Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    hagi_pf

    @hagi_pf

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🌂 🐳
    POIPOI 79

    hagi_pf

    ☆quiet follow

    雨クリワンドロ第2回お題「手を繫ぐ」
    すごくn番煎じの朝の海に行く二人

    #雨クリ
    raincoatClipper

     冬の朝の海はきんと冷え切っている。
     クリスと二人海辺を歩きながら、雨彦は朝日の昇る海を眺めた。
     地方ロケで泊まる宿がたまたま海の近くだったことに、クリスはとても喜んだ。クリスが早朝に海を見に行く予定だと聞いた雨彦は、せっかくだからとクリスについて行くことにした。
     しっかりと着こんでは来たが、風が吹くとやはり少し寒さを感じる。きらきらとした目で海を眺めるクリスも、鼻のてっぺんが少し赤い。あまり長居をすると身体が冷え切ってしまうだろう。よく見れば、クリスは手袋もしていない。
    「古論、手袋はどうした?」
    「宿に置いて来てしまいました」
     クリスは冷えた両手にはあ、と息を吹きかける。
    「まだもう少し見ていくかい?」
    「はい。女将さんが、朝日を見るならもう少し先が良いと」
     まだこのまま歩くのであれば、せめて手だけでも温めてやった方が良いだろう。
     そう考えた雨彦は、自身が身に着けてきた左手の手袋を外す。そのまま手袋をクリスの左手につけさせて、素手になった自身の左手でクリスの右手を握った。
    「雨彦」
     クリスが少し照れたように雨彦を見上げる。
    「これで少しは温まるだろう」
    「ありがとう、ございます」
     雨彦もクリスもアイドルだ。いくら恋仲だといっても、人の目がある以上普段の街中であればこうはいかない。
     だが早朝の海は人気がない。であれば今くらいは、こうして外で恋人のように手を繋いでも問題はないだろう。
     雨彦はクリスの手に指を絡める。
     さっきまで海に夢中だったクリスが、雨彦を意識して時折ちらちらとこちらを見てくるのが愛おしい。
    「朝の海も悪くないもんだな」
    「ええ、そうでしょう!」
     海の魅力に気づいてくれたのか、とクリスが明るい表情をする。
     確かに朝日にきらめく水面は美しい。雨彦は海のことはよくわからないが、それでもこの光景を見ていると、心が洗われるような心地がする。
     だが雨彦の言葉の意味はそれだけではない。
    「海が綺麗なのはもちろんだが、こうしてお前さんと二人で手を繋いで歩くこともできるだろう?」
    「ふふ、そうですね」
     クリスが雨彦の手をぎゅっと握り返してくる。
    「こうしていると、宿に戻るのが惜しくなってしまいます」
    「また来ればいいだろう?」
    「!はい!」
     雨彦の言葉にクリスが嬉しそうに笑う。
     そのまま海辺を歩きながら、二人は二人だけの静かな時間を過ごした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ❤❤❤💕💕💕☺☺👏👏🙏🙏💴💖❤🙏☺💘💘💘👍👍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    sy_leg

    MEMOノイくんにマウント取る大人気ない暁さんの話。
    暁理のつもりで書いたのだけれど暁さんも理人さんも殆ど出てこない上にそもそもコレは暁理なのか自信がなくなりました。
    「あーーーー終わんない!!」
     時空警察庁にある一室、特殊部隊に割り振られている事務室で真白ノイは大声をあげた。目の前にある端末には書きかけの報告書が表示されている。出動1回につき1通の報告書を提出する決まりになっているが、出動が続き未提出の報告書が溜まってしまっていた。今表示されているものが5つ目で、まだ残り6件分の報告書がある。
     ノイが報告書に追われているということは、バディである理人もまた同量の報告書に追われているということでもあった。大声をあげたことで理人に叱られるかと思ったが、声すらかけられないのでノイは拍子抜けする。
    「気が済んだなら報告書の作成に戻れ」
     ノイの視線に気付いたらしい理人はそこでやっと声をかけて来た。既に既定の勤務時間は過ぎてしまっているのだから理人の言うようにすぐ報告書の作成に戻るべきなのだが、ノイの気は重いままだし集中力も切れてしまっている。これらの報告書の提出期限は今日の2359までだが、まだ2000を少し過ぎたところなので余裕はあった。
    1367