッカー部三年ぶりの全国大会の初日。潔は糸師凛と出会った。
     スタジオに入る直前。一難高校サッカー部の列に並んで入場する時。潔の異様に広い視界の端に彼の姿が映った。
     スタジオ外の木陰ベンチに彼は一人で佇んでいた。周りからの目にはそのように映っていたが、潔の目だけは違うものを見ていた。彼は佇んでいたのではなく、突発的な事故によってそこから動けなくなっていたのだ。
     思いやりのある潔は列から外れて、彼の元へ駆けつけた。
    「なあ、大丈夫か?」
     背後から話しかけると、巨体がゆっくりと潔へと振り向いた。鼻から下を、その大きくて骨ばった手で隠している。何を隠しているのか、長い指の隙間をじっくり見ると、赤い血だ。今日は最高気温に達すると天気予報で言っていた通りに、今日は最高に暑い。歩くだけでも汗が出る程暑くてたまらない。気温にやられたのだろうと、潔は冷静に判断した。
     彼が何かを喋る前に、指の隙間から今にでも滴り落ちようとしていた赤い雫を見て、考えるよりも先に手が出た。ジャージのポケットから素早くハンカチを取り出して、ジャージが汚れるよりも先に垂れるのを止めた。
    「これ、良かったら使ってくれ。捨ててくれて構わないから」
     イセエビのイラストが入ったそれは潔のお気に入りの一つだったけれど、家に帰れば替えはいくらでもあるし、また買いに行けばいいだけので、惜しむものではない。
     下まつ毛の長い切れ長の瞳がまん丸と見開いて、沈黙のままハンカチを受け取った。白い布地に血がじわじわと広がっている。潔はスポーツバッグを地面に置いて、ファスナーを開いた。
     潔―!中を漁っていると、列を外れた潔を探しに来た多田ちゃんが呼びに来た。
    「ごめん、多田ちゃーん!監督に、あとで合流しますって言っといてー!」
     熱中症予防の為に持ってきていた冷感シートの袋を破って、彼の額とうなじにぴたりと貼りつけた。
    「今日は暑いから気を付けろよ」
     どこのだれかは知らないまま、シートとハンカチをやった。切れ長の瞳が潔を睨んでいた。睨まれてるっというよりも、凝視しているっていうのが正しい。潔は直感で彼が潔を観察しているのだと悟り、目つきの悪いやつだなーと呑気に胸中で宣う。
    「じゃあな」
     手を振って、チームメイトの元へと急いで戻った潔は結局その選手の名前も、どこの県から来たのかも知らなかった。だからといって動けなくて困っている人を黙って見過ごす程冷たくない。つい見捨てておけずに助けた潔だったが、もしかしたらこの後の試合で闘うかもしれないと、少しだけ期待した。
    結局、ピッチ上であの人物と相まみえることはなかった。同じ県から選出されたシード校、日本サッカーの宝と謳われる吉良涼介が所属する松風黒王によって初戦で敗退したからだ。
     一難高校三年ぶりの全国大会と、潔世一の初めての高校大舞台は、呆気も無く終わった。
    監督を含め、メンバーが悔し泣きをする中で、潔だけが冷めた顔をしている。念願かなっての全国出場にただ出場しただけの、弱小サッカー部でしかないと、冷ややかな顔の裏ではそのように感じていた。
    そこで終わり…とはならなかった。潔のこと“だけ”ではない、潔と凛のことである。
    「――――一難高校の潔」
     帰る直前、所属校名と名前を呼ばれた。響くような低い声だった。こんな声は、潔の知り合いにはいない。
     多田ちゃんと並んで歩いていた潔は振り向いた。仏頂面で突っ立っていたのは、潔が試合前に助けたあの選手だ。潔は名前を知らずにいたが、向こうは潔の名前を把握していた。
    「ああ。もう大丈夫か?」
     礼儀を重んじる日本人精神に乗っ取った潔であるが、向こうからの反応は無、であった。返しの無い反応に潔は首を傾げた。自分の声が聞き取れなかった、という訳でもなさそう。普通ならここで何かしらの反応があってもいい…というかそれが常識だ。助けてくれた相手なら猶更だ。うん、だけでも、ああ、だけでもいい。端的でいいのに、それなのに一音すらも発しない。潔は目の前の人物が、今までにないタイプだぞ、と肌で感じ取った。
