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    raixxx_3am

    @raixxx_3am

    一次/二次ごっちゃ混ぜ。ひとまず書いたら置いておく保管庫

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    raixxx_3am

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    きすひよ。ベッド問題。エッチな描写はないです。

    #きすひよ

    波間にて「ねえ、遠野くん。ほんとにいいの? 無理してない?」
     ぎしり、とわずかにフレームの軋む音を立てながらいつになく弱気な口ぶりでかけられる言葉に、胸がつまされるような心地を味わう。困ったな、こんな顔させたいわけなんかじゃないのに――ふぅ、とわざとらしく息を吐き、どこか物憂げに揺れるまなざしをじいっと見つめながら答える。
    「……そんなことないけど。鴫野くんは嫌だった? そんなに」
     ちょっとショックなんだけどなぁ。
     わざとらしく意地悪めいた口ぶりで答えれば、かすかに潤んだ瞳がじいっとこちらを捕らえる。
     ちょっとくらいはうぬぼれてもいいのかな、こういう時って。それだけ大切に思われてる証、だなんて思ってもいいんだろうし。

     初めての〝お泊まりデート〟の宴もたけなわ。そろそろ眠りにつこうか、という段階にきたところで勃発した問題――それが、妙に遠慮をしてみせるこんな態度だった。
     学生向けの一人住まいのアパートに置けるベッドは当然ながら一台きり。平均的な規格からは多少並外れた身体に合わせて、多少手狭になることくらいは覚悟した上で購入したロングサイズのセミダブルベッドは、いつも通りにひとりで眠りに就くのならともかく、ふたりで休むにはすこしばかり窮屈だ。

    「僕が下で寝ようか? ならいいでしょ」
    「だめだよ、そんなの」
    「だったら我慢して?」
    「我慢じゃないし……」
     いじけた子どもみたいないやに無防備な口ぶりとともに、わずかに震えた指先がぎゅっと寝間着越しにこちらの腕をつかむ。
    「じゃあさ、〝お願い〟って言ったほうがいい?」
     あやうく揺れるまなざしをじいっとのぞき込むようにしながら尋ねれば、やわらかな髪の隙間から姿を覗かせた綺麗な形の耳がかすかに赤く染まる。
     どうしよう、困らせたいわけじゃないんだけどな――いつもなら滅多に見られるはずもない危うげな表情は、心地よく心をゆさぶって離してはくれない。
    「そんな――でも、ありがとう」
     答えながら、長くて綺麗な指先がはらうように優しくこちらの髪に触れてくれる。
    「あのね、遠野くん」
    「なあに?」
     魅入られるような心地でおだやかにゆらぐ瞳をじいっと見つめれば、吐息まじりの優しい言葉がぽつりと落とされる。
    「寝ぼけて遠野くんのことぎゅうってしちゃうもしれないけど……それでもいい?」
    「大歓迎なんだけど」
     きっぱりと答えてみせれば、途端に、見つめ合うまなざしには気恥ずかしそうな色がみるみるうちに浮かぶ。
    「あと、いきなり襲ったりとかはしないからね。よくないでしょ、そうゆうのって」
     ばつが悪そうに洩らされる口ぶりに、愛おしさとしか呼べないものがみるみるうちに浮かび上がる。そういうところだよね、ほんとうに。
     きっといままでなら知るはずもなかった顔をこうして新しく教えてもらえる度に、心の内はいつだって、鮮やかな花が咲きこぼれるような喜びで満ちていく。
    「いきなりじゃないならいいけど?」
     いたずらめいた響きをたずさえるようにしながらそっと答えれば、かすかに潤んだ瞳の奥では幾重にも折り重なったまばゆい光が瞬く。
    「遠野くん、」
     あたたかな吐息混じりにうんと優しく名前を告げられれば、鼓膜だけなんかじゃなくって、心の内までがただおだやかに震わされてしまう。
    「それでさ、僕も言っておかなきゃいけないことがあるんだけど」
     ふぅ、と静かに息を吐き、ゆるやかに答える。
    「僕、寝起きがすごく悪いみたいで……おかしなこと言ったりとか、したりとかするかもしれないから。先に謝っておくね」
     途端に、どこか強ばって見えた表情はおだやかにゆるむ。
    「どういう意味なの、それ」
     くすくす笑いながらかけられる言葉を前に、照れくささを隠せないままにぽつりと言葉を洩らす。
    「いや、寮にいたころに郁弥に散々言われて。自分じゃあよくおぼえてないんだよね、だからどんななのかっていうのはうまく言えないんだけど……」
    「楽しみにしてるね、じゃあ」
     言葉につれるようにして、長くて綺麗な指先がするり、とやさしい手つきで髪をなぞる。
    「なあんかさぁ」
     やわらかに瞼を細めるようにしながら、うんとおだやかなぬくもりに満ちた言葉が続く。
    「夢みたいだなって思って。いっつも思ってたから、遠野くんともっと一緒にいたいな、お別れしなきゃいけないなんて寂しいなって。きょうはもうずうっといっしょで、寝る時もいっしょで――明日起きたらさ、遠野くんにいちばんに会えて、『おはよう』って言えるんでしょ? こんなにうれしくっていいのかなって思って、ほんとうに」
     ひどく無防備なまっすぐさで届けられる言葉に、いびつな心の内はただ音も立てずにゆるやかに軋む。
     ずっと知らなかった、こんな感情が自分の中にあることすら。
    「僕だってそうだよ」
     信じてくれる? ささやくように答えれば、長い睫毛をかすかに震わせたうんとゆっくりのまばたきがこぼれ落ちる。
    「好きだから?」
    「……そうだね」
     やわらかに落とす言葉は、あたたかな波紋をしずかに広げる。
    「ほんとに嬉しかったんだよ、泊まりにきていいよって言ってくれて。何回言っても足りない気がするもん、ありがとうって。ほんとにありがとう。遠野くんのこと、すごく好きだよ」
    「……うん、」
     頷き合いながら、波打つシーツの上でそっと指と指とを絡め合う。



