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    nezumihako

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    nezumihako

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    化物語ぱろを書きたかった
    謎時間軸で意味不明
    ほんのり秋→品…?

    『はるか・クラブ』「俺、蟹が嫌いなんですよね」
    「え?何急に」
    ニューセレナで集まり各々好きに飲んでいた時、カウンターに座っていた品田が小さく呟いた。
    隣に座っていた秋山は訝しげに品田を見ては短くなった煙草を灰皿に押し付ける。
    「お前は好き嫌いなさそうに見えたけど…」
    「食べづらいからですね!」
    品田の答えに秋山は小さくため息を吐いて新しい酒を注文しては品田に訊ねた。
    「ていうか本当に何急に」
    「あの!」
    「?」
    二人の会話に割り込むように声をかけたのは
    「遥ちゃん?どうしたの?」
    「…」
    テーブル席で桐生と楽しげに会話していた遥だった。
    その表情は戸惑いつつも何かにすがりつきたくなるような、悩んでいる表情。
    「今…蟹がなんとかって…」
    「あぁ…品田ってば蟹が嫌いなんだってさ、意外だよ「重し蟹」…は?」
    秋山が話しているときにいきなりそう呟き、真剣な表情で遥を見る品田に周りにいた神室町の伝説達も会話を止めて耳を傾ける。
    「起源は九州…確か宮崎の山間あたりでの民間伝承。呼び名地域によっては『おもし蟹』『重いし蟹』『重石蟹』『おもいし神』とも呼ばれていて細部はバラバラ…まぁ兎だったり石だったりするんだよね」
    「え」
    「共通してるのは『人から重さを奪う』」
    遥は品田の言葉に目を見開き息を飲んだかと思えばいきなり頭を下げた。
    「お願いします!品田さん!」
    「遥…?」
    後ろで桐生が心配そうにしているが、遥は頭を下げたまま品田に頼む
    「私の、私の体重を奪ったあの蟹から…その重し蟹から…私の重さを…取り返してください!」
    「取り敢えず頭を上げて…桐生さん達にも分かるように話さないと」
    そう言って遥に頭を上げさせ、品田はポリポリと頬をかいてため息を吐いては何かを考えるような素振りをする。
    「どう話せばいいかなぁ…」
    「おい遥、体重を奪ったってのはどういうことだ?重し蟹ってのはなんなんだ」
    桐生は真剣な表情で遥に訊ねているが遥も困ったような表情をしてはうつむいた。
    「えっと……つい、この間…本当になんでか分からないんだけど…蟹に会って」
    蟹、と言われて遥と品田以外の男達は皆首を傾げた。
    蟹、甲殻類の節足動物で水中や水辺にすむあの蟹…の筈
    「会ったって…ここ宮崎じゃないよ」
    「場所なんて関係ないんですよ、そういう『場』ができればそこに生まれる、それだけですよ…重し蟹」
    シンプルでしょ?と言ってへらりと笑い両手で…ハサミのつもりであろうピースをつくる品田を桐生はジトリと睨み付け、詰め寄るように品田に顔を近づけた。
    「笑い事じゃあねぇだろ、その重し…がに?だかなんだかが遥の体重を奪っただと…?」
    「重し蟹、名前は重要なんですよ桐生さん」
    そう言って品田は遥の方を向き小さく首を傾げながら口を開く。
    「手助けは出来るよ」
    「!本当ですか!」
    「うん、でもね遥ちゃんこれだけは言わせて…『ああいうモノ』ってどこにでもいるしどこにもいない、て言えるんだ、つまり遥ちゃん。君の心の在りようってのが切り替わるだけなんだ」
    品田の言葉に今度は遥が首を傾げ、桐生と秋山は顔をしかめる。
    「まるで禅問答じゃないのさ」
    秋山の言葉に品田はゆるゆると首を横にふり、口角を吊り上げた。
    「いやいや…違いますよ秋山さん……遥ちゃん、君は薄々気づいてる筈だよ…何かのせいでそうなったわけじゃないってね」
    ぴくり、と遥が僅かに身動ぎ品田を見る、対して品田はニューセレナの壁に掛かっている時計を見てはいつも通りの笑顔を向けた。
    「それじゃ、一旦解散ということで」
    「「はぁ!?」」
    「え、あの…蟹は…?」
    「準備があるんですよぉ色々と…遥ちゃんは一回冷水で体を清め、清潔な服に着替えてから桐生さんと一緒に…そうだな…神室町からちょっとだけ離れた「○○」っていう廃墟があるから夜零時にそこで集合」
    「わかりました…」
    「…俺もいいのか、品田」
    桐生の問いに品田はまたにこりと笑って
    「遥ちゃんも安心しますよ、それに夜中に未成年の子歩かせるわけには行かないでしょ?」
    品田の言葉に一同は確かにと頷いて遥と桐生は準備をする為にニューセレナを出ていき、秋山と品田以外の男達も解散していく。
    「…ね、品田…俺も行っていい?」
    「へ?まぁ…かまいませんけど」
    「ありがとう…準備とか手伝わせてよ」
    善意に見せかけた秋山しか知らない下心に気づかない品田は助かりますと笑う。
    「けど…その重し蟹?から重さを取り戻すって上手くいくの?話を聞くかぎり場所とかなんか色々難しそうだけど…」
    「大丈夫っすよ、俺がいるんで」
    自信満々というわけでもなく、当たり前のことのようにさらりと言った品田に秋山は一抹の不安を感じつつ手伝いをする。