     反応に困った潔の横を涼しく通過したかと思えば。
    「来い」
     首だけ振り向いて、端的に言い放った。有無を言わせないという絶対的な口調、おそろしく無駄の無さすぎる口数に、足りなさすぎる言葉数。潔は困惑した。いきなりなに…?なんで?ていうか今から帰るとこ…。多田ちゃんが離れたところから潔―!と呼びかけている。逡巡した末、先帰っていいからー!と叫び返して、長身の背中に付いて行く。選手は携帯の画面を睨むと(目つきが細いので見るだけなのに睨んでいるように見えてしまう)、スタジオから出ていこうとした。その後を潔は追う。先行く歩調は速くもないが、歩幅と体格のせいで一歩が大きい。なのでその後に付いて行く潔は自然と早歩きになってしまう。試合後にこれは結構な負荷だ。
     なんだこいつ。潔は目の前の背中を睨んだ。小走りになりそうな潔に振り向きもしなければ、歩調を合わせようともしない。なんて自己中心の塊。顔は満点だけど女子への気遣いが零点。
     ていうかどこに連れて行こうとしているんだ、こいつ。潔の疑問も最もである。突然止まったかと思ったら、建物の中に入っていった。日本に住んでいれば誰でも馴染みのあるストア…コンビニだ。
    なんでコンビニ?潔の疑問も最もだ。なのに先にささっと入っていって、潔もその後を付いて行く。いきなり雑貨コーナーに止まったかと思ったら目で物色し始めた。潔が不思議に見つめていると、一種類しかないビジネス用ハンカチを手に取り、移動した。次に季節外れのホットカイロコーナーの横の冷感シートを手に取り、それからアイスコーナーへと無言で足を運ぶと、ソーダーバーを二つ取った。それが最後だったのだろう。レジに直行し、スポーツバッグから取り出した長財布から金を出すと、レジ袋を無造作に手に取ってコンビニから出た。その間、潔は大人しく動向を見ていただけだった。
    「やる」
     出た直後、淡々と抑揚のない口調と共に差し出されたレジ袋によって、潔は彼が何をしたかったのかを、ようやく理解した。
     もしかして…さっきの、お礼…とか?受け取りながらそのように受け止めた。礼儀はあるのだろうが、それにしてもぶっきらぼうすぎる。ていうか、女子に普通男物のハンカチを渡すか?全然好みじゃないし、使えそうにもないし、最後のアイスは一体なに?正直嬉しくないお返しに苦々しい感情しか沸き上がって来ない。彼はこれで借りを返したと言わんばかりに自分用に買ったアイスの袋を開け始めた。しゃくり、とアイスを咥えて、何もなかったように去っていく。
     なんだこいつ…。今までにないタイプに、潔は戸惑いが隠せない。ありがとうとは辛うじて返したけれど、ありがとうと言うにはあまりにも態度が冷たすぎる。
     ん?今日の出来事は珍事だったということにして帰ろうとした潔だったが、去り行く背中を目で追った。そういえば、と深く考え込んで、どうしようあまり深く踏み込みたくないという気持ちを押しのけて、小走りで追いかけた。
    「なあ、お前、ここら辺の地理わかるの?」
     背中から話しかけると、アイスを咥えたまま振り返ってきた手には、地図アプリの画面が表示された携帯が。
     やっぱり。潔の予想は的中した。土地勘のある潔だからこそわかるが、本当はスタジオの近くにもう一軒コンビニが存在しており、裏道を使えばそちらの方が近いってことをよくよく知っている。だけどこちらの方を選んだ。ここに来る直前に携帯を見ていたのは、地図アプリを確認していたからだろう。
    「良かったら道教えてやるよ。どこに行くん?」
     淡々とした口調で告げたホテルの名前を聞くと、潔は脳内で道順と地理を展開させた。
    「ならこっちだ」
     道すがら、潔が話しかけるも、相手は会話をする気もないらしく、ぶつ切りの会話が続くばかりだった。潔が分かったのはその人物が神奈川県から来たのと、潔と同じFWであること、部活帰りのコンビニで買うものといったらアイスということぐらいだった。
     ホテルまで連れて行って、潔の役目は終了した。ようやく帰路についた、と肩の力を抜いていたところで、そういえばと思い出す。あいつの名前、なんだったんだろう?
