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    リキュール

    @liqueur002

    GWT(K暁)
    今のところGWTだけ。基本雑食。

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    リキュール

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    ホワイトデー!独占欲というか所有欲っていいですね。オトナな余裕があるKKだけど、コイツはオレのものって周りに見せびらかしたいって実はずっと思ってた。そんなお話。

    #K暁

    運命の人はオレのものK暁 ホワイトデー

    差し出された一輪のバラと小箱に目を見開く。
    正直なところ、ホワイトデーにこうして何か貰えるなんて考えてもいなかった。バレンタインはお互いが贈りあった形だったから、それで完結したと思って何も用意していないのだ。
    そんな焦りが顔に出ていたのか、KKが吹き出して笑い出す。

    「オレが勝手にやったことなんだから気にしなくていい。いいからこっち開けてみろよ」
    「でも、…あ、キャンディ?」
    「カゲリエに花買いに行ったら売ってたんだ。オマエ戦うときによく糖分摂るだろ」
    「最近は減ってきてるけどね。…ありがとう」

    カラフルなキャンディの箱からひとつ赤いキャンディを取り出し包装を解く。宝石のようなカットをされたそれを口に含むとふわりと苺の甘みが口いっぱいに広がった。
    砂糖の甘さというより苺の果汁をそのまま固めたような自然の甘さが美味しい。無意識に口元が綻ぶ。かろりと舌で転がし堪能していると、箱の底に何かが反射し光って見えた。キャンディをかき分けそっと指で摘む。
    小さい黒っぽい石のついた金属のチェーンだ。

    「これ、ブレスレット?」
    「違う、足につけるやつだ」

    ひょいと僕の手からアンクレットを取ると、屈んで足を掴む。突然の事にその場でたたらを踏むが、KKの肩を掴むことで事無きを得る。
    KKが裾を捲り冷たい指先が足首を這い、そのひやりとした感触に身を震わせた。
    手を離し足首を飾る白銀色を見てKKは満足げに頷く。

    「似合うな」
    「そう?」
    「スモーキークォーツは退魔とかヒーリング効果とかあるらしいぞ他は…調べてみろ」
    「途中で説明が面倒くさくなったな?…クォーツってことは水晶?綺麗だね」

    しゃがみ込んだまま、また足首を掴むKKを不思議に思いながら片手でスマホを操作する。
    スモーキークォーツの石言葉は安定、癒やし、くじけない心。安眠なんていうのもあるのか。不眠症の治療にも使われたことごあるらしい。どうやら最近眠りが浅いのは気づかれていたようだ。スマホの画面をスクロールしていくとアクセサリーの意味という関連記事を見つけ、覗いてみる。

    「身につけている人は自分のものだと所有欲を表し、それを周囲に証明する…?」

    自身の左足首にキラリと光るアンクレットに頬を赤らめる。足首をすり、と親指で撫でたKKがニヤと口角を上げた。

    「まぁそういうことだ」

    ぐん、と視界が揺れる。いつの間にか抱き上げられ目線が高くなったかと思うと強引に唇を塞がれた。ペロリと唇を舐める赤から目が離せない。KKは僕の口から奪った赤いキャンディを噛み砕き部屋へと歩き出した。

    「け、KK」
    「お返ししたかったんだろ?今から貰うぞ」
    「最初からそのつもりだったんだろ…」

    体を支える腕を叩く。機嫌良さそうに鼻歌を溢す彼にそれ以上何も言えず、赤い頬を隠す様に肩口に顔を埋めた。

    「ああ、そうだ。せっかくだが今夜は安眠できないだろうからな。先に謝っとくぜ」

    くすくすと笑い混じりで告げられた言葉に、背中を引っ叩くことで返事をする。
    照れくさいが、こんな求められ方をして嬉しくないわけがない。僕もアンクレットを贈ろう、もちろん左足に。
    力を抜いて足を見る。そこには所有欲の証がキラキラと揺れていた。

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    リキュール

    DONE #毎月25日はK暁デー
    7月お題【宿題】を書かせていただきました。またも大大大遅刻。
    可愛いこと言い出すあきとくんとそんな可愛いやつを甘やかしちゃうけけの話。
    美味しいもの食べるあきとくん。
    生姜の辛味は何にでも合う気がする。
    甘やかしには辛味を足して七月、それはある者にとっては書き入れ時、またある者にとってはただの平日、そして僕らの様な学生にとっては長い夏休みの始まりである。

    休みに何しようかと楽しそうに予定を立てる友人たちを横目に僕は頭を抱えていた。
    夏は夜に肝試しをする若者が増える季節ということもあってか、禁足地や事故物件が騒がしくなり毎夜KKと共にパトロールに精を出していたのだが、そんなこんなで忙しくしていたので、すっかり忘れていたのだ。
    前期の試験やレポートは問題ないが、引き続き後期でも受講する選択科目の講義には宿題が存在することを…!
    普通ならば夏休み中にやればいいんだから焦らなくても、なんて思うだろうがこれは資料集めが厄介で、どれも大学の図書館にしか無いようなものばかり。休みに入る前に資料の検討をつけてコピーしなくてはならないのである。ただでさえ難しい科目で前期レポートもギリギリだったのだ、生半可なレポートは出せまい。夏休み中も図書館に来ることはできるが休みには遠出の依頼があるため資料を求めて毎回行くわけにはいかず、できるだけ必要な資料は今のうちにまとめておきたい。それにあわよくばKKとの時間ももっと確保できれば…大丈夫僕ならやれる。
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    りんご

    DONEまじない、あるいは、のろい (ここまで読みがな)
    K暁デー「スーツ」
    お題的なこともあって結婚と葬送の話をどっちも書きたかっただけです。あっきーがバカ重い感じですが、その環境ゆえにうまく隠すことがうまかっただけで彼の本質はこうだろうなーとか思ったり。いつものごとく二人で喧嘩して、戦って、駆け抜ける話です。
    中の人本当にありがとうございました、お陰で細々と楽しくK暁を追いかけられました。
    呪い短くも長くもない人生を振り返るにあたり、その基準点は節目にある行事がほとんどだろう。かくいうKKも、自らのライフイベントがどうだったかを思い出しながら目の前の光景と類比させる。
    準備が整ったと思って、かつての自分は彼女に小さな箱を差し出した。元号さえ変わった今ではおとぎ話のようなものかもしれないが、それでもあの頃のKKは『給与三ヵ月分』の呪文を信じていたし、実際差し出した相手はうまく魔法にかかってくれたのだ。ここから始めていく。そのために、ここにいる隣の存在をずっと大事にしよう。そうして誓いまで交わして。
    まじないというのは古今東西、例外なく『有限』である。
    呪文の効力は時の流れに飲まれて薄れてゆき、魔法は解け、誓いは破られた。同じくしてまさか、まじないの根本に触れることになるだなんて思わなかった、ところまで回想していた意識を、誰かに強い力で引き戻される。
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