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    イコプリ続きが完了しました。ちょっと海樫要素あるかも。オカルト。

    #イコプリ
    iconography

    幽霊列車生駒と王子は上層部から直々に呼び出され、任務の依頼を受けた。
    任務依頼内容は「近隣住民から弓手町駅という廃線に、走るはずの電車が走っているという目撃が多発しており、ネイバーの仕業ではないかという苦情が寄せられている為、生駒隊と王子隊合同で調査をして貰いたい」ということだった。
    生駒は「その調査は人数をかけてするほどのことではないのでは? 両隊長だけで事足りるので二人だけで調査することを許して欲しい」とかけ合えば「そうか? まあ少ない人数で出来るなら構わない」と許可を得た。
    部屋から出て生駒の提案がらしくないと王子は不思議がり、生駒に直接尋ねる。
    「……生駒隊は四人編成が売りじゃなかったのかい? ぼくと二人で任務にあたるって、いいの?」
    「…………オージ、廃線にあるはずのない列車が動くって……ほんまにネイバーの仕業と思うか?」
    「ネイバーの仕業にしては、意味がわからなさすぎるね。どちらかと言えば都市伝説の類いだと思うけど。幽霊列車とか、きさらぎ駅とか、そういうものを彷彿とさせるね」
    「そう! それ! 絶対霊的なもんやと思うわ。三門市民あるあるやけど、なんでもネイバーの仕業と思い込みがちやよな」
    「まあ……うちの隣の奥さんも、庭の花が枯れたのはネイバーの仕業だって騒いでいたことがあったな」
    「ネイバーの仕業やなくて霊的な現象って、絶対怖いやん。俺らは霊能者やないんやから絶対なんとかならへんって。俺忍田さんの話聞きながら足ガクガクなっとったもん。でも隊長やから、マリオちゃんにもあいつらにも、怖がってる姿見せられへんし」
    「あっは、ぼくにはいいの?」
    「被害は最小限にした方がええ」
    「忍田さんに、ネイバーの仕業じゃないんじゃないですかって言えば良かったのに」
    「言えるかいな。あんな真剣な顔して任務の話してんのに。とりあえず今回は退治するとかそんな話やなくて調査するだけやから、ネイバーの仕業やないってことを証明できたらええんやからな。サクッと調べてサクッと終わらすで。ほな今夜、弓手町駅に8時待ち合わせな」
    「オッケー」

    待ち合わせに来た王子は、なぜかカメラを首からぶら下げていた。
    「……オージ、なんでカメラなんて持ってきたん?」
    「心霊写真が撮れるかなって思って」
    「心霊写真なんて撮ってどないすんの???」
    「面白い」
    「面白くない?! しかもまた、それええカメラとちゃうの?! 心霊写真が精巧に撮れてしまうやないか!!?」
    「これクラウチから借りたんだ。これからイコさんとデートするから貸してって言ったら快く貸してくれたよ。“別に壊してしまうのは仕方がないが、絶対それでハメ撮りだけはするなよ”って笑いながら」
    「蔵内くん生徒会長のしすぎでおかしくなっているんとちゃうん?! そもそもデートって、周りからとんでもない誤解されてまうやん……」
    「でも羽矢さんは喜んでいたよ」