    「あのさ、眠くなるまでおしゃべりしててもいい? もったいないからさ、なんか」
    「いいよ」
    「あと、こわい夢見たりしたら起こしてくれて良いからね。遠慮しないでね」
    「……そんなわけにいかないでしょう」
    「遠野くんって意地っ張りだよね。いいのに」
     くすくす笑いながら、差し伸ばされた指先がかすかに額に張り付いた髪をはらうようにそっと触れる。
     幼い子どもをあやすようなひどくやさしいその手つきは、うんとおぼろげで儚い記憶のありかをしずかにたぐり寄せる。

    〝きょう〟が終わりを告げるまでは、あともう少し。
     ゆるやかな波間を漂うにしながら、夜の帳が静かに降りていくのに身を任せる。
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    raixxx_3am

    DONEブックサンタ企画で書いたお話、恋愛未満。
    日和くんにとっての愛情や好意は相手に「都合のいい役割」をこなすことで得られる成果報酬のようなものとして捉えていたからこそ、貴澄くんが「当たり前のもの」として差し出してくれる好意に戸惑いながらも少しずつ心を開いていけるようになったんじゃないかと思っています。
    (2024.12.22)
     幼い頃からずっと、クリスマスの訪れを手放しで喜ぶことが出来ないままだった。
     片付けるのが面倒だから、と申し訳程度に出された卓上サイズのクリマスツリーは高学年に上がる頃には出番すら無くなっていたし、サンタさんからのプレゼントは如何にも大人が選んだお行儀の良さそうな本、と相場が決まっていて、〝本当に欲しいもの〟を貰えたことは一度もなかった。
     ただでさえ慌ただしい年末の貴重な時間を割いてまで、他の子どもたちと同じように、一年に一度の特別な日を演出してくれたことへの感謝が少しもないわけではない。
     仕事帰りにデパートで買ってきてくれたとってきのご馳走、お砂糖細工のサンタさんが乗ったぴかぴかのクリスマスケーキ、「いい子にして早く寝ないとサンタさんが来てくれないわよ」だなんてお決まりの文句とともに追いやられた子供部屋でベットサイドの明かりを頼りに読んだ本――ふわふわのベッドにはふかふかのあたたかな毛布、寂しい時にはいつだって寄り添ってくれた大きなしろくまのぬいぐるみ、本棚の中には、部屋の中に居ながら世界中のあちこちへの旅に連れ出してくれる沢山の本たち――申し分なんてないほど何もかもに恵まれたこの暮らしこそが何よりものかけがえのない〝贈り物〟で、愛情の証だなんてもので、それらを疑うつもりはすこしもなくて、それでも――ほんとうに欲しいものはいつだってお金でなんて買えないもので、けれども、それらをありのままに口にするのはいつでも躊躇われるばかりだった。
    4803