    しかし重し蟹どころかそういった知識が全くない秋山が手伝いなどできるわけもなく品田に苦笑いされたのは内緒の話。

    ◆◆◆◆◆◆

    二人が泊まっているホテルにて、シャワーを浴びて着替えている遥にアイマスクをし壁に顔を向けている桐生は訊ねた。
    「遥、何で言わなかったんだ?」
    「…これ以上、おじさんに迷惑かけたくなかったの」
    「…お前に一度も迷惑かけられた記憶はねぇが」
    桐生の言葉に遥は手に持っていた白いワンピースを床に落とす。
    「…蟹に体重を持っていかれたなんて、信じてくれないかなって…」
    「お前がそんな嘘つかねぇのは知っている」
    「…ありがとう、おじさん」
    「…早く着替えろ」
    「ごめん、着替えるの少し大変なの…服が、重いから」
    「…そうか」

    ◆◆◆◆◆◆

    塾を作ろうとしたとか、映画館を作ろうとしたとか、様々な噂があるが結局何を目的とした建物だったのか分からないまま工事が途中で中止になってしまったこの廃墟。
    時刻はPM11分50分、桐生と遥は品田に言われた通りの準備をして廃墟を訪れていた。
    「来ましたね」
    「秋山か…お前が来ていいのか」
    「大丈夫ですよ、品田から許可を得ましたんで」
    いつも通りの秋山が廃墟の入り口で桐生達を待っていたが品田の姿はない。
    「秋山さん…品田さんは?」
    「奥の一番広い部屋で準備して待ってるって…行きましょう」
    廃墟の奥へ進む秋山に着いていきながら、桐生は遥の手を握る。
    「おじさん…」
    「大丈夫だ、遥」
    奥の部屋の前には見慣れない白い装束に身を包んだ品田が立っていた。
    「こんばんは、桐生さんに遥ちゃん」
    「品田、お前…元プロ野球選手の現風俗ライターじゃなかったのか?」
    「いやそうですけど…どうしました?」
    「その格好は…?」
    「…色々と事情がありましてね、この格好がいいかなと…さて、ちゃっちゃと終わらせましょ!場は用意しましたんで」
    「ちゃっちゃとって…そんな気楽で大丈夫なわけ?その蟹ってそんな簡単に退治できるの?」
    秋山の言葉に品田は目を細めて口角を吊り上げる。
    「乱暴な考えですねぇ秋山さん、言ったでしょ?『ああいうの』はただそこにいるだけ、貴方達が生まれるずっと前からそこにいるのが『当たり前』の存在なんすよ」
    品田の手首に付けられた鈴がチリンと小さく鳴る。
    「だから『こちら側』から『触れない限り』『何もしない』、存在しないのと同じなんすよ…つまり」
    「私の方から…触りに行ったってことですか?」
    遥の問いに品田は頷く。
    「そう、敷居に上がり込んできたのは蟹じゃなくて遥ちゃんの方なんだ」
    そう言って品田が部屋の扉を開けば、中は廃墟とは思えない程に片付いており四隅に置かれた燭台が儀式でもするかのように部屋中に張り巡られた注連縄らしきものを照らす。
    床には桐生達には読めない程に達筆な何かが書かれ、奥には祭壇が設けられそこには小皿や供え物が置かれていた。
    「だから下手にでてお願いするんだ」
    「…ここは、なんだ」