     弓手町駅の改札前にて「ところでそんな簡単に怪現象を目撃できると思う?」と生駒が王子に問いかけたとき、向こうの方から本来なら通るはずのない電車が走って来るのが見えた。
    「嘘やん……」
    「あの電車……この駅に停まるのかな? イコさん、ホームに出よう」
     王子と生駒は改札からホームへと上がる。すると丁度、電車が駅へと停車するところだった。
     プシューッとドアが開かれて、生駒が「なんやこれ、乗れるんか?」と疑問を浮かべた。王子は迷わず「乗ろう」と頷く。
    「え?! けど、乗って降りられんようになったらどないすん?!」
    「もしものときはイコさんの旋空弧月で電車を真っ二つにすればいいんじゃないかな」
    「そんな……物理的な攻撃なんか効くんか?」
    「狸が化かしているかもしれないだろ? まあその場合、狸が真っ二つになるわけだから、イコさんは動物愛護団体から訴えられるかもしれないけどさ」
    「俺になんのメリットもないやんかぁ〜……」
    「でもこのまま見送っちゃったら、次いつ遭遇するかわからないよ? サクッと終わらせようって言ったのはイコさんだよね?」
    「…………」
     生駒は諦めて乗るよりなかった。乗り込んだ電車内は普通の電車と変わらず。二人を乗せた電車は扉を閉めて、ゆっくりと走り出した。
    「これ、どこに行くんやろ?」
    「さあ。来る前に幽霊列車ときらさぎ駅を調べてみたけれど、幽霊列車の方は偽汽車と言って、狸の仕業みたいだよ。見かけはするけど中には入れないと、ぼくは思うんだよねぇ。となると、この電車はきさらぎ駅へと運んでくれるのかな?」
     電車が三門市の夜景を映し走っていく中、王子はとりあえず席へと座った。「お前よくこんな得体の知れん電車ん中で座れんなぁ」と生駒は感心しながらも、結局王子の隣へと座る。
     生駒が座った途端、目の前に大勢の乗客が現れた。
    「なん……? おいオージ、見えてるか?」
    「見えてるよ。……ねえ、なんだかこの人達、懐かしい感じがしないかい?」
    「懐かしいて、知り合いか?」
    「そうじゃなくて……服装が、なんだか今時じゃないみたいだ」
    「幽霊相手に何ファッションチェックしとるんや…………あれ? あそこの子、なんやオージに似とらん?」
     生駒が指差す方を見つめると、5歳くらいの男の子が母親とともに座席へと座っていた。
    「ねえ、パパはどうしていっしょじゃないの?」
    「パパはね、急にお仕事が入ったのよ。一彰、今日はお馬さんに会いに行くよ。楽しみだねー」
    「おうまさん? ほんと?! 楽しみー!」
    無邪気にはしゃぐ幼児を見て、王子が目を見開いた。
    「あれは……ぼくだ」
     幼い姿をした自分がまだ若い母親とともにそこにいる。初めて馬に触れた日を、王子は昨日のことのように覚えていた。
     父と約束したのに、父は来なかった。母とよく利用していたこの駅で、この電車で、休日の電車の中、三門の人々と揺られながら、幼い王子は確かにそこにいた。
     そんなことを思い出していると、生駒が首を傾げながら、「あれ? あの小学生の子、オージと一緒のカメラ持っとらん?」と肩を叩いてきたので、王子が振り返る。
     見たことある小学生が、生駒の言ったとおり王子が今首にぶら下げているのと同じカメラを胸にしており、表情が何やら楽しそうに電車の窓の外を見ている。
    「クラウチ……」
     王子は間違いない、と思った。彼は、小学生の頃の蔵内だ。
     この電車に乗り、美しい景色を撮りに行ったのかもしれない。
     王子はばっと辺りを見渡した。
     今より幼くて、まだ身長もそんなに伸びていない樫尾が椅子に座り、こんなときでも勉強を怠らない姿が見える。
     それからすぐ近くで、陽キャみたいな中学生の集団が電車内ではしゃいでおり、樫尾はそちらを見ずに煩わしそうに眉根を寄せていた。
     王子は集団のひとりに、見覚えがあった。
    「イコさん、あれ…」
    と声をかけようとすると同時に、
    「おい、静かにしようぜ」
     と戒める声が聞こえてきた。
     カイくんだ、と王子は気づいた。
     声をかけた南沢が、静かになった友人らを見渡した後、そっと樫尾の方を盗み見る。樫尾はどこか安堵したようにため息を吐き、また参考書を読むことに集中していた。ふたりはボーダーで出会うもっと前から、出会っていたのかもしれない。一方的な認知かもしれないが、と王子は思う。
     次に学生服の橘高が、スマホを見ながら電車に揺られているのが見えた。ふと彼女がこちらを見た気がしたので手を振ってみたが、気づかないか、見えないか、無反応だった。
    「……これはぼくたちの、思い出だ」
     電車が、ゆっくりと停車した。
     電車の中にいた懐かしい人々は、忙しなく降りていく。気がつけば元の弓手駅に戻ってきており、「どうする?」と尋ねてきた生駒に「……降りようか」と王子は決断する。
     電車の扉を跨いだとき、王子は振り返って幽霊列車を見上げた。
    「……ありがとう」
    ぼくたちはきみのことを忘れない。いつかまた、会える日まで。
    「イコさん、報告書はぼくが出しておくよ」
    「ええんか? というか、もう終わったん? 俺、斬らんでええんか?」
    「ダメダメ。そっとしておいてあげて。誰かまた、乗るでしょ」

     余談だが、カメラを返した後に蔵内から「身に覚えのない写真があるんだが?! お前にそっくりな子どもと、俺の小学生のときの写真と、カシオと南沢と羽矢さんが……! どういうことだ?!」と詰め寄られ、王子は笑いながら「あは、ちゃんと撮れてたんだ、思い出の心霊写真」と喜んだ。
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    水鳥の

    MOURNING初のイコプリSS。大半が十九歳。関西弁は空気で読んでください。 付き合ってからと言うもの、王子は事あるごとに生駒に好きを伝えたがる。
    「好きだよ、イコさん」
     時も場所関係なく伝えられる言葉に、生駒は不思議そうに尋ねたことがある。
    「なんや、王子、どないしたん?」
    「うーん、何でもないよ。ただ言いたいだけ」
    「それなら、ええ」
     にこにこといつもと変わらない笑顔を張り付けて、王子は生駒に言う。生駒は、本当にそうなら問題ないな、と頷いた。
     
    「で、今も続いてる、と」
     生駒から経緯を聞いていた弓場は、片眉を器用に持ち上げて嫌そうな表情をした。
    「そうや」
     生駒はいつもと変わらない表情で弓場の問いに答えた。
     日差しの気持ちよい午後、ボーダーのラウンジの一角に何故か十九歳組が集まり、何故か近況はどうなのかと言う事になり、何故か、王子と付き合っている生駒の悩み相談が開始された。
    「王子も可愛いところあるじゃないか」
     嵐山が、どこが悩みなんだ? と不思議そうに言う。
    「いや、何回も続くと生駒も鬱陶しいんじゃないのか?」
     嵐山の問いに柿崎が答える。
    「いや、そんなんないな」
     生駒は、当たり前だと言うように柿崎の言葉を否定した。
    「ないのかよ」
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