Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🐉 💜 👏 ☺
    POIPOI 53

    肴飯のポイ箱

    ☆quiet follow

    ワンドロ開催ありがとうございます!
    お題「ポーズ」
    自覚と無自覚の境目についての話。
    ※幼少期
    ※捏造カメラマンがいる
    ※kbnさんほぼ出てこない

    #kbdnワンドロ
    kbdnOne-dropping
    #kbdn
    #キバダン

    キミだけに見せていた 黒々としたコード類と、名前が分からない背の高い機器達に囲まれて、ダンデは試合前ですら感じたことの無い緊張感で足がすくむ。ポケモン関係の雑誌へ掲載する特集記事に向けた撮影だと、事前に聞いていたが、ここまで大掛かりな撮影は初めてだ。
     ダンデにとって、写真を撮るといえば家にある年代物のカメラのタイマー機能でハイポーズ。位しか経験していなかったし、ジムチャレンジ中はポケモンバトルに夢中になり過ぎて、母親から渡されたスマホは、図鑑を見ることくらいにしか使っていなかった。第一、写真を撮る時には「みんなで集まって」とか、いつ撮られるのかよく分からないままじっとさせられるのがダンデは苦手だったのだ。
     そんな、写真に対して殆ど知識も経験も無い子どもが、まさかこんな本格的なスタジオで写真を撮るなんて想像していなかった。
    「そんなに固くならないで下さいね」
    「…はい」
     沢山の大人達と機材を遠巻きに見ながらガチガチに緊張しているダンデを見て、朗らかに声を掛けてきた男性カメラマンは、恐らくベテランなのだろう。ただ、そんな言葉もダンデにとっては、なんの助けにもならないのだった。

    「ちょっと、休憩しましょうか」
     撮影は、今のところ散々と言ってもお釣りがくる位遅々として進んでいない。あの手この手でダンデの自然な笑顔を引き出そうとしてくるカメラマンとスタッフ達が躍起になればなるほど、ダンデの表情は固くなっていく。絶対に上手くいっていないのに、カメラマンを始めとしたスタッフ達はずっと優しく励ましてくれる。それがまた、ダンデに焦りを生む。

    「ほら、チャンピオンもちょっと一息吐こう」
    「…ありがとうございます」
     しょんもりとスタジオ端の椅子で座り込んでいると、最初に声を掛けてくれたカメラマンが、ダンデにミックスジュースの缶を渡しながら空いている隣の席に座ってくる。
    「やっぱり、緊張するかい?」
    「…どんな顔をすれば良いのか分からなくて」
    「ははっ、意外と子どもらしい悩みだね」
     上手くできないことを注意されるのかと思っていたのに、最初に会った時と同じく、朗らかに笑われて驚く。そんな驚く姿を見て余計に目尻の皺を深くする彼は、指を一本立てながらちょっと楽しそうに提案する。
    「レンズの先に、大好きな人がいると思えば良いんだよ」
    「大好きな人?」
    「そう、大好きな人。家族でも、ポケモンでも…好きな子でも良いね!」
    「…すっ好きな子?」
    「おっ!そうそう、その調子。好きな人に見てもらうんだって思えば頑張りやすいでしょ」

     じゃあ、そろそろ撮影再開するよ。なんて朗らかに笑いながら機材のスタンバイに戻るカメラマンを見送りながら、ダンデは温くなってきたミックスジュースの缶を手に、ぼんやりと考える。
     好きな子…好き…
     ダンデにとって、今まで出会った人はみんな大好きな人だ。なのに、さっきカメラマンに言われてパッと頭に浮かんだのは、お日様みたいな色のオレンジのバンダナに空みたいな青色の瞳だった。

    「(好き…?)」
     今まで会った人達を思い出した時とは違う、胸の奥がドキドキと不思議な感覚で高まる。
    「(そっか!好き!!)」
     ぐいっと勢い良く飲み干したジュースの缶をダストボックスに投げ入れ、思い切って立ち上がる。先程まで恐怖すら感じていたスタジオが、今は不思議と怖くなかった。
     そこからの撮影は、まるで今までのことが嘘だったかのように順調だった。スタッフ達は不思議そうに首を傾げていたけれど、カメラマンだけは、悪戯っ子みたいなウィンクを一つ、ダンデへしてくれた。


    「なにこれ?」
    「この間撮った雑誌だせ」
    「うん、それは分かる。だからなんで?」
    「キミのお陰で良い顔が撮れたからな。お礼だぜ!」
     イベントでの仕事の後、名前を呼ばれたかと思えばグイッと雑誌を押し付けられたキバナは疑問符を浮かべる。ただ、ダンデは疑問に答える事なく言いたいことだけ言うと、止める間もなくリザードンと一緒に笑いながら駆け出して行った背中を見て、首を傾げてキバナは渡された雑誌を見る。

