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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-07-16/夏の空閑汐も折り返し!怪談話に弱い空閑とムードもクソもない汐見♂である。汐見♂がムードもクソもないのは通常運転ですね……

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #文披31題
    wenPhi31Questions
    #BL

    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day16 錆びついた金属で作られた扉を開けば、ひどく耳障りな音が響いた。
    「蝶番まで錆び切ってるじゃん、やっぱりやめとかない?」
    「センセが言うには、三十年位開けてないらしいぞ。センセも中見たことないつってたし。仕事なんだから仕方ないだろ」
     ひどくぎこちない動きで開かれた扉に呆れたように声を上げ眉を寄せる空閑に、汐見は苦笑混じりで言葉を返す。学校の敷地の端に作られた旧格納庫、今まで取り壊す話が何度か出ていたらしいその場所は遂に取り壊される事が決まったらしい。取り壊し前の備品確認に召集されたのが空閑と汐見であった。
     中に入り照明のスイッチを押しても反応ひとつ返ってこない薄暗がりに遂にため息を吐き出した空閑は、吉嗣に渡されていた懐中電灯で中を照らす。その場所はがらんどうで、寒々とした空間になっていた。
    「何もないじゃん」
    「だな」
     整理する手間が省けた。この格納庫を使うことを辞めたタイミングで全ての荷物を運び出していた事を、古くから居る教員たちも忘れてしまっていたのだろう。夏の熱すら寄せ付けない冷えた空間に汐見は小さく笑う。折角だから涼んでいきたい。
    「アマネ、何してんの」
    「昼寝でもしようかと」
     格納庫の真ん中で大の字になる汐見に、訝しげな声を投げた空閑へと言葉を返す。汐見の回答に空閑は面食らったような声を上げるのだ。
    「何で!? ちょっとした廃墟みたいな所で昼寝しようと思えるの!?」
    「涼しいからな」
    「涼しいっていうより不気味って言うんだよこういうのは!」
     校内の怪談スポットになってるって知らないの!? 重ねられた空閑の言葉に汐見は幾度か瞳を瞬かせる。三年間通った学校だが、噂話にはそれほど興味がなかったのだ。
    「そうなのか?」
    「そうだよ! 俺らに行けって言った先生のあの顔見た!? 完全にいじめっ子だったよ!?」
    「何か面白がってるなとは思ったな」
     汐見の答えに空閑は頭を抱えて格納庫の床に膝を付きながら「アマネって本当周りの人間に興味ないよねぇ!」と叫ぶ。そんな空閑の様子を見ながら汐見の頭にはひとつの可能性が過ぎっていった。
    「ヒロミ、お前、怖いのか」
    「昔から怪談とかその類のものは苦手なんだよね……」
     不本意そうに呻き声を上げる空閑に、汐見は小さな笑い声を上げる。普段は鷹揚で余裕を持った空閑が、こうして余裕を投げ飛ばすのを見るのは気分が良い。笑い事じゃない、とでも言いたげな空閑の視線を感じながら床に寝そべっていた汐見は腹筋だけでその身を起こす。
    「ヒロミが可愛く見えるな」
    「アマネ、面白がってるでしょ」
     恨みがましげな視線を汐見に向ける空閑に「バレたか」と一言だけ溢した汐見は戯れのように空閑の唇に触れるだけの口付けを落とした。
    「幽霊はエロい事に弱いって聞いたことがあるぞ」
    「洋モノホラーはセックスした人間から殺されてるけどね!?」
     我ながら酷い誘い文句だったな、と半ば涙声になり始めている空閑の反論を聞き流しながらも汐見は床に座り込んでしまった空閑を立たせ、涼やかな格納庫から夏の暑さが照りつける場所へと足を向けるのだ。
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    狭山くん

    TRAINING2022-07-01/文披31題夏の空閑汐♂祭始まるよ!!!!!そう言えば学祭の話って書いてなかったな〜って思ったので初夏は学祭の季節だろ!?と空閑汐♂には踊って頂きました。学祭で踊るタイプの男性アイドルユニット、うっかり某SとAを思い浮かべてしまった。地元じゃ負け知らずだぜ、アミーゴ。
    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day01 太陽は山の奥へと隠れ、空は紺青と朱による美しいグラデーションを見せていた。校舎の屋上から遠くに揺れる海原を見つめていた汐見は、屋上に巡らされた柵に凭れて大きなため息を一つ吐き出す。
    「おつかれ」
    「お前もな」
     からからと笑いながら疲れを滲ませた息を吐き出す汐見へと労いの言葉を掛けた空閑に、汐見は小さく笑い言葉を返す。卒業証書を受け取ってから数ヶ月、季節は夏へと差し掛かる頃で。互いに高校指定のジャージを纏う彼らは、次の進学先への渡航までの間をこの場所で過ごす事を決めていた。
     実家に帰るよりも、渡航までの約半年をこの場所で知識を深めた方が有意義だという結論に達したのは何も彼らだけではない。彼らよりも前に卒業していった先達であったり、同学年で本校への進学を決めている者の一部も同じような選択をしており――学校もまた、それを受け入れる体制が整えられていた。
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