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    hikagenko

    @hikagenko

    HN:
    ひかげ

    サークル名:
    Hello,world!

    ジャンル:
    ド!、ズモなど

    イベント参加予定:
    25/05/04 超5次ドリ2025

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    hikagenko

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    https://poipiku.com/5557249/7752011.html とか https://poipiku.com/5557249/8512575.html とかの永遠ビュ。
    高校生永遠井ライトの同級生(モブ)が、人間化ビューガに恋をして失恋する話。のメモ。
    名前ありのモブがいっぱい喋って、ライトと仲良く?なったり人間化ビューガと喋ったりする。

    #ズモ
    #永遠ビュ
    eternityView

    モブの初恋と失恋の話モブ設定
    ・杉 太一(すぎ たいち)
    ・ライトの同級生(高校)

    人間化ビューガの外見の設定
    ・銀髪長髪
    ・赤目
    ・身長高い


    *****


    会社の飲み会で、初恋の話をアツく語っている人がいた。
    初恋と聞いて思い出したのは、不思議な雰囲気を纏ったあの2人のことだった。


    (太一の回想ここから)
    天才少年、永遠井ライト。
    彼はとても有名で、隣のクラスの自分ももちろん知っていた。
    音楽の天才で小学生の頃からいろんな賞を取っていて、今でもたまに大会に出ては入賞している。成績も優秀で、不動の学年1位。
    顔がよくて、頭がよくて、音楽ができる。スポーツだってできる。しかし天は二物を与えず、ということで…いや、めちゃくちゃ与えているけど…性格はいいとは言えず、むしろいい性格をしている。
    自分が知っているのはその程度だったんだが。
    ある日の放課後、ふと顔をあげたら数メートル先に永遠井ライトがいた。そして永遠井ライトの隣には人がいて、その人と永遠井ライトは手を繋いでいた。恋人繋ぎってやつをしている。
    別に永遠井ライトに興味はない。誰と付き合っていようが性格が悪かろうが、俺の知ったこっちゃない。のだが、さすがにあの永遠井ライトと付き合っている人というのは興味が湧いてしまい、ジッと見てしまう。
    永遠井ライトも背が高いが、隣の恋人も背が高い。銀色の長髪は高い位置で括られていて、歩くたびに左右に揺れている。
    なんの話をしているのかまでは聞き取れないが、永遠井ライトの声がなんとなく明るいのが分かった。へえ、永遠井ライトも人間だったってことか。
    ふたりが角を曲がっていく。その時に、恋人さんの横顔が少しだけ見えた。
    赤い瞳。緩んだ口角。それを見た瞬間、俺の心臓は急にはねた。
    その日、俺は天才少年の恋人に一目惚れしてしまったのだった。

    かといって、行動する度胸があるわけもなく。だって相手はあの天才少年。勝ち目があるわけがない。
    たまに帰り道で見かけて、その後ろを歩くだけ。いや、ストーカーではない。ただ帰り道が一緒なだけで。本当に。
    恋人さんを真正面から見たことはいまだにない。角を曲がる時、永遠井ライトの方を見るときの横顔、その程度だ。
    怒っている時も、少し笑っている時もある。