    raixxx_3am

    DOODLEきすひよ。いちゃいちゃしてほしかっただけ。相変わらず受けと攻めが不確定。欲望を明け渡しあうことよりも緩やかで優しいスキンシップでお互いを満たしあうことを大切にしているうちにゆっくりその先に進むこともあるんじゃないのかな、ふたりにはそんな関係でいてほしいなという気持ちで生産工場は稼働しています。
    (2024/07/19)
    butterfly kiss「あのね、遠野くん。ちょっとだけ聞いておきたくて」
     ふぅ、とひどく慎重に息を吐き、プレゼントの包みをそうっとほどくようなたおやかさで言葉が続く。
    「遠野くんはさ、僕にしてほしいことってあったりする? その、そういう時に」
     行儀良く膝の上に置いた指をもどかしげに絡ませるようにしながらぽつり、と吐き出されるおだやかな言葉に、息苦しいほどのあまやかな気配が立ちのぼる。こちらをまっすぐに見据えるかのようなまなざしはいつも通りにひどく穏やかで温かいのに、その奥には確かな〝予感〟を帯びた色が隠されているのがありありと伝わるから、いびつに揺らいだ心は音も立てずにぐらりと心地よく軋む。
    「あぁ……えっと、その」
     答えに窮したまま、手元のクッションをぎゅっと掴めば、気遣うようなやさしいまなざしがこちらへと注がれる。
    4603

    raixxx_3am

    DOODLEひよちゃんは幼少期のコミュニケーションが足りていないことと「察する」能力の高さから本音を押し殺すのが常になってしまったんだろうし、郁弥くんとは真逆のタイプな貴澄くんに心地よさを感じる反面、甘えすぎていないか不安になるんじゃないかな、ふたりには沢山お話をしてお互いの気持ちを確かめ合って欲しいな、と思うあまりに話ばっかしてんな僕の小説。
    (2024/05/12)
    君のこと なんて曇りのひとつもない、おだやかな優しい顔で笑う人なんだろう。たぶんそれが、はじめて彼の存在を胸に焼き付けられたその瞬間からいままで、変わらずにあり続ける想いだった。


    「あのね、鴫野くん。聞きたいことがあるんだけど……すこしだけ」
    「ん、なあに?」
     二人掛けのごくこじんまりとしたソファのもう片側――いつしか定位置となった場所に腰を下ろした相手からは、ぱちぱち、とゆっくりのまばたきをこぼしながら、まばゆい光を放つような、あたたかなまなざしがまっすぐにこちらへと注がれる。
     些か慎重すぎたろうか――いや、大切なことを話すのには、最低限の礼儀作法は欠かせないことなはずだし。そっと胸に手を当て、ささやかな決意を込めるかのように僕は話を切り出す。
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    raixxx_3am

