2/28気が合うってそういうことだ「そういうわけで、今夜はこれを観ます」
金曜日の夜。ごはんを終えたあとにメフィスト様が取り出したのは、最近人気の映画だった。
R18で、放送ギリギリのえっちなシーンが話題になっている。
「これを観て、気分を盛り上げてから寝室になだれ込みます」
「……はあ」
相変わらずバカなことを考えるんだなと思いつつ、言い出したら聞かないので言われたとおりに先に風呂を済ませる。
ソファに並んで座って、いざ再生!
「……おおう」
しょっぱなから、なかなかえっちだ。私の腰にメフィスト様の腕が回されて引き寄せられる。
「……ん?」
けど、なんか、こう? えっちなんだけど、それだけじゃない。登場悪魔がたまに意味深な動きをするから気になって目が離せない。
「うわっ……」
「えっ……」
最初は私もメフィスト様もちょっといい雰囲気で寄り添って観ていたのだけど、気がついたら身を乗り出して映画に見入ってしまっていた。
やがてエンドロールが流れ始める。同時にメフィスト様がス魔ホを取り上げた。
「これ、続編が出てるらしいよ」
「えっ、観ましょう」
「前中後編があって、今見たのが前編。来月後編が公開だって」
「観に行きましょう。スケジュール押さえます」
私も急いでス魔ホと手帳を取り出す。
「……今見たのは借りてきたものですよね。前編中編まとめて買ってきます」
「よろしく」
「後編の公開日が……あっ、会食入ってます」
「キャンセルで」
「……ちょっと……難しいお相手ですね……。んー、けどレイトショーの一番遅い時間ならいけそうです」
二人で色気もなにもあったもんじゃない話をする。いや、だってめちゃくちゃ面白かった。続きがあるなら観たい。
今観た分も見逃した伏線が山ほどありそうだからもう一回観たい。
「なんか、全然そういう雰囲気にならなかった」
同じことを考えていたらしいメフィスト様が苦笑した。
「そうですね。じゃあ、そういう雰囲気になるまで感想戦をしましょう」
「いいね。お酒飲んでいい?」
「もちろん。おつまみ用意します」
二人でいそいそと厨房へ向かう。
こんな夜も楽しい。