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    SONOKO

    @84e5bBV3to90zYt
    降志が好きです。
    個人的な好みが強い特殊設定のものはポイピクを使ってみようと試行錯誤中。

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    POIPOI 24

    SONOKO

    DONEあゆみちゃん、哀ちゃんを思う。
    ちょっと読んでる話に引きずられたのです。
    星を待つあんなに日が長かったのに、今はもう、気を抜けばすぐに真っ暗になってしまう。暑苦しくて、早く涼しくならないかなぁとぼやいていたくせに、なってしまえば心の中はスウスウと涼しい風が通り抜け、ほんのちょぴっと切なくなる。
    夕方と夜の間の時間を足早に駆け抜けていけば、目の前に広がる不思議な色の空で、ぽつんと強く輝く星を見つける。
    東の方角に見えたそれを指差して、哀ちゃん、と宙に言う。思い出の中の哀ちゃんは返事をせずきらきらと微笑む。
    あれはなんという星だったかな。木星か、金星だった気がする。確かなことは、教えてもらった星の名前が漢字だったこと。哀ちゃんがすらすらと答えてくれたこと。せっかく教えてくれたのに覚えていないなんて勿体ない。でも、もう一度聞こうとしたときにはもう哀ちゃんはここにいなくて、だから、私が忘れてしまったのは哀ちゃんのせい。そんなことを言う私は悪い子。哀ちゃんだって、私を寂しくさせたくていなくなったわけじゃない。夜の闇がさっきよりずっと広がった気がして、私はひとり立ち止まる。闇に際立つ月に照らされて、まるでスポットライトのよう。風がざわざわと街路樹を揺らす。
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    SONOKO

    DONE展示用小話その3です。
    薄すぎて伝わらない二人…のはずが、これは恋人同士でした。
    他の3つよりは甘いか、な…。
    ひとこと妄想談の6「小さな幸せを噛みしめる瞬間」がテーマ(?)のはず。
    それぞれ単体のお話です。
    薄すぎて伝わらない小話③【二人しか知らない】「素敵な彼氏さんですね」
     軽やかな笑い声と共に、そっと耳打ちをする。そして志保が答える間もなく、にこやかにサテン生地のブラウスを差し出された。滑らかな肌触りと洗練された色使い。
     これは先ほどまでショーウインドウに飾られていたものだ。思わず目に止まったものの、彼女はこのまま通り過ぎようとしていた。だが、隣の男も彼女と同じく、一目見て気に入ったらしい。
     ――かわいいね、きっと志保さんに似合うよ、と彼女の手を引いた。志保の戸惑いを見透かしたように、とにかく一度着てみればいいと背中を押す。
     志保には少々敷居の高いハイブランドのショップだったが、臆することなく物を見せてくれと言う彼の隣で、志保は必死に背筋を伸ばす。年上の、これまた相当ハイスペックな恋人を持つと、そんなの柄じゃないとわかっているのに、いつの間にか背伸びしてしまう。恋とはかくも恐ろしい。
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    SONOKO

    DONE二回目のおうち訪問という超無理矢理なお題突破です。
    先ほどの話とは何の関連もありません。
    ただイチャイチャしているだけともいうパート2。
    初々しい二人は大好物です。
    キャンセル不可 彼女の部屋まで送る道。名残惜しい空気の中で、コーヒーでもどうか、と年下の恋人が言った。
     彼女は同世代と比べれば大人びている方だけれど、彼より一回り下。彼女の過去の経歴から考えても男女交際については疎いだろうし、ましてや夜と称するような時間帯に一人暮らしの自分の部屋に男を招き入れるなど褒められた行いではない。
     しかし、彼は彼でいわゆる普通の恋人ではなく、なかなか彼女との時間を作れない忙しい人間だった。一月いや二月に一度、外で夕食を共にするくらい。付き合ってからそこそこ日が経過しているものの、二人は交際しはじめたばかりの初々しさを残したままだ。
     普通の恋人同士を知らない彼女でも、さすがにもう少し相手と一緒に過ごす時間が欲しいようであるし、その気持ちは彼も同じだ。彼女が彼を全面的に信頼していることも、このお招きに裏がないこともわかっている。それはそれでお邪魔した後に葛藤することになるだろうけれど、それはさておき彼は二つ返事で頷いた。彼女はほっとした様子で微笑む。二人は車を降りて、部屋までの階段を一緒に上がり始めた。
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    SONOKO

    DONEただイチャイチャしているだけのお話。
    R15くらいかもしれない。(一応)
    クリスマス(当日じゃないけれど)デートする二人。
    デートほとんどしていないけど。
    一応利害の一致婚した二人の設定ですが、「結婚しているくせに初々しい二人」という認識だけで大丈夫です。
    恋人ごっこ「――デート?」
     志保はほかほかと湯気を上げる白菜を箸で持ったまま、彼の言葉を繰り返した。
    「あぁ。僕たち、恋人らしいことせずに結婚しただろう? どうかな、たまには」
     鍋を間に挟んで向かい合った降谷が、冷凍うどんを鍋に入れながら言った。それを見て志保はコンロの火を強くする。
    「……別に、いいけど…」
    「志保さんはあまり気乗りしない?」
    「ち、違うわよ」
     彼女は大きく首を振った。だが彼はこちらを見ておらず、菜箸でうどんをほぐしている。彼女はひっそり小さく口を尖らせた。
    「動物園とかどうかなって。志保さん、結構そういうところ好きだろう? ちょうど十二月の週末はクリスマスイベントをやっているらしいよ」
     
     二人が結婚したのは一年ほど前だが、それまでの経緯は多少特殊。志保のわがままに降谷を巻き込むような形で籍を入れ、まるで契約のような結婚をした。つまり、交際期間ゼロの、利害の一致婚である。
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