    「お願いするための場、結界みたいなもんですよ…あ、そうだ遥ちゃん、お化粧はしていない?」
    「あ、はい!しない方がいいかと思って…」
    「うん、それが正解」
    安心させるかのように笑って部屋の中に入る。
    「それじゃあ三人とも、目を伏せて頭を低くしてくださいね?」
    「…なんだと?」
    「神前ですよここは、もう」
    品田の言葉に、空気が一気に重くなる。
    頭を下げて目を伏せる。
    部屋の真ん中に遥が、桐生と秋山はその後ろで見守る位置で、品田は祭壇の前に立つ
    「それじゃあリラックスして…警戒心を解くところから始めようか」
    「はい…」
    品田の穏やかな声に不思議と緊張が解れていく。
    「まず数をかぞえよう…」

    『一つ』

    『二つ』

    『三つ』

    『四つ』

    『五つ』

    『六つ』

    『七つ』

    『九つ』

    『十』

    「落ち着いた?」
    「…はい」
    「じゃ、質問に答えようか」

    品田と遥の声を聞きながら秋山は準備していた時の品田の言葉を思い出す
    『作法は大して大切じゃないんすよ、彼らとの対話に一番大切なのは雰囲気…心の壁を取り払って信頼関係を作り上げること、その為には遥ちゃんの心のコンディションが重要なんです』
    ((優しいなぁ、品田は))

    「名前は?」
    「澤村遥」
    「通ってる学校は?」
    「○○○学校…」
    「誕生日は」
    「○月∇日…」
    「子供の頃の失敗談は?」
    「おじさんにあげるチョコレート…塩と砂糖間違えたこと…」
    「…なんだと?」
    「…一番好きな芸能人やスポーツ選手は?」
    「プロボクサーのジャッカル八木沢…」
    「ングッ…フ…」
    「……好きな音楽は?」
    「オトメタルmy life…」

    「一番辛かった思い出は?」

    「ッ…!」
    空気が、更に重くなった。
    「遥ちゃん、一番辛かった思い出は?」
    「……私が、私が滅茶苦茶に、してしまった、こと」
    チリンと、品田の鈴が鳴る
    「滅茶苦茶に、とは?」
    「私が、私の夢を叶えたいから、コンサートで、いきなり引退したから」

    チリン

    「おじさんのことも、アサガオのことも、私の夢を皆が認めてくれるって思ってたから」

    チリン

    「私が、私が悪いんです…!!私が!!」

    遥の泣き叫ぶような声に桐生と秋山は歯を食い縛る。
    遥だけが悪いわけではない、違うのだと叫びたい。

    「おじさんや皆にも迷惑かけて、アサガオにマスコミがきて、雑誌やネットには、誹謗中傷が沢山書かれてて、皆は気にするなって言ってくれた…けど…」
    「辛い?」
    「つらい、です」
    「けれど、今は桐生さんやアサガオの皆と暮らせてるんだろう?良かったじゃない」
    「でも、でも!!今でも思うんです!!私が、私がアサガオに帰らなければ!!コンサートを諦めていたら!!夢を諦めていたら!!アイドルにならなかったら!!!皆辛い目にあわなかった!!朴社長も死なずにすんだかもしれない!!おじさん達も傷つかずにすんだかもしれない!!」