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     片付けるのが面倒だから、と申し訳程度に出された卓上サイズのクリマスツリーは高学年に上がる頃には出番すら無くなっていたし、サンタさんからのプレゼントは如何にも大人が選んだお行儀の良さそうな本、と相場が決まっていて、〝本当に欲しいもの〟を貰えたことは一度もなかった。
     ただでさえ慌ただしい年末の貴重な時間を割いてまで、他の子どもたちと同じように、一年に一度の特別な日を演出してくれたことへの感謝が少しもないわけではない。
     仕事帰りにデパートで買ってきてくれたとってきのご馳走、お砂糖細工のサンタさんが乗ったぴかぴかのクリスマスケーキ、「いい子にして早く寝ないとサンタさんが来てくれないわよ」だなんてお決まりの文句とともに追いやられた子供部屋でベットサイドの明かりを頼りに読んだ本――ふわふわのベッドにはふかふかのあたたかな毛布、寂しい時にはいつだって寄り添ってくれた大きなしろくまのぬいぐるみ、本棚の中には、部屋の中に居ながら世界中のあちこちへの旅に連れ出してくれる沢山の本たち――申し分なんてないほど何もかもに恵まれたこの暮らしこそが何よりものかけがえのない〝贈り物〟で、愛情の証だなんてもので、それらを疑うつもりはすこしもなくて、それでも――ほんとうに欲しいものはいつだってお金でなんて買えないもので、けれども、それらをありのままに口にするのはいつでも躊躇われるばかりだった。
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    raixxx_3am

    DOODLEDF8話エンディング後の個人的な妄想というか願望。あの後は貴澄くんがみんなの元へ一緒に案内してくれたことで打ち解けられたんじゃないかなぁと。正直あんなかかわり方になってしまったら罪悪感と気まずさで相当ぎくしゃくするだろうし、そんな中で水泳とは直接かかわりあいのない貴澄くんが人懐っこい笑顔で話しかけてくれることが日和くんにとっては随分と救いになったんじゃないかなと思っています。
    ゆうがたフレンド「遠野くんってさ、郁弥と知り合ったのはいつからなの?」
     くるくるとよく動くまばゆく光り輝く瞳はじいっとこちらを捉えながら、興味深げにそう投げかけてくる。
     大丈夫、〝ほんとう〟のことを尋ねられてるわけじゃないことくらいはわかりきっているから――至極平静なふうを装いながら、お得意の愛想笑い混じりに僕は答える。
    「中学のころだよ。アメリカに居た時に、同じチームで泳ぐことになって、それで」
    「へえ、そうなんだぁ」
     途端に、対峙する相手の瞳にはぱぁっと瞬くような鮮やかで優しい光が灯される。
    「遠野くんも水泳留学してたんだね、さすがだよね」
    「いや、僕は両親の仕事の都合でアメリカに行くことになっただけで。それで――」
    3785

    raixxx_3am

    DONEすごくいまさらな日和くんのお誕生日ネタ。ふたりで公園に寄り道して一緒に帰るお話。恋愛未満、×ではなく+の距離感。貴澄くんのバスケ部での戦績などいろいろ捏造があります。(2023/05/05)
    帰り道の途中 不慣れでいたはずのものを、いつの間にか当たり前のように穏やかに受け止められるようになっていたことに気づく瞬間がいくつもある。
     いつだってごく自然にこちらへと飛び込んで来るまぶしいほどにまばゆく光輝くまなざしだとか、名前を呼んでくれる時の、すこし鼻にかかった穏やかでやわらかい響きをたたえた声だとか。
    「ねえ、遠野くん。もうすぐだよね、遠野くんの誕生日って」
     いつものように、くるくるとよく動くあざやかな光を宿した瞳でじいっとこちらを捉えるように見つめながら、やわらかに耳朶をくすぐるようなささやき声が落とされる。
     身長のほぼ変わらない鴫野くんとはこうして隣を歩いていても歩幅を合わせる必要がないだなんてことや、ごく自然に目の高さが合うからこそ、いつもまっすぐにあたたかなまなざしが届いて、その度にどこか照れくさいような気持ちになるだなんてことも、ふたりで過ごす時間ができてからすぐに気づいた、いままでにはなかった小さな変化のひとつだ。
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