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    満ツ雪

    @32_yu_u

    相出しか書けません

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    満ツ雪

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    大物配信者ザワさんと最近人気が出てきた新人配信者でっくんが出会うお話。また人様の素敵な設定で勝手に漲って書いてしまってすみませんです。しかも荒削りですごめんなさい。

    #相出
    phaseOut

    ゲーム実況してる相出『そーいえばおまえさ、デクって知ってる?』
    『誰だそいつ』

    キーボードを叩く手を止めて、俺は左側のモニターに目を遣った。Web会議の画面は開いているがそこにマイクの顔が映っている訳でも無いので視線を遣ったのは条件反射だ。
    今は次の配信の打合せ中だったが、まだ内容の半分も決まっていないところで唐突にマイクがそう話を切り出した。話が飛ぶのはいつものことなので俺も普通に返事を返す。

    マイクとはゲーム実況仲間だ。他の配信者と全く交流の無い俺が唯一連絡を取り合っているのが、このチャンネル登録者数六百万を越える大物配信者のプレゼントマイクである。ゲーム実況者の中でも規格外の登録者数を誇るのは、その巧みなトーク技術でラジオ番組まで持っているからに他ならない。ゲーム実況以外にもファッションや音楽に関する動画も上げていて、ファン層がかなり幅広い。

    一方のザワについてはこの俺プレゼントマイクが紹介しよう!コイツはゲーム実況だけで食っている。どんなキャラクターでも使いこなす高度なテクニックと深い知識、ゲームに対するひたむきな姿勢が評価されチャンネル登録者数は二百万を超えているぞ!特に解説動画には定評があり、教え方の上手さからザワ先生なんて呼ばれてるんだぜ。俺と違ってジョークとかは言わないからファン層は広くないが、コイツのシブーイ声目当てのコアな女性ファンもいるようだ!
    「ホラーゲームやってても上手すぎて怖くない」
    「ザワ先生の動画は見てて安心感がある」
    「いっそ爽快」
    「うますぎて草」
    「計算緻密過ぎてエグw」
    なんて声がコメント欄を埋め尽くしている変態テクの持ち主だ!以上解説はザワのリア友でもあるプレゼントマイクが務めました!イエーーー!!!

    『おまえが知ってるわけねーか。他の配信者になんて興味ねーもんな』
    『言いたいことがあるならさっさと言え』
    『や、最近配信始めた子らしくてさ、ぽやぽや~ってしててなーんか可愛いのよ。その子がさ、この前の動画でザワさん尊敬してます、ザワさん好きですって言っててよ、一緒に配信できたら嬉しいなんて言ってたから、いちおー伝えといたワケ』
    『興味無いな』
    『はいこれURL』
    『おい聞いてたか』
    『じゃ、俺収録あっからまたな!』
    『はいはい……』

    ──マイク さん が 退室しました

    騒々しい友人の声がプツンと途切れて、ヘッドフォンから流れるノイズが消えた。
    嵐みたいな男だ。いや、嵐と言うより祭か。賑やかで晴れやかで、不思議と嫌じゃない。人付き合いを面倒がる俺の十年来の友人で、ゲーム実況の世界に引き込んだ張本人だ。感謝はしている。表には出さないが。

    「……」

    さて。
    冷めたコーヒーで唇を湿らせてから、昨日撮った動画の編集に取りかかることにした。一度集中すると時間を忘れて没頭してしまうため、さっきのマイクとの会話はすっかり記憶から抜け落ちてしまった。
    次に時計を見た時には二時間半が経過していた。それもマグカップの中のコーヒーが無くなったから意識が引き戻されたようなものだ。キッチンにコーヒーを淹れに行きまたパソコンの前に戻ってきて作業に戻る前に、開きっぱなしだったWeb会議のウインドウを閉じようとしてようやく、そこにURLが記載されていることを思い出した。そのまま閉じてしまおうかとも思ったが、一息つくのも良いかと本当に気まぐれでURLをクリックした。
    背もたれに身体を深く預けてヘッドフォンを装着する。コーヒーに口をつけたところで広告が終わり、動画が始まった。どうやら生配信のアーカイブらしい。
    誰もが知っている有名ゲームのナンバリングタイトルだが、やりこみ要素が多い一方でストーリーがイマイチというシリーズの中でも評価の低い作品だ。しかも発売から既に十年近く経過している。このゲームの実況動画は出尽くしているし、投稿者の話し方からして十代だろう。何故この作品を選んだのか、そして何故この動画をわざわざアイツは送ってきたのか疑問しか出て来ない。