    「ねえ、ちょっといい?」
    永遠井ライトに声をかけられたのは、初めて恋人さんを見てからひと月くらい経った頃だった。
    振り返る。誰もいない。360℃見回す。天気のいい放課後だというのに、中庭には誰もいない。何でだ。
    「はは、キミに話しかけてるよ。隣のクラスの杉 太一くん」
    全身に嫌な汗をかく。お父さん、お母さん、おじいちゃんおばあちゃん。僕は今日、みんなにお別れをしないといけないのかもしれません。
    「…聞いてる?」
    「あ、はい、聞いています」
    「ちょっと聞きたいことあるのだけどさ、いい?」
    「はい、すいません、もちろん、はい」
    「別に取って食おうってわけじゃないぜ?」
    「はい、すいません」
    永遠井ライトに促され、ベンチに座る。
    「最近俺達のこと見てるでしょ」
    「…あの、帰り道が、一緒…ですよね…偶然なんか…前を歩いていらっしゃることが多くて…」
    「あぁ、別にストーカーされてるなんて思ってないぜ? 君の家と俺の家、まあまあ近いみたいだし」
    「家を把握されている…」
    「いや、ゴミ捨てしてるの見たことあったから」
    「えっっ!?」
    まじで近所ってことじゃん…。
    「でさ、ビューガのこと好きなの?」
    「え、と、あ、あの銀髪の」
    「そう」
    「いや、そんな、天才少年永遠井ライトの恋人さんにそんな感情を抱くなんて恐れ多い…」
    「いや、別に恋人じゃないし。っていうかなんで敬語なの? 同級生じゃん」
    「いや、すいません、無理です。エ、恋人じゃないんですか?」
    「恋人じゃないよ」
    「手、繋いで歩いてますよね、いつも」
    「まあそうだね」
    「…恋人じゃないのに?」
    「恋人って何?」
    「…え?」
    「だからさ、聞きたいの、そういうことなんだけど。杉 太一がビューガに恋をしているならさ、分りやすいかなって思って」
    「…ん?」
    「何?」
    「…ちょっとよく分からないんですけど…え、永遠井ライトに恋について質問されているんですか? 僕」
    「そうだよ。俺もビューガも、愛も恋もよく分かっていないから」
    「…2人ともよく分からないけど、外で手を繋いで歩くんですね?」
    「俺とビューガはまあ…約束してるんだよ。ビューガは俺が死ぬまで俺と生きる。それだけ。で、ビューガは俺が簡単に死んだら困る理由があるから、外を歩く時は手を繋いでる。それだけだ」
    「それだけ…? なんか、それは十分愛な気がしますけど」
    「愛って何? っていうか、ビューガのどこが好きなわけ? 顔?」
    「あ、僕がビューガさんを好きなのは確定事項なんですね…」
    「好きじゃなきゃ何見てたわけ? 俺のこと?」
    「いや、違いますケド」
    「ふーん、じゃあビューガじゃん」
    「あ、はぁ…そうですね…」
    「じゃあいいよ、お互い1つずつ質問していこうぜ。お先どうぞ」
    「え? は、え? えーっと…じゃあ…出会ったきっかけは?」
    「えーっと、5年前かな。ビューガに声をかけられて」
    「お、結構長い付き合いなんですね」
    「じゃあ次、俺ね。ビューガのどこが好きなわけ?」
    「…目が」
    「目」
    あの視線を。愛と気付かないことは、幸せなのか、不幸なのか。どちらなんだろう。
    初めて二人を見たあの日、数メートルの距離、ビューガさんの横顔くらいしか見えなかった俺にも、「あぁ、愛おしいものを見ている人間は、こんな穏やかな顔をするんだ」と思わせた、あの顔を。
    いつも近くで見ているだろうに、あれを愛であると名付けられない彼の人生は、一体どんなモノだったんだろう。
    気付かずにいられるほど愛に溢れた人生なのか、その逆なのか。自分には分からない。
    「…綺麗だなって」
    「…目が、綺麗…?」
    永遠井ライトは不思議そうな顔をしている。
    「えと、じゃあ…次、僕の番ですね。恋とか愛とか、そういうの聞いてどうするんですか? なんか、あんまそういうの気にしなさそうなのに」
    「まあ、言葉の定義に興味があるわけじゃないね。何が出来て何をしたいのか…俺達には何がいらないのか、そういうのを知りたい。どうせ、あっという間に死んじゃうんだから」
    「はぁ…悲観的?ですね」
    「死ぬまでにやれることをやっておきたい…それだけだ」
    「…ナルホド?」
    「じゃあ、杉 太一はもしビューガと付き合えるなら何をするわけ?」
    「へ?!」
    永遠井ライトが笑っている。
    「いや、僕は決して2人に割って入りたいわけでなくてですね…」
    「まあビューガ相手じゃなくていいや。質問の意図はさっきので伝わっただろ? 恋人と何をする?」
    「えー…? まあ…手を繋いで歩いたり」
    「今俺達のこと考えてるでしょ」
    「えっと、まあ、ソウデスネ」
    「回答が薄っぺらいな~。あとは?」
    「うっ…えーっと…まあ、世間一般というか普通な回答になりますが、キスをしたり…?」
    「したり?」
    「ちょっと、これセクハラなのではないでしょうか!」
    「意図は話したじゃん。別にイヤならぼかしてもいいけど」
    「…えーっと…イチャイチャしたり…?」
    「したり」
    あの人の目を思い出す。愛を如実に語るような、目。
    「…言葉を、尽くす」
    「え?」
    「…思ってること、伝えたいこと…伝わってほしいこと…そういうの、全部、ちゃんと言葉にしないといけないなって…思います」
    ビューガさんと会話したことのない俺には、何も分からないけど。
    ビューガさんも、永遠井ライトの言うように愛も恋も分からないのだろうか。
    あの目は、無自覚なものなんだろうか。
    「…色んなことを、共有できたなら、すごく幸せなことだと思います。まあ、他人が相手なんだから、全部が全部は無理だろうけど。それに…自分が何を思っていて何がしたいかなんて、きっと正解なんてないし…明日の自分は違うこと考えてることだってあるだろうし…曖昧だけど」
    「…そう」
    永遠井ライトは、ゆっくり笑った。腑に落ちたようだ。
    「えっと…ビューガさんのどこを好きになったんですか? え、好きっていう感覚くらいならあります?」
    「好きも愛も恋も、同じくらい曖昧な言葉だと思うね。まあ、さすがに好きじゃないなんて思ってないよ、お互いに。ビューガのどこを好きになった、か…。どこだろうな。…俺のことを好きなところ?」
    「うわぁ…」
    思わず声が漏れた。何その強すぎる回答。
    「はは、お気に召さないか?」
    「いや…あの、僕は実はずっと惚気話を聞かされていたんでしょうか」
    「そんなつもりはないけど」
    「無自覚な惚気話、つっよ…」
    「惚気なのかな?」
    「惚気ですね」
    「ふーん、そっか」
    「うぅ…強すぎる…。えっと、質問、ありますか?」
    「うーん、とりあえずもういいかな。また何かあったら聞かせてよ」
    「え、惚気話ついでに?」
    「はは、じゃあそう言っておこうか」
    「心の準備はさせてほしいです」
    永遠井ライトは俺が思っていたより人間らしくて、でも、俺とは遠い世界の人間だった。