    ――――その奇妙な出会いを果たした相手が、糸師凛だと知ったのは、後日のことであった。
     これも試合だと監督の意向で残りの試合を観戦していた時のことだった。観戦したところで自分たちは初戦で敗退した弱小高だし、こんなことをしているんだったら練習したいと素直な気持ちを押し殺して、スタンド席から他校の試合を観戦していた。全国には飛びぬけた才能を持つ選手がたくさんいるという事実だけが突きつけられるばかりの、何の参考にもならない無駄な時間だと、潔の冷たい思考は告げる。一難高校に勝った松風黒王は順当に勝ち進んでいく。もし勝てていたらあそこに立っていたのは…無価値な妄想ばかりが膨らんで、悔しさばかりが募っていくばかり。さっさと大会が終わってしまえばいいとさえ強く願う。
     そんな中で、潔は目にした。ピッチ上に降り立った一人の選手――――エゴイストなサッカー選手を。
     糸師凛。日本の至宝糸師冴の弟。ユースで日本一になった天才。兄に次ぐエースストライカー。
     もしかしてとんでもない奴を助けた?驚愕する潔であるが、次には全ての感情を支配された。
     戦略眼、蹴球力、操作力、広範囲の視野、サッカーIQ―――――凛のプレー一つ一つが洗練されていて、圧倒的で支配的なプレーは、潔の目の奥に強く焼き付いた。
     糸師凛が勝ち上がった。凛の高校ではなく、凛が勝ち上がった。潔はそう思った。潔に勝った相手――――吉良涼介がいる松風黒王を相手に勝ったのだ。
     メンバーが戦慄している中で、潔だけが興奮を感じずにいられなかった。今まであんな闘い方をする選手は、潔が知る中ではいなかった。何度もノエル・ノアのようなプレーができればと強く願い、ワンフォーオール・オールフォーワン精神によって潰された自我を呼び起こすような、破壊的で圧倒的なサッカー……潔が憧れたサッカーが、そこにあった。
     あんなサッカーがやりたい。それが、潔の敗北感を吹き飛ばした一瞬。原点を思い出させた刹那の感情だ。それも一瞬だけ。一瞬が過ぎれば、みんなのためのサッカーへと逆戻りする。潔の感情は再び潰された。けど、確かに芽は小さく芽吹いていた。
     全国が終わって、三年生は引退。多田が新しいキャプテンとなり、潔は多田をサポートする役目を与えられる。来年に向けての練習が始まった。パス回しが中心のチームプレイ重視の練習。潔はその中に混じってボールを蹴っていた。
     全国大会が終わった翌日のこと。監督よりも、多田よりも、誰よりも先に気付いたのは、潔である。潔が最初に気付いた。
     あれ?視線を感じると思った。誰かが見ている。誰が?視線を感じる方向に振り返り、驚きを露わにする。一難高校サッカー部の練習風景を観察している人間がいる。遠目だろうとも嫌でもわかる。忘れられない、その視線――――糸師、凛。
     潔が気付くと、一人二人とつられていく。フェンス越しに睨むように観察している糸師凛を目撃した部員から次々驚きの声を上げていき、練習どころではなくなって一時中断となる。監督が判断に悩んでいる隙に、するりと抜け出して、潔だけが凛の元へ駆け寄った。
    「凛!」
     いきなり名前呼びもどうかと思ったが、そっちの方が呼びやすかったから、そう呼んだ。凛の目はグラウンドから潔に向いている。それから凛の目がグラウンドに向けられることは無かった。
    「全国優勝おめでとう」
     凛は端的に、ふん、と小さく鼻を鳴らしただけだった。ちょっとはまともな反応を返してもいいんじゃないか、と心の声を抑えて、気さくな態度を表に出した。
    「この前、アイスありがとうな」
    「別に」
    「ハンカチもシートもわざわざありがとうな」
    「別に」
    「今日はどうしたん?うちに何か用?」
    「別に」
     …こいつは決められた単語しか話せないロボットか何かか?会話をする気が全くのゼロじゃん。友達いなさそう…。さして言う潔も親しい友人といったら、先日の全国大会の折りに出会った蜂楽ぐらいだ。
     凛の目が鋭く潔を射抜いた。凛にとってはただ潔を見ているだけに過ぎないが、視線を向けられる方は、心の中も暴かれているような気がして、無意識に身構えてしまう。
     何だよ?潔が半歩後退する前に、凛が口を開く。
    「いつまでそんなぬりいサッカーやってりゃあ気がすむんだ?」
     恐ろしい程、冷たく、鋭い声をしていた。
    「こんなぬりいサッカーで、世界一になれると思っているのか?」
     まるで鋭い刀の刃のようにきらめいて、潔を鋭く、深く、切り裂く。
    「ぬりい」
     凛はくるりと踵を返した。言いたいこと言って、勝手に去っていく。なんて理不尽で、強欲。潔の心を切り刻むだけ刻んで、抉るだけ抉って、一方的過ぎる。
     世界一。その言葉が、潔の、奥底に封印した何かを揺り動かしたのは事実。
     だけどその感情も、みんなのためのサッカーによって、またもや封殺されてしまった。
     夏が過ぎていく。今年の夏は、潔にはいろんなことが起こりすぎた。その中でも凛との鮮烈な出会いが一番強かった。
     高校二年生の九月が始まって早々に学校中が騒めいた。その音は潔のクラスまで届いたが、まさかな~としか思わずに、ただの噂だろうと潔はまともに相手にしなかったのだが…。
    「本日より、一難高校サッカー部に新しく入部してきた者を紹介する!」
     監督の隣に立つその仁王立ちの姿を目にして、噂ではなく事実だったと、潔は驚愕した。
     糸師凛が一難高校に転校した。
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    07tee_

    MEMO100パーセント妄想!!!!!
