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    第24試合『浴衣〜Yukata〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi

     悟空は修行に打ち込むとしばらくは帰宅することすら忘れて夢中になってしまう性質ではあるが、家が嫌いというわけではない。むしろ、悟空にとってパオズ山の自宅は落ち着ける大切な場所である。
     さて、その自宅に久方振りに悟空が戻ってきたのだが、自宅の様子がいつもと違った。
     妻であるチチが不在だったのである。いや、それ自体は珍しいことではない、彼女とて出かけることはある。ただ、悟空が我が家に戻ってきたのは夜だったので、その時間に彼女がいないことに彼はとても驚いた。

    「おらはちゃあんと、悟空さのスマホにメッセージ送っただよ。何だったらウチのテーブルに手書きのメモだって書いて置いたおいただ」
    「はは……いや、その…悪ィ」

     苦笑し鼻の頭をする悟空の向かいには、彼の妻であるチチがいる。
     彼女の不在を認識した悟空は至極当然に瞬間移動を行い、目的通り妻の元へと参じたのだが、そこは―――――。

    「それにしても気持ちいいな、ココ」
    「だべ? おっとうがおすすめしてくれた温泉だべ。湯治にとてもいいそうだべ。まぁ、ちいっと不便な場所にあっから来る人あんまりいねぇって話だけんど」
    「ジェットフライヤーは降りるとこねぇし、エアカーでも結構すんげぇ道通ることになるもんな」
    「でもおらはここ好きだべ。ちょっとパオズ山に雰囲気似てるだ」
    「だな。オラもそう思う」

     言いながら悟空はちゃぷんと薄緑がかかった湯を片手で掬い、眼を細める。
     
     悟空が瞬間移動した先に、妻はいた。ただ、この露天風呂にて入浴中であった。悟空はもちろん湯の中に着衣のまま現われることとなり、まずはチチの鉄拳を食らった。
    『服着たまんま風呂さ入るでねぇー!!』 という、彼女らしいそれであったけども。

     とりあえず服を脱ぎ、共にこの露天風呂に入ることにして(服を脱いでいる間にチチがこの湯治宿を経営している老夫婦に悟空のことは話に行ってくれた。)チチから聞いたところ、牛魔王が自分の体調を心配して湯治を勧めてくれたらしい。医者にかかるほどではなさそうだが、疲労やら最近は肩こりも自覚していたチチはそれを受け入れることにしたのだという。

     家を守るという意識は変わりはないが、自分のケアとて大切だし必要であると、時の流れに伴いチチも柔軟な思考になってきていた。そこにはとっくに所帯を持った長男や、年頃になり家よりも外に出たがる次男も影響しているのだろう。子離れと親離れがいい塩梅に影響している。

     それを少し寂しいと思うのは、悟空だ。
     この変化を悪しきと拒むつもりは毛頭ない。しかし、我が家と言われて真っ先に浮かぶのは我が子達と妻がいるあの自宅だ。その光景があるものと無自覚に思い込んで扉を開けたときの感覚は何とも表現し難い。

    「さて、そろそろおらは出るだ。宿のおかみさんにお願いして悟空さの飯も用意してもらえるようにしただ、まだ入ってるけ?」
    「…! オラも一緒に泊まってていいんかっ?」
    「あんれ、そのつもりだと思ったんだけんど、違ったか?」
    「違くねぇっ、あ、メシの心配してるからじゃあねえぞっ?」
    「わかってるだよ。まぁ腹は減ってるんだろうけど、悟空さのおらのこと大好きだべ。おらがいるのにひとりのパオズ山のウチさ戻るとは思ってねぇだよ」

     言いながら、チチは湯から立ち上がる。惜しみなく晒される肌。髪をまとめていたタオルも解かれたので湯で温められた肌に黒く長い髪が下りる。夜空を背にしたその光景に、悟空は思わず言葉を失い見惚れた。

    「悟空さはまだ浸かってるんけ?」
    「オラも出る」

     即答したのは直視し続けていると、ちょっと大変なことになりそうだったから。
     とはいえ、脱衣所に用意されていた、宿の浴衣を着始めた妻を前にして思わず三つ目の超化をしてしまったのだが。

    「なんでまたそのおっかねぇカオになったんだべ」
    「……仕方ねぇだろ。チチすっげぇなんかサバサバしてんのによぉ、もうこの首とかフロであったまって色っぺぇ色しててこのうっすい浴衣がまぁムネとかコシとかケツとか見せねぇくせに、なんつうの? こうアピールさせてくるっていうかさー」
    「こら、帯引っ張るでねぇ」
    「だってよー」
    「クチ尖らすんじゃねぇだ、温泉入ったばっかでこれからメシだべ。湯治宿だからがっつりしたものじゃあねぇけど、滋養があっておいしいお料理だそうだべ」
    「…………」
    「あのなぁ」
    「…………」
    「そのイカつい顔で、その浴衣姿。反則だ、おらだってドキドキ揺らされてるんだべ」
    「へ?」
    「こっからどうするかは…まぁ、飯食いながら考えるべ。な?」
    「お、おうっ!」


