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    暁/houhoupoteto

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    ディルガイワンドロワンライ 花火
    君の目に写る

    #ディルガイワンライ
    dirGaiWanRai
    ##ディルガイ

    空に浮かぶ大輪の花を見ている姿、その儚い光はいつ消えてしまうのかと
    そればかりを考えていたように思う。

    「お前全然花火見てなかったろ」
    そう言われて気付いた。
    「そうだな。君が好きだから」
    「っ!?なっおまっそういう…っ」
    昔より、今の方が表情が豊かになっている。そうさせたのは僕ではないことは確かで
    「…さぁ、帰ろうか」
    その分を取り返すように、僕も素直に気持ちを伝えるようになった。
    椅子から立ち上がり歩き始めようとする帯を引かれる
    「なんだ?」
    振り向くと、座ったまま俯く姿
    「あーと、なんだ、その…」
    歯切れの悪い言葉に笑いが込み上げそうになるが、本人はいたって真面目そうなので我慢する
    「これ、やらないか…?」
    後ろ手から出したそれは、細い糸のようなもの
    「屋台で売ってたんだよ。線香花火って言うらしくてな。落ちないようにするのがいいんだと」
    「へぇ、そう言うものがあるのか」
    僕がやる気を見せたのが嬉しかったのか表情が明るくなる。
    二人でしゃがみ、一本ずつそれを持つ。そして僕の元素で先端に火をつけると
    「おぉ…いいな」
    ぱちぱちと、小さな火花が飛び散って、先端には少しずつ赤い玉がぷくりと出来上がる
    「大きいのもいいが俺はこっちの方が好きかもしれんな」
    「…あぁ、そうだな。あ…」
    それはこんなにも儚くて繊細。まるで君のようだ、と。
    「くそーもう一回!!」
    僕の方が数秒長く持っていたのが気に入らなかったのか軽く頬を膨らませている。
    こんなに表情が豊かになって、それは僕のせいではないけれど、それを見れるのは僕が一番で。
    そうありたいし、それ以外は考えられない
    「おー今度は俺の方が持ちそう…ってまた見てないだろ」
    赤い光が反射して、高揚しているように見える君に、無性に触れたくて

    「…僕の負けだな」
    乗り出した身を戻し、未だ続くガイアの花火と落ちた僕の花火。
    今度は青い光の筈なのに赤くなっている顔が可愛らしくて微笑んでしまう。
    未だ、幸せと言うにはまだ大っぴらには出来ないのだろうが。それでもいい。
    「…ず、るいだろ」
    あぁ、この一瞬が、永遠に続けばいいのになんて、柄にもないことを考えてしまったんだ。
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    DONE※※※ 一切合切あなたの自己責任においてご閲覧ください ※※※

    夭折したミヒャエル・カイザーの天文学的遺産を相続した潔世一が、それを元手に社会貢献活動をすると決める話。ビジネスフレンド出演、御影玲王。

    作中の相続に関する描写は全てフィクションです。現実の法制度等には一切準じておりません。予めご承知おきください。

    2ページ目は付録です。
    地獄の沙汰まで余らせないミヒャエル・カイザーが死んだのは、彼が現役を引退した1年後のことであった。

    世間には病死であるとだけ発表されたが、正確に言うならば癌だった。発見されたときにはもう全身くまなく転移しており、緩和ケア以外の治療の選択肢がほとんどなかったという。本人から聞かされた話だから、多分本当のことだ。

    「この癌といや遺伝的形質を持つことで有名だが、あいにく俺の親戚は癌になるほど長生きしないクズばかりでな。お陰で気づくのも遅れてこのザマ」

    昨年に行われたカイザーの引退試合はそれはもう華々しくて、いや本当これでサッカーを辞める選手とは思えないほど悪辣で元気いっぱいだった。相手チームの心をベキベキにへし折りながら当然のように勝利し、やつはピッチの上を去った。マスコミもコーチ陣もチームの運営もみんなして引退の理由と今後の予定を尋ねたが、カイザーは決してまともな返答をしなかった。やけに芝居がかった台詞で、きっぱりと未練がないことだけを語っていた。
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