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    佳芙司(kafukafuji)

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    リンク集【https://potofu.me/msrk36

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    POIPOI 81

    グランさんが「味が薄くないか?」と訊いてるのにうっかり「おいしい」と答えて「そうじゃなくて」ってツッコまれるエマちゃんの話。(四方山覚醒ストの内容を含む)

    #グラエマ
    graeme

    もうひとくち(グラエマ) いつかの卵焼きを当てる小さな勝負はあっさりついてしまった事は記憶に新しい。どうして分かったのか純粋に気になって訊ねたら『なんとなくそんな気がした』と答えられて、誤魔化されたのかもしれないとその時は思った。
     けれど違うかもしれない、とエマは今になって思い直す。もし逆にグランの作った料理を当てる事になったら、きっと当てられるし、その根拠を訊ねられたらやっぱり『なんとなく分かる気がするから』以外にない。慣れとか、馴染みとか、勘とか、経験則とか。色々言い換えられる感覚の記憶といえるものがあると思う。だから、つい。
    「おいしい」
    「そう言ってくれるのは嬉しいんだがな」
     小皿に取り分けた一口分のスープは塩加減も良くて、飲んだ時にスッと入っていくような味だった。
     余った野菜を細かく切って、炒めてよく煮込んで、残り物を無駄なく使ってもう一品作ってしまえる機転の良さも勿論だけれど、味の調整に塩と胡椒くらいしか使っていなかったように思うし、少しずつ足すのではなくて特に迷いもせず適当な量を入れていたから、これがグランが感覚で身につけた、グランの独自の味付けなんだなと噛み締める。
    「俺は味が濃かったり薄かったりしないかを聞いたんだが」
     多分チーズかけてもおいしいだろうな、みんなはベーコンがもっと入ってたら喜ぶんだろうなと考えていたら、小皿の中は空っぽになってしまった。もうちょっと食べたい。
    「もう一口……」
    「こら。俺の質問に答えてからだ」
     レードルに手を伸ばしたら避けられてしまった。おいしいからもう一口、と言った時点で答えなんて決まっているはずなのに意地悪だ、とエマは僅少口を尖らせる。空腹は過ぎると思考能力や判断力を低下させる。
    「おいしくて丁度よかったよ」
    「それはよかった」
     無言で小皿を差し出せばやれやれと肩を竦めて、グランはまた少しだけ掬ってくれた。
     早くみんな帰ってこないと私が独り占めしちゃうよ。なんて、我ながら子供っぽいなとエマは小さく笑った。



    〈了〉
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    TRAININGエマ視点→【https://poipiku.com/3176962/6268101.html】