    『……ということで、今回はTwitterで僕にやってもらいたいソフトを募集したんですけど、たくさんコメントありがとうございました!ちょっと予想外の量で、頑張って集計してたのでお待たせしてしまいました、すみません。って、待っててくれた人いましたかね?あ、ありがとうございます、待ってたよーの声、嬉しいです。皆さんのオススメのこのタイトル、早速やっていこうと思います』
    (Twitterの投票でこのゲームに決まった?票が偏りすぎてないか)
    『実はこのシリーズやったことなくて、初めてなんですよ。やってみたいなーと思いつつ、もう10?11?までシリーズ出てて、手をつけ辛かったんですよね。だから今回プレイする機会ができて嬉しいです。魔法とかモンスターの名前とかもね、ちょっぴり知ってるくらいなので、皆さんも、初めてやるーってかんじで楽しんでくださればありがたいです』
    (まだたどたどしいところもあるが沈黙も無いし話せているほうか。だが突出した何かがあるようにも感じられないが)
    『オープニングムービー、グラフィックが凄いですね。十年前とは思えないクオリティー。引き込まれちゃいますね。飛空艇から見える街はこれから訪れることになるのかな?わあ……夕陽が綺麗でタイトルロゴが…………』
    (……?沈黙が長いな)
    実況で黙るのは良くない。感動するシーンで敢えてというなら分かるが、こんなところで……
    『ぐす、』

    「は?」

    素で声が出た。
    聞き違いでなければ泣いている。
    待て待てここのどこに泣く要素があった?
    耳を疑うが、尚も鼻を啜るような音が続いて投稿者のデクは一向に喋ろうとしない。

    するとチャット欄が怒涛の勢いで動き出した。
    『キターーー(゚∀゚ 三 ゚∀゚)ーーーー』
    『(∷´;ω;`∷)』
    『本日の1泣き目頂きました!』
    『そこ泣くとこw』
    『オープニングムービーの夕陽のとこで絶対泣いてくれるって信じてた』
    『デク泣きすぎw』
    『(∷´;ω;`∷)』
    『先が思いやられるw』
    『バスタオル必須』
    『(∷´;ω;`∷)グスッ』
    『(∷´;ω;`∷)ウッ』
    『(∷´;ω;`∷)』

    (何が……起きているんだ……)
    コーヒーを飲むのも忘れてじっとデクが喋り出すのを待つ。その間にムービーは終わって、メニュー画面が表示された。右側のチャット欄はずっとお祭り状態だ。

    『す、すみません、何か、これから主人公たちの冒険が始まるんだなあって、数々の困難や苦労が待ち受けてて、戦いに傷付いたり、出会った人たちとの別れがあったりするんだなって思ったら、泣けてき……』

    『(∷´;ω;`∷)』
    『(∷´;ω;`∷)ブワッ』
    『想像すなw』
    『冒険に思いを馳せ過ぎw』
    『先が思いやられます』
    『すき』
    『かわいい』
    『デクくんそういうとこ』

    『ごめんなさい、ちょっと鼻かんできました。えっと、バスタオルは3枚用意してあります。ゲーム始めますね。主人公の名前は、デク、と』
    「ぶっ」
    (バスタオル…3枚も用意したのか)
    動画の序盤も序盤で早速デクの人気の理由が判明した。
    ・すぐ泣く
    ・真面目
    ・素直
    毒ばかり吐く俺とは大違いだ。

    『バスタオル用意済みw』
    『バスタオル3枚www』
    『3枚多すぎw』
    『3枚で足りるか』

    『え、3枚じゃ足りませんかね。どうしよう、他の洗濯中だから、フェイスタオルしか無いんですけど、』
    ・バカ真面目

    その後もチャットで逐一いじられながら配信が進んでいく。きちんとひとつひとつコメントを拾って話していく点も好印象だ。

    (しかしすぐ泣くくらいでそんなに人気が出るかね)
    チャンネル登録者数は五千人を超えている。日が浅いのに随分と登録者が多い。最初だから面白がられているだけだろうかと動画を閉じよううとしたところで事件は起こった。

    「あ」
    『あっ、剣投げちゃっ……』
    装備しようとした剣を敵にブン投げて武器が無くなって死んだ。

    「あ」
    『ああああ、何でそこ崖……っ』
    普通に歩いていれば死なないエリアで崖から落ちて死んだ。

    「あ」
    『え、待って、通れない、通れないですここどうしたら良いんですか』
    村人とすれ違おうとして柵と村人に挟まれて身動きが取れなくなった。いまだかつてこんなバグ見たことがない。泣きながらリセットした。

    「あ」
    『何でこんな序盤でこんな強い敵出てくるんですかああああ』
    隠しボスにうっかり遭遇して死んだ。泣いた。

    (突っ込みが追いつかない……)

    追加。
    デクの個性
    ・おっちょこちょい
    ・トラブルメーカー
    ・バグ発見器

    (これはまあ、人気も出るか)

    盛況なチャット欄を見れば、いかにデクが愛されているか伝わってくる。
    少し興味が湧いてきてデクのチャンネルを開いてみると、今現在生配信の真っ最中だった。今流行っているオンライン対戦ゲームの実況らしい。四方八方全てが敵で瞬時の判断が必要となる難しいゲームだが果たしてデクに出来るのかと疑問を持ってしまう。また失敗して『かわいい』なんて笑われるだけだろう。そう思っていた。
    その予想は見事に裏切られた。

