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    肴飯のポイ箱

    @sakana2015414

    pkmnでkbdnとか、kbnとdndがわちゃわちゃしてるような話を書いてます。時々ホラーなものをあげるのでそこだけ注意です。

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    肴飯のポイ箱

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    ワンドロ開催ありがとうございます!
    お題「ポーズ」
    自覚と無自覚の境目についての話。
    ※幼少期
    ※捏造カメラマンがいる
    ※kbnさんほぼ出てこない

    #kbdnワンドロ
    kbdnOne-dropping
    #kbdn
    #キバダン

    キミだけに見せていた 黒々としたコード類と、名前が分からない背の高い機器達に囲まれて、ダンデは試合前ですら感じたことの無い緊張感で足がすくむ。ポケモン関係の雑誌へ掲載する特集記事に向けた撮影だと、事前に聞いていたが、ここまで大掛かりな撮影は初めてだ。
     ダンデにとって、写真を撮るといえば家にある年代物のカメラのタイマー機能でハイポーズ。位しか経験していなかったし、ジムチャレンジ中はポケモンバトルに夢中になり過ぎて、母親から渡されたスマホは、図鑑を見ることくらいにしか使っていなかった。第一、写真を撮る時には「みんなで集まって」とか、いつ撮られるのかよく分からないままじっとさせられるのがダンデは苦手だったのだ。
     そんな、写真に対して殆ど知識も経験も無い子どもが、まさかこんな本格的なスタジオで写真を撮るなんて想像していなかった。
    「そんなに固くならないで下さいね」
    「…はい」
     沢山の大人達と機材を遠巻きに見ながらガチガチに緊張しているダンデを見て、朗らかに声を掛けてきた男性カメラマンは、恐らくベテランなのだろう。ただ、そんな言葉もダンデにとっては、なんの助けにもならないのだった。

    「ちょっと、休憩しましょうか」
     撮影は、今のところ散々と言ってもお釣りがくる位遅々として進んでいない。あの手この手でダンデの自然な笑顔を引き出そうとしてくるカメラマンとスタッフ達が躍起になればなるほど、ダンデの表情は固くなっていく。絶対に上手くいっていないのに、カメラマンを始めとしたスタッフ達はずっと優しく励ましてくれる。それがまた、ダンデに焦りを生む。

    「ほら、チャンピオンもちょっと一息吐こう」
    「…ありがとうございます」
     しょんもりとスタジオ端の椅子で座り込んでいると、最初に声を掛けてくれたカメラマンが、ダンデにミックスジュースの缶を渡しながら空いている隣の席に座ってくる。
    「やっぱり、緊張するかい?」
    「…どんな顔をすれば良いのか分からなくて」
    「ははっ、意外と子どもらしい悩みだね」
     上手くできないことを注意されるのかと思っていたのに、最初に会った時と同じく、朗らかに笑われて驚く。そんな驚く姿を見て余計に目尻の皺を深くする彼は、指を一本立てながらちょっと楽しそうに提案する。
    「レンズの先に、大好きな人がいると思えば良いんだよ」
    「大好きな人?」
    「そう、大好きな人。家族でも、ポケモンでも…好きな子でも良いね!」
    「…すっ好きな子?」
    「おっ!そうそう、その調子。好きな人に見てもらうんだって思えば頑張りやすいでしょ」

     じゃあ、そろそろ撮影再開するよ。なんて朗らかに笑いながら機材のスタンバイに戻るカメラマンを見送りながら、ダンデは温くなってきたミックスジュースの缶を手に、ぼんやりと考える。
     好きな子…好き…
     ダンデにとって、今まで出会った人はみんな大好きな人だ。なのに、さっきカメラマンに言われてパッと頭に浮かんだのは、お日様みたいな色のオレンジのバンダナに空みたいな青色の瞳だった。

    「(好き…?)」
     今まで会った人達を思い出した時とは違う、胸の奥がドキドキと不思議な感覚で高まる。
    「(そっか!好き!!)」
     ぐいっと勢い良く飲み干したジュースの缶をダストボックスに投げ入れ、思い切って立ち上がる。先程まで恐怖すら感じていたスタジオが、今は不思議と怖くなかった。
     そこからの撮影は、まるで今までのことが嘘だったかのように順調だった。スタッフ達は不思議そうに首を傾げていたけれど、カメラマンだけは、悪戯っ子みたいなウィンクを一つ、ダンデへしてくれた。


    「なにこれ?」
    「この間撮った雑誌だせ」
    「うん、それは分かる。だからなんで?」
    「キミのお陰で良い顔が撮れたからな。お礼だぜ!」
     イベントでの仕事の後、名前を呼ばれたかと思えばグイッと雑誌を押し付けられたキバナは疑問符を浮かべる。ただ、ダンデは疑問に答える事なく言いたいことだけ言うと、止める間もなくリザードンと一緒に笑いながら駆け出して行った背中を見て、首を傾げてキバナは渡された雑誌を見る。