    それは、少女が背負うには重すぎる後悔

    夢を叶える為の、努力と犠牲

    澤村遥の、夢だったもの

    チリン

    「そう思う?」
    「…はい」
    「本当に?」
    「思う、思います…!」
    「だったらそれはね、遥ちゃん。君の思いだよ…どんなに重くても、それは遥ちゃんが背負わなきゃならないんだ」
    「…は、い」
    「他人任せには、しちゃだめだよ」
    「他人任せ…なんて」
    「…目を背けずに、目を開けて見てみようか」
    品田の言葉に、遥も、桐生も、秋山も目を開けた。

    チリン

    チリン

    鈴の音にあわせて蝋燭の火が揺らぎ、影も揺らぐ。

    「あ、ぁ、あ…!!」
    「…遥?」
    目を見開き、驚愕に満ちた表情をした遥に桐生が声をかける。
    ガタガタと震え品田を、正しくは遥の方を向いた品田の「前」にいるなにかを見つめている。
    「遥!?おい!大丈夫か!?」
    「見える?」
    「見え、見えます!蟹が!あの時の蟹が!」
    蟹がいると言う遥に駆け寄る桐生と秋山、しかし二人には蟹など見えない。
    「蟹なんて見えないよ…?」
    「でも、でも見えます!!蟹が、あの時会った蟹が…!」
    「おい品田!どういうことだ!」
    品田の表情は変わらず、ただ遥を見つめている。
    「遥ちゃん、言うべきことがあるんじゃない?」
    「…え?」
    「重し蟹、思いし蟹、思いし神に……沢山の人の思いを背負って夢を叶えようとした君が壊れてしまわないように、君の《おもし》を支え、代わりに背負ってくれた神様に」
    品田のその言葉に、遥達はようやく合点が行った。
    なぜ遥の重さが奪われたのか、品田の発言と名前の重要さ。
    思いし神に、重さを背負ってもらったのだ。

    遥がつぶれてしまわないように

    遥の瞳からポロリと涙が零れる。

    チリンッ

    「!!」
    ゆらりと蝋燭の炎が大きく揺れた途端、品田は表情を一変させた。
    桐生達には見えない蟹が、暴れだしたらしい。
    「神様ってロリコン多いからなぁ…!」
    遥の涙に興奮でもしたのか、蟹が暴れ遥に襲いかかろうとしている。
    「あっ…」
    ハサミが遥に向けられたのだろう、目を見開き固まる遥。
    そして庇うように遥達の前に出た品田が、蟹が見えない桐生達からすればいきなり品田が壁際に叩きつけられた。
    「カハッ…!」
    「品田!!」
    桐生達には見えない何かに壁に押さえつけられているようにしか見えない、しかし遥には品田が自分を庇って蟹に叩きつけられ押さえつけられているように見える。
    「品田さん!!」
    品田を助ける為に駆け寄ろうとする遥。
    「待て遥!!」
    「おじさん…!でも品田さんが…!」
    「だ、いじょう、ぶ…!」
    喉を圧迫されているのか息苦しそうな品田の声が聞こえ、ハサミで傷ついたのか品田の白い装束にじわりと赤い染みが広がる。
    「大丈夫なわけないだろう!!」
    「品田…くそっ!どうする、どうすればいい!?」
    桐生と秋山の声に品田はまた口角を吊り上げる。


    「遥、ちゃん…」
    「品田さん!!」
    口の端から血を溢しながらもあの笑顔を浮かべ、優しく遥に言う。
    「言うべきことがあるんじゃ、ない…?お人好しの神様に…」
    品田の言葉に遥は息を飲んでは涙を拭い、品田を押さえつけ傷つけている蟹に近寄る。
    「っ遥ちゃん!」
    「秋山、ここは遥に任せろ」
    桐生の言葉に秋山は踏みとどまり心配そうな表情で品田と遥を見守り、桐生も万が一に備え拳を作っておく。
    桐生達には見えないが、おそらく蟹の前に膝をついた遥が言った。