    「は、は。さっきあんな泣いてたやつと同一人物かよ」

    つい乾いた笑いが洩れてしまった。
    まるで別人だった。
    圧倒的だ。圧倒的に上手すぎる。常に視点を切り替え、敵の位置を予測し、武器を切り替え、巧みに忍び寄って攻撃し、規格外の距離から正確に狙撃する。武器に応じた距離の取り方、モーションの後の隙の付き方、攻撃を食らった後の無敵時間の把握、立て直し方、全て完璧だ。
    先程までの穏やかな喋り方とは一転して早口で淡々と状況を説明していくその知識量も目を瞪るものがある。

    (面白くなりそうだ)

    ニヤついてしまう口許を左手で覆いながら、右手をキーボードに乗せた。悪戯心が湧き上がってしまったのを止められなかった。
    こんばんは、と一言だけ打ってチャットに載せる。

    『あ、ザワさんこんばんは。どうぞゆっくりしていってくださいね』

    チャットに反応する時はぽやっとした喋り方になるデクは、どうやら俺に気付いていないらしい。その前に視聴者のほうが気付いたらしく、にわかにチャット欄が慌ただしくなった。

    『ザワさん?!』
    『え、ホンモノ?!』
    『ザワさん現る!!』
    『ザワせんせーーーーーーーー!!!』
    『ご本人登場!!』
    『デクさんデクさんそれザワさん!』
    『気付いてザワ先生だよ』

    『んえ?ザワ先生……?…………えええええええ?!ザワさん?!あの?!あのザワさん?!え、え、こ、こんばんは!こんばんはです!え?!どうしよう、あ、死んだーーーーーー!!!!待って、待ってくださいザワさんまだいます?もういないです?あ、ちょ、二戦目待って!無理!操作無理!無理ですうううううう!!!!』
    即死。

    これが俺とデク、こと緑谷出久との初めての交流だった。

    たった一言で投稿者とチャット欄を大混乱に叩き落としたこの時の配信から切り抜き動画がソッコーで作られたのは言うまでもない。


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    💴💴💴😭🙏😭😭💗💗💖💴💴💴🙏💴💴💴💴💴💴😭
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    満ツ雪

    DONE♀️装♂子な🥦くんは👀先生のことが大好き。今日も元気に猛烈アタック!
    普通のコーコーの普通のきょーしとせーとな👀🥦の話。👀の担当きょーかとか決めてません。自由に想像してほしい🙆
    がんばれ女装男子🥦くんあいざわせんせい。


    僕の担任の先生。

    僕の大切なひと。


    僕の大好きなひと。



    「失礼します!一年A組緑谷出久です!相澤先生!来ましたっ!」

    昼休み。
    職員室の入口でそう僕が声を上げると、先生方の視線が一斉に相澤先生に注がれた。呆れや羨望の入り交じったその視線を面倒そうな顔で受け止めながら、相澤先生が立ち上がる。

    「良いなあ愛妻弁当」
    「山田そういうこと言うとコイツが調子に乗る」
    「ふふ、相澤先生の愛妻でーす」

    そう言って先生の腕に絡み付くと、こらって軽く頭を叩かれる。優しいからちっとも痛くない。むしろ撫でられてるみたいで嬉しい。

    「良いわねえ相澤くん、かわい~い幼妻がいて」
    「やめてくださいよ香山先生」

    心底辟易した様子で相澤先生が睨みを効かせても、香山先生にはちっとも通用しない。「アオハルいいわ~頑張りなさい」って僕の背中をぐいぐい押してくれる。相澤先生とぴったりくっつく形になって、ぎゅうってその腰に抱き着こうとしたらさすがに相澤先生に本気で押し返された。
    1790

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    DONE俳優澤×ドル出勝手に書きました。すみません。え、ドル出が鈍すぎて俳優澤はいつまでも出くんとくっつくことができないんですか?ごめんなさい、もうくっつけちゃいました…ごめんなさい。
    俳優澤とドル出のお話『テレビ局の地下駐車場にいるよ』

    そんなメッセージをもらって僕は私物のパーカーを引っ掴んで慌てて走り出した。派手なステージ衣装のままだし、髪も瞼もキラキラしたままだけど、とにかく時間が惜しくて全力で走った。でもテレビ局は騒々しいから誰も僕のことなんか気にも留めない。おはようございます、お疲れ様ですって笑って挨拶しながら人の波をくぐり抜ける。もう1ヶ月も会っていないあの人の元へ急ぐため。

    ハア、ハアって息が上がる。
    さすがに駐車場だと真っ青な衣装の僕は悪目立ちする。荷物を搬入しようとしているスタッフさんたちがチラチラとこっちを見てくるから、パーカーの前を掻き合わせながら足早にその場を後にした。
    相澤さんの車は、柱の影になって一段と暗い一角に停まっていた。黒い二人乗りの、車種に詳しくない僕でも名前を聞いたことがある車。壁に向かって前向きに駐車されているから車内が見えなくて、何度もナンバープレートを確認してから助手席の窓をそっと覗き込んだ。
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