    「なんだ、いつもの顔じゃん」

     雑誌の真ん中には、自分と会う時と同じ、いつもと変わらない笑顔を見せるダンデの姿があるだけだった。




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    肴飯のポイ箱

    DONEREVELЯY2411「COUNT DOWN vol.2」の書き手クイズ企画に提出した作品となります。
    お題「催眠 付き合ってないキダ」
    開催中はドキドキとしながら過ごしておりました!すごく楽しい企画でした☺️✨ありがとうございました!
    夜空、星二つ ガラルにしては気持ちの良い、からりとした青空が朝から広がっている日だった。ブラックナイトに関する諸問題で暫く奔走を余儀なくされていたキバナは、ようやく業務もひと段落し始めた。屋外での作業は晴れの少ないガラルでは何よりも優先したい事柄だ。そんなこともあって、キバナは温かな陽気の中、ナックルジムの中庭で膝と頬を土で汚しながらせっせと植物の剪定に明け暮れていた。元が城ということもあり、一般の人々が立ち入らない場所には未だに当時の面影を残す部分が多い場所だ。キバナが居る中庭もその一つで、ナックルのジムリーダーが代々手入れをしていくことがいつの頃から習わしとなっていると聞いていた。初めてその役割を聞いた時には正直乗り気では無かったキバナだったが、元々好奇心旺盛な方だと自覚していることもあって、やり始めてみればなんだかんだと楽しみを見つけ出し、気付けば少しずつこだわりも持つようにもなってきた。
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    肴飯のポイ箱

    DONE12月オンイベ展示作品その②(新しいお話)
    みんなが寝静まった夜。こっそりひっそり楽しく過ごす不思議な生き物のキバナとダンデのお話
    「🎄ホリデー編🌟」
    ※ポ世界のクリスマス概念が曖昧な為、あえてクリスマスから正月までをホリデーと設定してお話をかいています。細かく考えず緩くお楽しみください🌟👻👻🎄
    それは賑やかな すっかり夜の帳が下り、静まり返ったとある家のキッチン。小綺麗に整頓されたそんな場所を小さな林檎程の大きさの何かが二つ、白い布を頭から被ってチョロチョロと薄暗いキッチンの中を動き回っている。
    「キバナ、息が真っ白だ!寒いなぁ」
    「今日も月が大きいなぁ。でも、流石に今日はみんな寝てるだろ」
     月明かりに照らされたキッチンを、キバナと呼ばれた大きい方がそれよりも少し小さなダンデの手を引きながらずんずん進んでいく。
     少し前にお菓子を貰ったキッチンは、同じように整えられていた。水切り籠にはジュラルドンとリザードンが描かれたカップが逆さまになって雫を落としていた。今日は、それ以外にもカラフルなカップや皿がたくさん並んでおり、いつもは食器棚の一番上で偉そうにしている白地に金の模様が入った大きな皿も、ピカピカに洗われて月の光を反射している。
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    肴飯のポイ箱

    DONEオンイベ開催、アンド素敵企画ありがとうございます!
    この作品は、12.3歳ごろの2人がナックルシティの片隅にあるとある喫茶店を舞台にわちゃわちゃとしていくお話となっています。
    ※両片想いほのぼのです。
    ※ガラル市民がたっくさん出ます。
    ※視点がコロコロ変わるお話です。
    少しでも楽しんでいただければと思います☺️
    とあるナックルの片隅で◆ライラック色の髪をした少年の回想

    「あ、チャンピオンだ!」
    「チャンピオン!」
    「何かイベントでもあったっけ?」
     困った。
    俺は、大きな街の真ん中で冷や汗を掻きながら、どうしてこんなことになったのかをひたすらに考えていた。
     今日は午前中にシュートでのチャリティイベントに参加した。午後はスポンサーの会社が行うガーデンパーティへの参加が予定されていたが、そちらが主催者側の事情でのキャンセルとなったので、突発的に午後は丸々オフとなった。予定されていた休みより、こういうイレギュラーな休みって得な感じがして俺は好きだ。せっかくだから前々から欲しいと思っていた物を買おうと意気込み、勢いのままユニフォームで飛び出した。自分なりに人目が少ない道を探しながら、地図アプリと睨めっこ。しかし、俺の努力も虚しくうっかり路地から大きな通りへと出てしまった。途端に集まるキラキラとした眼差しの人、人、人。応援してくれる人達の期待の眼差しを裏切ることはできず、突発的に始まってしまったファンサービス。握手に写真、サイン。もみくちゃにこそされないけれど、このままだと行きたい場所に行けないまま休みが終わってしまう。顔には出せないが内心焦りつつも人混みは消えるどころが増えていく。どうしたものかと困っていると、人混みの奥から良く通る声が聞こえて来た。
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