    『Let’s take the long way home sometimes.』
    ゆめくろのグランフレア×エマちゃん(グラン視点) マイスターボードにメッセージの着信を知らせる音が鳴った。先程エマに送った、仕事が終わったら迎えに行くという旨のメッセージに対する返信で『なるべく早く仕事を終わらせるから』とスタンプ付きで書かれていた。
     忙しいだろうに、わざわざ返事を送ってくれる気遣いが嬉しい。小さな約束を交わせる事がこんなにも心をあたたかくして満たされるなんて、今まで知らなかった。迎えに行く事を許される事も、帰りが待ち遠しいと思う人がいる事も、全部この上なく喜ばしい。
     エマは連盟本部所属のギルドキーパーとして、国を越えて様々なギルドと連携を取り、調整と便宜を図る役目を担っている。更には自分達『月渡り』のためにも日々駆け回っている。只でさえ忙しいのだからと、彼女の負担を減らすためにも報告書の提出時にはミスのないよう注意深く確認し、送られてくる依頼書だけでなく請求書や明細書にもきちんと目を通すようメンバーに徹底させている。クロウは努力しているようだがイツキやノアにはなかなか難しいようで、ルージュは言わずもがなのため、なんとか体裁を取りまとめるのは結局リーダーの自分の役割だ。
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    DONEこちらのアンケート結果【https://twitter.com/kafukafuji/status/1522554377923620865?s=21&t=2GIpbQxVqsX9lfYCnepBbA】
    「わざと見せつける」を元にして書いたグラエマ+ヴィクトル。
    本人らは故意とは思ってないけど周囲がそう感じる時あるよね、と。
    several coats of nail polish.(グラエマ) 発売当時、雑誌でも取り上げられて話題になったカラフルマニュキアのキャッチコピーは『あなたのココロで染まる指先。』だったかしらね、とヴィクトルは記憶を辿った。持ち主の心が宿るという水晶鏡片を砕いて魔術で加工したものを染料として使っているとかいないとか。
    「アンタも塗ってみてよ。何色になるのか見てみたいわ」
     カジノの営業時間前に買い物に行ったついでに、つい盛り上がって一緒に買おうとなったカラフルマニキュア。そのままだと一見ラメ入りの青紫系統のマニキュアで、星空のように見えるのに、ひとたび爪に乗せると色が変わるのだから不思議だ。
     鼻歌交じりにボトルを開けて小指から塗り始めながらヴィクトルは自分の爪先がオレンジ色に染まっていくのをまじまじと見た。なるほど今はこの気分らしい、今日のネクタイはこの色にあわせてみようかしら、等々と考えて手際良く片手を塗り終えた。
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    佳芙司(kafukafuji)

    MOURNING前にピクシブに投稿してたやつ
    Like a bolt from the blue.(HeriosR/キース×ブラッド)

    「とにかく聞いてくれ、俺は昨日お前等と飲んで、リリーが帰った後にジェイと二軒目に行ったんだ、其処でもしたたか飲んじまって、まぁその時は後悔してなかったんだけど、会計済ませた後になってから段々吐き気を催す方向に酔いが回っちまったんだ、何度も泥酔の修羅場を潜り抜けてきた俺も流石にヤバいなと思って意識がある内にブラッドに連絡したんだ、俺はその時リニアの駅前のベンチにいたから大体の場所と、あとマジヤバい水飲みたいって事も伝えた、ちゃんと伝わってたのかどうか不安だったけどとにかくもう何とかしてくれーって気持ちだった、意識飛びそうなくらい眠気もあったけど、スられちゃ困ると思ってスマホと財布を握り締めて俺は大人しく待ってた訳だよ、そしたら着信があってさ、出たらブラッドなの、アイツなんて言ったと思う? 『項垂れてだらしなくベンチに座っているお前を見つけた。今そっちに向かう』って言ってさ、だらしなくって余計な事言いやがって、こっちはもう気分は最悪だってのによ、んで正面見たらさ、いたんだよ、真っ直ぐこっち見て、人混みの中を颯爽と歩いてくるブラッドがさ……なんかもう、今お前が歩いてるのはレッドカーペットの上ですか? ってな具合に迷いなくこっち来んの、しかも上手い具合に人の波も捌けててさ、もう何がなんだか分かんねーんだけど、目が離せなくて、ぼーっとしてる間にブラッドは俺の近くに来て、またアイツなんて言ったと思う? 『待たせたな』とかクッソ気障な事言いやがったんだよ笑いながら、いや待ってたけど、待ちかねてたけどさぁ、その確信を持った態度は何? って、唖然としちゃうってもんだよ、しかもこっちが何も言わないでいたら一言も言えないくらい体調が悪いのかって勘違いしたのかどうかは知らねーけど、わざわざ近寄って『立てるか?』とか訊いてくるし、いや立てるからって思って立ち上がろうとしたらさ、情けねーけど腰抜かしてたみたいで、よろけちまったんだよ、でもアイツは平然とこっちの腕引いて、オマケにアイツ、腰まで抱いて支えてきてさ、もう大混乱だよ明日雹でも降るんじゃねーのって思った、この天変地異の前触れを予感して困惑する俺を尻目にアイツは『手のかかる奴だな』とか笑いやがってさぁ」
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