    永遠井ライトとビューガさんの惚気話でぶん殴られてから数日後。
    「あ、杉 太一」
    帰り道、コンビニに寄り道していた俺がコンビニから出ると、永遠井ライトとビューガさんに出会った。
    「っえぁ…」
    初めてビューガさんの顔を正面から見そうになって、咄嗟に顔を手で隠す。うわぁあの目、あの顔、無理無理なんか…直視なんてできるわけない!
    「…何してんの。自動ドアのところで立ち止まるの止めなよ」
    「…お、恐れ多くて、つい…」
    とりあえず自動ドアの前から避ける。
    「…ライト、俺先に帰るか?」
    ビューガさんの声をちゃんと聞くのも初めてで、うわ、かっこいい。え、かっこいい!
    永遠井ライトが俺の様子を笑っている。
    「いや、大丈夫。コイツね、ビューガのこと好きなんだって」
    「うわー!! 何面白い冗談を言うんですかね永遠井ライトくんは!!! 面白い子ですねえ!!!!」
    「冗談?」
    何不思議そうな顔してんだ!! 咄嗟に永遠井ライトの隣に並んで、ビューガさんに頭を下げる。
    「いつも面白いですね永遠井ライトくんは!!! お世話になってます!!!!」
    「…ライト、なんか弱みでも握ってんのか?」
    「握ってないよ。あ、俺とビューガのこと、ちょっと知ってるよ」
    「そうか」
    「うわースイマセン僕が聞いたわけではないんですが! 永遠井ライトが勝手に惚気たんですが!! 聞いてしまってスイマセン!!!」
    「…ライト、こういうの『カツアゲしてるみたい』って言うんだろ?」
    「あー、そうかも」
    「合ってるけど違います!!!!」
    思わず顔を上げる。目が、あった。
    ビューガさんは穏やかな顔をしていた。サラサラと揺れる銀髪。赤い瞳。
    「ライトに友達なんていたんだな」
    「へえ、ビューガも友達って概念知ってたんだ」
    「なに?」
    かと思えば眉間に皺を寄せている。案外、表情がコロコロ変わる。
    「…仲良しですね、ほんと」
    繋がれたままの彼らの手。
    「まー、さすがにね」
    「さすが?」
    ビューガさんが今度は不思議そうな顔をする。
    「あの…お幸せに! …って、僕なんかが言うのは変なんですけど」
    天才少年永遠井ライトは、あの頃…よく知らない頃に思っていたよりずっと人間らしい。そんな永遠井ライトのことを、優しく見守るビューガさん。
    あの目が。熱が。すれ違わないことを願いたくなる。
    「変かは知らないけど、礼は言うぜ。この前付き合わせた分も合わせてな」
    「…はい」
    「あ、引き留めて悪かったな。どうせ途中まで方向一緒なのに」
    「あ、いや、あの、さすがにお2人と一緒に歩くのは…申し訳ないのでお先にどうぞ…」
    「はは、図太いのか繊細なのか、よく分かんないな」
    「はぁ、ソウデスカ…」
    「じゃあな」
    「はあ、シツレイシマス…」
    ビューガさんはちょっと手を挙げてくれた。うわー、俺に向かってアクションをしてくれるなんて! 思わず頭を下げる。
    2人が歩いていくのを見送って、俺はもう一度コンビニに戻る。後ろを歩く勇気なんてあるわけない。
    …きっと俺の存在なんて、永遠井ライトの人生に対した影響なんてなくて。
    俺の言ったこと、俺が聞いたこと、意味なんてたいしてなくて。
    ビューガさんのあの目を。愛と名付けるのはそれを向けられている永遠井ライトだけで。
    「…まあ、全部俺の勝手な想像なんだけど」


