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    onsen

    @invizm

    まれに文字を書くオタク。

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    onsen

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    クロラム
    付き合ってるクロラムで先生が何かやらかしたあとの短文。暗い。
    初出 2022/1/3 支部

    ##怪ラム
    #クロラム
    chloroform

    死神に見せつけたい 食い千切られたかと思った。なんの前触れもなく頸に突き立てられた犬歯。突然のことに反応できずに固まる。じゃれあった勢いの甘噛みとは全然違う。荒い呼吸は、興奮しているという感じもなくて。
     ただただ、餓えた獣みたいな、焦燥。
    「痛ぇッ」
     やっと悲鳴が出た。ぴくりと耳が動いた。ゆっくりと頸が解放される。血は、多分出てない。
    「おま、お前、急になにす」
     叱ろうとした声が震えて、途中で喉がひゅっと詰まった。
     なんでお前、んな、嫉妬に狂ったみてぇな目、してんだ。
     痛いことしてごめんなさい、とだけ呟いて、動けないままの俺を置いて、すたすたと台所へ向かう。すぐに水音が聞こえてきたから、さっき言ってた通り、洗い物をしてくれてんだろうと思う。
     鏡で確かめれば、噛み跡が残っている。頬の擦り傷、両手の切り傷なんかよりもはっきりと。もし内出血があったら、このあとじわじわと赤黒くなっていくはずだ。歯型以外でこんな形の傷はなかなかない。
     妬く必要なんかないぐらい俺がモテないことは、むしろこいつがいつも言ってくることだ。付き合ってしばらく経つけど、ペアルックどころか同じ店で買ったシャツを着て出かけるのだって嫌がるし指輪みたいなものも特にない。なのに、他の誰でもないクロの歯型が、まるで誰かに見せつけたいみたいに。
    「なんで……?」
     じわじわと痛みを増していく噛み跡に触れる。クロの表情は随分わかるほうなつもりで、だけどいまあいつが何を考えているのか、全然わからなかった。
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    onsen

    DONEクラファ仲良し
    クラファの3人が無人島で遭難する夢を見る話です。
    夢オチです(超重要)。
    元ネタは中の人ラジオの選挙演説です。
    「最終的に食料にされると思った…」「生き延びるのは大切だからな」のやりとりが元ネタのシーンがあります(夢ですが)。なんでも許せる方向けで自己責任でお願いします。

    初出 2022/5/6 支部
    ひとりぼっちの夢の話と、僕らみんなのほんとの話 --これは、夢の話。

    「ねえ、鋭心先輩」
     ぼやけた視界に見えるのは、鋭心先輩の赤い髪。もう、手も足も動かない。ここは南の島のはずなのに、多分きっとひどく寒くて、お腹が空いて、赤黒くなった脚が痛い。声だけはしっかり出た。
    「なんだ、秀」
     ぎゅっと手を握ってくれたけれど、それを握り返すことができない。それができたらきっと、助かる気がするのに。これはもう、助かることのできない世界なんだなとわかった。
     鋭心先輩とふたり、無人島にいた。百々人先輩は東京にいる。ふたりで協力して生き延びようと誓った。
     俺はこの島に超能力を持ってきた。魚を獲り、木を切り倒し、知識を寄せ合って食べられる植物を集め、雨風を凌げる小屋を建てた。よくわからない海洋生物も食べた。頭部の発熱器官は鍋を温めるのに使えた。俺たちなら当然生き延びられると励ましあった。だけど。
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    onsen

    DONE百々秀

    百々秀未満の百々人と天峰の話です。自己解釈全開なのでご注意ください。
    トラブルでロケ先にふたりで泊まることになった百々人と天峰。

    初出2022/2/17 支部
    夜更けの旋律 大した力もないこの腕でさえ、今ならへし折ることができるんじゃないか。だらりと下がった猫のような口元。穏やかな呼吸。手のひらから伝わる、彼の音楽みたいに力強くリズムを刻む、脈。深い眠りの中にいる彼を見ていて、そんな衝動に襲われた。
     湧き上がるそれに、指先が震える。けれど、その震えが首筋に伝わってもなお、瞼一つ動かしもせず、それどころか他人の体温にか、ゆっくりと上がる口角。
     これから革命者になるはずの少年を、もしもこの手にかけたなら、「世界で一番」悪い子ぐらいにならなれるのだろうか。
     欲しいものを何ひとつ掴めたことのないこの指が、彼の喉元へと伸びていく。

     その日は珍しく、天峰とふたりきりの帰途だった。プロデューサーはもふもふえんの地方ライブに付き添い、眉見は地方ロケが終わるとすぐに新幹線に飛び乗り、今頃はどこかの番組のひな壇の上、爪痕を残すチャンスを窺っているはずだ。日頃の素行の賜物、22時におうちに帰れる時間の新幹線までならおふたりで遊んできても良いですよ! と言われた百々人と天峰は、高校生の胃袋でもって名物をいろいろと食べ歩き、いろんなアイドルが頻繁に行く場所だからもう持ってるかもしれないな、と思いながらも、プロデューサーのためにお土産を買った。きっと仕事柄、ボールペンならいくらあっても困らないはずだ。チャームがついているものは、捨てにくそうだし。隣で天峰は家族のためにだろうか、袋ごと温めれば食べられる煮物の類が入った紙袋を持ってほくほくした顔をしていた。
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