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    totorotomoro

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    2作目。シンプルながら個人的に結構好き

    #鯉博
    leiBo

    散文2うつ伏せに寝るらしいと聞いて。

     書類の確認者欄にサインが足りないことを気づいたドクターがロドスに訪問中のリーの部屋を訪れると、かの人はどうやら寝台を使って昼寝の最中らしかった。
     体格も大きいが流水のように長くうねる尻尾が備わっていると横向きに寝るのはどうにも塩梅が良くないらしい。
     うつ伏せになり、枕を抱いて頭を預けて寝息を立てているのが聞こえた。
     少し斜めになって体に沿うようにだらりとした尻尾は尾鰭のところが空調の風にかすかに揺らいで、下げたブラインドの隙間から漏れる光をきらきらと揺らめかせている。
     起こすべきか、去るべきかで迷ったドクターはとりあえず近寄ろうとリーの側に近寄ってみた。
     そうするとぱかりとリーの金色の目が開いて、横目でドクターの姿を認めたようだった。
     ドクターが呼びかけようとしたその時、ふぉんとリーの尻尾が鳴くような音を立てて、しなやかな動きでドクターを打ち据える。
    「痛い!!」
     ばちんと意外と大きな音に、打ち付けた方のリーがびくりと体を震わせ目を丸くし、ぱちぱちと瞬きをして、しまった!という顔に移る。どうやら意図的に打ち据えたわけではなくて、寝ぼけて側にきた人間を排除しようとしたようだ。
    「すみませんドクター。お怪我はありませんか」
     メガネを手探りで身につけ、慌てて体を起こすリーに対してびっくりして尻尾の勢いごと床に膝をつかされたドクターは片手を上げてその謝罪を受け入れた。
     
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    totorotomoro

    DONE2022/10/4 それは大陸版の衣装発表の記念日…。
    リー先生の衣装にたぎった我々は、それをぶつけるため各地に創作部隊を放ったのであった…(与太話)
    Trick or Treat? ───あっ、ドクター!? おれです、リーです! 忙しいとこすみません、助け、助けてくださいっ。ちょっ、男のそんなとこ触るのナシでしょうが。ちょっと! 何か話してくださいよ! やめっ、落ち着いてっ……ドクター聞こえてますか!? ドクターお願いです、助け……うわっ。来ないで〜!

     ガタガタンゴツン、ゴッ───ゴトゴトッ……ピッ、ブツッ。

     え、なにこれ。新手のAV?

     沈黙した携帯端末を見下ろして、ドクターはたぷたぷと画面に触れた。直前に連絡してきたのはさっき名乗ったリーの携帯端末からで、最後の物音は端末を床に落としたか何かだろう。かけ直そうかと思ったが、通話の状況的に相手が出るわけもない。
     リーの声音から直接命に関わることはなさそうなのだが、なりふり構わずヘルプを求める姿にドクターは端末をポケットにしまうと執務室にあるコンソールからリーの今日の公開されている予定を呼び出した。朝から順番に斜め読みをして、直前のスケジュールを見て居場所がわかったドクターは席を立った。
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    はるち

    DONEリー先生の尾ひれを見るたびにドキドキするドクターのお話。
    その鮮やかさを覚えている 覚えているのは、黒と金。
     石棺で眠りについていた二年。あの漂白の期間に、自分はかつての記憶のほとんどを失った。それを取り戻すために、主治医であるケルシーとは幾度となくカウンセリングを行ったが、その殆どは徒労に終わった。医学的には、記憶喪失になってから一年が経過すると、記憶が戻るのはほぼ絶望的とされる。だからこれで一区切りをする、と。ケルシーは診察の前にそう前置きをし、そうして大した進展もなく、最後の診察も終わった。言ってみればこれは届かないものがあることを確認するための手続きだ。現実を諦めて受け入れるための。失われたものはもう二度と戻って来ないのだ、ということを確認するための。
     ドクターは書棚からファイルを取り出した。ケルシーとの診察の中で、自分に渡された資料の一部だ。何でもいいから思いつくものを、思い出せるものを書いてみろと言われて、白紙の上に書いた内面の投影。他者からすれば意味不明の落書きにしか見えないだろう。しかしケルシーにとっては現在の精神状態を推量するための材料であり、ドクターにとっては現在の自分を構成する断片だ。
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