    「ごめんなさい」

    深々と、桐生と秋山には見えない蟹に頭を下げる遥。
    「それから、ありがとうございました」
    大粒の涙が、床を濡らす。

    「でも、これは私の『思い』です、私が背負います、失くしちゃだめなものでした」

    「お願いします、どうか私に、私の重みを、返してください」

    「どうか私の『夢』を、返してください…!!」

    チリンッ

    鈴が鳴ると同時に品田が床に落とされた。

    「…あぁ」
    品田は酷く穏やかで、そして疲れた顔で笑う。
    重し蟹還ったのか消えたのかは桐生と秋山には分からないが終わったのだけは分かった。
    顔をあげて子供のように泣きわめく遥。
    そして重みを、夢を取り戻した遥を抱きしめる桐生。
    血を流す品田に駆け寄り手当てをする秋山。
    品田はようやく一息ついて
    「あぁ…疲れた」
    と小さく溢した。

    ◆◆◆◆◆◆

    「あまりに辛いことがあるとその記憶を封印したりするなんてドラマとかによくあるじゃないですか。例えるならそんな感じですよ」
    わりと傷が深く出血もあったのに品田は手当てを受けては早々に後片付けをし話し出した。
    「まぁ簡単に言ってしまえば遥ちゃんは重さを奪われていない、自分で差し出したんですよ…《等価交換》ってやつですね、蟹は遥ちゃんの『何か』…今回は夢とその後悔かな?それと引き換えに重みを受け取っていたんですよね~」
    「つまり…遥が蟹に重さを差し出したことで夢を叶えた時のことを後悔したり悩むのを止めたってことなのか」
    首をかしげる桐生に品田は苦笑いを浮かべ
    「まぁそんな感じですね…本当に面倒なやつなんすよね蟹って…食えないやつですよ」
    「蟹が嫌いってそういうことか…」
    片付けを終え、四人揃って廃墟を出ていく。
    「品田さん、本当にありがとうございました…!」
    「すまねぇな品田、後で必ず礼はさせてもらう」
    「なんか桐生さんに言われると怖いんですけど…まぁ話はまた明日にでもしましょうよ」
    品田の言葉に同意したのか、桐生と遥は何度も品田に礼を言いながら先に帰っていく。
    二人の姿が見えなくなった途端、品田は大きく息を吐いた。
    「ふー……」
    「品田、大丈夫なの?」
    「…実は結構しんどいっすね」
    そう言ってふらついた品田を秋山は咄嗟に支えて声をかけた。
    「おい品田!?ちょ…あぁもう!」
    携帯を取り出して救急車を呼ぼうとする秋山に品田は待ったをかけた。
    「病院は、いいです」
    「何言ってんだこの怪我で!?」
    「少し休めば治るんで」
    「はぁ!?」
    休めば治ると言う品田に秋山は舌打ちをし渋々携帯をしまっては近くのベンチに腰掛けて品田を休ませる。
    「……お前さ、こういう…怪異?にしょっちゅう出くわしてるの?」
    「出くわすというか…向こうから来る感じですかね」
    「なんで…」
    「…知り合いに言わせれば俺は怪異にとって極上の餌らしいんすよ…だから蟹も面倒な儀式なしで呼べたし、蟹もずっと俺を離さなかった」
    煙草に火を点け、一服する秋山。
    「…じゃあその格好は『生け贄』のつもり?」
    「正解、遥ちゃんに怪我させたくなかったし」
    「…お前は本当に馬鹿だよ、品田…」
    空に浮かぶ月に向かって紫煙を吐き、秋山はこの底無しのお人好しで自己犠牲が強すぎる男をどう守ろうか考えることにした。

     
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