秋山の悪夢噛みつくようなキスをされて目を覚まし、抱き締められた。
品田は寝起きで働かない頭でぼんやりと「ああ、また悪夢を見たんだな」と考えながら自分を抱き締める恋人、秋山の頭を撫でた。
秋山は時折悪夢を見る。
かつて愛した人が死ぬ夢を
「ほら大丈夫ですよ秋山さん」
「…っ!」
秋山の頭を自分の胸元に押し付け、心音を聞かせる。
「…いき、てる」
「生きてますよ」
すがるように服を掴み品田の胸元に頭を擦り付ける秋山の姿はまるで子供のようであり、品田は優しい手つきで秋山の頭を撫でた。
「品田、品田…怪我してない?」
「してないですよ」
「夢の中の品田は」
「はい」
「血だらけで、冷たくなってて」
「うん」
品田の心音と体温で少し落ち着いたのか、秋山はぽつりぽつりと今回の「悪夢」について話し出す。
「俺が何度声かけても、名前を呼んでも目を覚ましてくれなかったんだ」
「そうですか」
子供のように品田の胸にぐりぐりと頭を擦り付け、小さく鼻を鳴らす秋山。
「品田」
「はい」
「俺より先に死なないでよ」
「…努力はします」
子供をあやすようにぽんぽんと背中を叩く品田に秋山は再び頭を擦り付ける。
「…そこは嘘でも先に死にませんって言ってよ」
「俺、嘘吐くの下手なんですよ」
「…知ってるよ、ばーか」