    「なんだ、いつもの顔じゃん」

     雑誌の真ん中には、自分と会う時と同じ、いつもと変わらない笑顔を見せるダンデの姿があるだけだった。




    Tap to full screen .Repost is prohibited
    ☺☺❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    肴飯のポイ箱

    DOODLEワンドロ
    少年kbn君と同年代🚺dndちゃんの話。
    ※先天性女体化です。
    心より行動が先にくる1人と、心が来てから一気に行動し始める1人の話
    お題『初恋or意識し始め』
    まずは一手 昼下がりのナックルシティ。ジムリーダーになって一年とちょっと。自分に割り振られた仕事をなんとか回せるようになってきたキバナは、最近になって漸く入ることを許された宝物庫内の書庫に昼休憩はもっぱら入り浸っていた。保存の観点から外に全く出される事のない書庫は、知的好奇心が強いキバナにとっては大分豪華なオモチャ箱のようなものだった。
    「(今日は午後から休みだし、入室許可も取った。絶対閉まるギリギリまで入り浸ってやる!)」
     少し浮き足だった歩みで書庫の扉を開け、少し埃っぽい空気を吸い込む。この、何とも言えない紙とインクの香りがキバナは大好きだった。
     ナックルジムの書庫は少し不思議な形をしている。吹き抜け式の円柱型の室内には螺旋階段がぐるりとドラゴンの体のように巻き付いている。その螺旋に沿って壁に本棚が埋め込まれている。光を最低限取り込む為に作られた丸い天窓には、月と太陽をモチーフにしたステンドグラスが嵌められており、外の光を透かして淡い彩光を放っている。
    2021

    肴飯のポイ箱

    DONEワンドロ
    お題「駆け引き•取り引き」
    立ち止まって周りを見たら不安になってしまった1人と、立ち止まった先でずっと待っていた1人の話。
    ※イズオーバー後同棲設定
    すっごい…難産でした…でも楽しかった!
    よーいどん すっかりと夜の帳が下りたナックルシティの片隅。夕食もシャワーも終わらせたキバナは、リビングでのんびりと読書をしながら膝に顎を乗せてくるフライゴンの頭を撫でて存分にリラックスモードだった。間接照明によって柔らかい明るさに包まれた部屋の中では、他のポケモン達ものんびりと寛いでおり平和の一言だ。ただ、少し引っかかる事があるとすれば同棲している恋人の様子が変だったこと。仕事から帰って来たと思えば夕飯もそこそこに共有してる書斎に引き篭もってしまった。
     まあ、何かに集中したい時には同じような事は度々あった。キバナもたまにやる。ただ、今回は表情がいつもより鬼気迫ったというか焦っていたというか。
    「…ふりゃ」
     撫でる手が止まっていた事にちょっと不満げな声でフライゴンが拗ねる。それに謝るように撫でる動きを再開すると、満足そうに目を細めて擦り寄ってくる。そんな可愛い姿に、今日は甘えただなぁ。なんて思いながらキバナは読書を続ける。
    3171

    related works

    肴飯のポイ箱

    DONEワンドロ「雨音」
    ⏳1時間半位
    ちょっとした事が雨のように降り積もると、幸せになるねって言う話です。
    幸せの足音 パラパラと窓ガラスに雨粒が当たる音がし始め、冷えた空気が急速に湿っぽい香りを届けにくる。
    「やっぱり降ってきたか。」
    「ロロ!ロトムの言う通り、洗濯物しまってて良かったロ〜!」
    「そうだな。ロトム、いつも助かってるぜ。」
     ふわふわと浮かびながら飛び回るスマホロトムを指先で撫でてやると、それだけで小さな電気の光を飛び散らせながら喜ぶ。その可愛らしい姿に、ダンデは笑いながら雨が降る前に引っ張り込んできた、洗濯物がたっぷり入った籠を抱えて同じように笑う。雨音に気付いたヌメルゴンが、最近生まれたばかりのまだ小さなヌメラを腕に抱えてウッドデッキに繋がるガラス戸の前へとやってくる。大好きな水の気配と、窓やウッドデッキの床を叩く雨音が楽しいのか、まだ幼いヌメラはヌメルゴンの腕の中で興奮気味に「んめっ!めっ!めら〜」と体を揺らし、雨音に合わせて鳴いていた。それとは逆に、あまり雨が好きではないコータスやジュラルドンは自分からリビングにあるボールホルダーの所へ行き、ボールの中に入っていく。リザードンに至ってはロトムから雨が降ることを聞いて早々にボールに入っている。
    2028

    recommended works