    一学年繰り上がりました。bllの無い世界線で同じ高校に通いながらサッカーをするrnis♀。
    息するように受けが女体化してるので注意。
    またもやse兄貴がめっちゃでしゃばる。se兄貴はきっとisg気が合うだろうなと想像しながら書いた。若干のキャラ崩壊あり。itsサンドのプリクラが切実に見たい。
    あとちょっとで終わります。
    凛と一緒(15) 五月のゴールデンウィークも部活はあるが、フルではない。偶には息抜きも必要ということで休暇が与えられている。休みの日はどちらかの家に入り浸るか、公園でサッカーするか、東京の街に繰り出すかだ。その日、凛と一緒に映画を見る計画を立てていた為、地元の映画館へ行くことになっている。筈だった。
    「で、お前ら何観に行くんだ?」
    「ピエロが出てきてめっちゃ襲ってくる映画だって」
    「趣味悪い。どうせそれ凛の趣向だろ?あいつに合わせてると甘える一方だぞ。嫌な時は嫌だってはっきり言え」
    「これでもホラーには慣れて来たところなんだよ、凛のお陰でさ。それに凛も楽しみにしてたんだし……な、凛!」
     潔は左隣に顔を向けて声をかけた。並列して歩く凛の顔はかなりの渋顔で、負の感情をまき散らしていた。
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    07tee_

    MEMO100パーセント妄想!!!!!
    一学年繰り上がりました。rnis♀でrn(高二)がisg♀(高三)と一緒にサッカーするために一難学校に転校した、bllの無い世界線。
    息するように受けが女体化してるので注意。
    rnis♀仲直り回。se兄貴が仲介する。今後も喧嘩したする場合はse兄貴が武力介入することになる。se兄貴isg推しでこっそり狙ってる。
    凛と一緒(14) これまで凛と喧嘩したことは何度かあった。喧嘩といっても猫のじゃれ合い程度のもので…凛の暴言とか我が儘が原因によるものがほとんどで、苛立ちはするもの激怒する程でもないので受け流して終了させるのが定例だ。凛が謝ったのは、付き合うことになったあの一度だけである。今回ばかりはそうもいかなくなってしまった。
     ああああ。吹き溜める感情を吐き出そうとして声が漏れる。凛、完全に怒ってた。夕飯食べずに帰ってしまったし。どんな顔をして会えばいいんだか。ていうか、凛の怒りが消えてなかったらどうしよ。今回は潔に非があると認めざるを得ない。
     このまま気まずいまま、お互いに距離を空けて、自然消滅してしまったらどうしようか。いや、凛から捨てられるかもしれない。そんなことになったらどうしよう。サッカーはやってくれるかな。ここまでやっておいて、チームメイトに戻れるだろうか。無理な気がする。別の子と付き合い出したらどうしよ。何も考えたくない。考えたくないのに、嫌な想像ばかりが膨らんでしまう。
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    07tee_

    MEMO100パーセント妄想!!!!!!!!
    isg♀(高二)と同じ学校に通うrn(高一)のrnis♀。kr君回前編。kr君をかませキャラにしてしまった。性格がかなりひどくなってる。kr君ファンの方ごめんなさい。kr君とisg♀が付き合ってる表現ありますが、kr→isg♀です。前提ではありません。
    凛と一緒(4) 今更ながらではあるが。凛はとてもモテる。顔が良くてサッカーも上手ければ、女子が黙っていないのも無理はない。前の学校でもモテていた筈だと潔は推理し、部活帰りの途中で、実際どうなんだよと尋ねたところ、本人は知らねえとばっさり切り捨てたけれども、絶対にモテてた筈だと仮定した。でもサッカー馬鹿の凛が多田ちゃんらのように彼女がほしいだのモテたいというだのの欲望を持ち合わせていないのを知っているので、モテていたという自覚が本人には無いんだろうと考察する。凛の頭の中は基本サッカーしかない。
     どうしてこのような話の流れになったかというと、全てはあの体育祭にある。あの後、凛の人気が急上昇したからだ。今一番モテる男は誰かと聞くと、間違いなく糸師凛である。あの奇跡的プレーが全学年女子の心を射抜いたのだ。潔もまたこれまでほとんど話したことのない女子生徒から話しかけられることが倍増した。ほとんどが凛との橋渡しだ。頼まれたら断ることのできない潔は凛宛のラブレターを手渡す役回りになっていた。凛は全て拒否したけれども。
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