    (進学のために引っ越すことが確定した太一。
    ライトとは多少関係が続いている。すれ違えば声をかける。太一は試験前にたまに泣きついたりしていた。
    ライトはたまにビューガの変な話をする。レンジで卵を爆発させたとか。)


    コンビニから出ると、ビューガさんが1人で歩いていた。
    目が合う。
    「あ、どうも」
    手をあげてくれる。1対1で会話することはほぼない。当たり前だ、ビューガさんは俺に興味なんてないんだから。
    「あの、ビューガさん、ちょっとだけお話しさせてもらっても、いいでしょうか」
    ビューガさんがコンビニの屋根の下に入る。
    「あの、僕来月引っ越すんで…進学で。だから、お世話になりました、って挨拶です」
    「そうか」
    「あの…永遠井ライトと、お幸せに…って、僕なんかが言うことじゃないんですけど…」
    ビューガさんがふっと笑った。
    「人間はすぐ、幸せを願うな」
    いつからかビューガさんに抱いていた違和感を確認する権利は、きっと俺にはない。まあ、一番ないのは俺の勇気なんだけど。
    「…僕以外にも、言われますか?」
    「言われる」
    「なんか、嬉しいです。永遠井ライトとビューガさんの幸せを願いたくなる人が、たくさんいるんですね」
    「たくさんではない」
    「でも、いるんですね」
    「まあ」
    「じゃあ、いいですね」
    2人が、結局恋人になったのかも知らない。何も変わっていないのかもしれない。でもそれは、俺の知ることじゃない。
    彼らが一緒にいて、いろんなことを共有して、何やかんや笑っていられるなら、それでいい。ビューガさんのあの目に恋した俺は、それを願うことだけ、許されたかった。
    「すいません、引き止めて」
    「あぁ」
    ビューガさんは振り返らず、そのまま去って行った。
    それ以降、俺は永遠井ライトともビューガさんとも会うことがなかった。
    (太一の回想ここまで)


    ふと顔をあげると、そこには件の天才少年の面影のある男がいた。こちらをジッと見ている。
    「…永遠井ライト?」
    「お、やっぱり。久しぶりだな」
    周りに声をかけて、急いで近づく。
    永遠井ライトはあの頃より背が伸びて、大人っぽい顔つきになっている。
    「久しぶり、っていうか、なんでここに」
    「ちょっと旅行しててさ」
    「…1人で?」
    「まさか。ビューガは別行動。といっても、今こっちに向かってるけど。見る?」
    見る、という言い草がなんだか永遠井ライトらしくて笑ってしまった。
    それに「まさか」と言えるくらい、2人は一緒にいることが当たり前なことに安心する。
    「…挨拶、だけ、させてもらおうかな。でも、ビックリした。今まさに2人のこと思い出してたから」
    「ははっ、飲み会の場で?」
    「そう、初恋について語ってる人がいてさ」
    「へえ、ビューガが初恋だったんだ」
    「あ…? あー、うん。そうだね」
    いらないこと言ったな。まあ、でも今更か。
    外に出る。強い風。寒いくらいだ。
    「…その後、変わりは?」
    「ないよ、別に。相変わらず」
    「じゃあよかった、のかな」
    「まあ、どうだろうね。あ、ビューガ」
    現れたビューガさんは、あの頃と全く変わっていなかった。
    「ビューガ、覚えてる? 杉 太一」
    「…すぎたいち?」
    眉を顰められる。ちょっと傷つくけど、しょうがないことだ。
    「ひどいなぁビューガ。何年前だっけ、5年くらい前? 近所に住んでる同級生に、俺たちのこと知ってる奴いたじゃん」
    「…あぁ、幸せを願う奴か」
    「何それ」
    「いや、それです。お久しぶりです」
    頭を下げる。ビューガさんはあの頃のように手を挙げた。
    「たまたまいて。ビューガに挨拶するって言うから連れてきた」
    「すいません、引き留めたみたいになっちゃって。じゃあ…引き続き、お幸せに」
    「あぁ、そういうこと?」
    永遠井ライトは声を出して笑った。
    「あってるだろ、幸せを願う奴」
    「そうだな。…じゃあな」
    「うん、じゃあ」
    ビューガさんは何も言わなかった。ただ、笑っていた。幸せという言葉のよく似合う顔だった。
    居酒屋の中に戻る。冷たい風はもうない。
    「杉、おかえり。どうした?」
    「いや、外寒くて」
    「さて、そろそろお開きにするかー」
    一本締めの音に紛れて、1人で鼻を啜った。
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