     結果については、布団の外で絡みついたふたり分の帯が物語っていた。
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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第2回戦 お題『マフラー』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    年齢を重ねてきたことで、ようやく見えてきたことがある。
     自分の中に流れる戦闘本能については純血のサイヤ人のそれということでどうしようもないとしても、闘いがない日常でもそれなりに生きていけて、それを悪くないと思えるのは「地球人」としての自分の一面で、近しい者に危害が加わることは良しとはしないあたり、色濃いことだ。

     穏やかな昼下がり。
     最近自分から望んでやるようになった農作業も終えての、自由時間。悟空には瞬間移動があるので西の都にでも行ってベジータと組手などすることも多いのだが、この日はパオズ山の自宅に居る。

    「ん。大丈夫だべ、ビーデルさ。ちゃあんと出来てるだよ」
    「本当ですか…?」
    「んだ。やり始めたばかりのおらよりも、ずうっと上手だ」

     この時間は窓から入ってくる陽光で陽だまりになるソファに、ビーデルとチチが並んで座っている。
     ビーデルの手には鈎針が握られていて、彼女はいつもは勝気な眉を少しばかりハの字にしながら手を動かし、ソファ前のテーブルの上に乗せられた籠の中の紫の毛糸玉がゆっくりと回る。編み物をしているのだ。

     ビーデルは悟飯のハイスクールのクラスメイトだが、それ 1835

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第6試合 お題『アイス〜ICE〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    孫家の日常は多分どちらかといえば慌ただしいイメージかもしれない。

     それは確かに事実でもある。
     なにせ、パオズ山は緑豊かといえば聞こえはいいが、実際は大型肉食獣も住まう辺境という言葉が相応しく、人が住む場所といえば限られていて村と呼べる存在は山の麓の方にあり、そこから町、都会へとなるとずっと遠くなりそれなりの移動手段が必要だ。

     そんな場所で暮らしているものだから、ハイスクールへの登校にも時間がかかってしまう。孫家の長男、悟飯は時間にルーズではないがやはり朝はばたばたしがちだし、悟飯や悟天の父親である孫悟空が現世の人として戻ってきたため家事(主に食事面)が増えたため子供達の母であり、悟空の妻であるチチも所々は慌ただしい。
     しかしながら、子供達が成長すれば各々時間の使い方はうまくなっていくし、悟空に至っては修行に出てしまえば家を不在にする時間も長くなり心配はするものの家事の負担は減る。

     あと、これは知るものは孫家の面々くらいだが、農作業が終わり昼食も終わったあとの孫家は意外とのんびりとした時間が流れる。

     茶を淹れて、ゆっくりと飲む時間。
     それはチチがひとりで家を支えてい 2050

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第1試合 『空』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge
    #悟チチ #Gochichi
    チチは亀仙流の使い手であり、その武は亀仙人も認める達人の域であった。
     まぁ今は孫もいる身であり、全盛期と比べればゆるやかに力量は落ちてはいるがちょっとした暴漢をこらしめるくらいは未だに朝飯前のことだ。

     とはいえ、チチは気は読めないし、気弾も打てない。夫や子供達が得意とするかめはめ波も打てないし、舞空術も使えない。

     舞空術については、悟飯からそれを学ぶ際に一緒にできるようになろうとねだらた。それよりもっと前には、悟天が生まれて少し落ち着いたころによければと、悟飯からも舞空術が使えるようになることを勧められたこともある。
     だがチチは穏やかに辞退した。
     舞空術は確かに身に着けることができれば便利だろうが、気を感じる、気を読むなどのセンスはどうも自分にはないと思ったし、夫が遺した筋斗雲があればチチだって空を移動できる。

     子供達はチチのそれに少し残念そうであったけど納得もしてくれたことがありがたかった。

     筋斗雲に乗って、空を行く。
     朝はまだ少しひんやりした空気の中。昼は、眩しい陽射しの中。夜は満点の空を見られる。
     それが自分の身ひとつでできれば、解放感はひとしおかもしれ 1609

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    第3試合 『春 〜Spring〜』

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    茄子に胡瓜にトマト。アスパラ、カブ、ピーマン、春菊―――。

     春に種まき、ないしは苗植えを行う作物のことを考えながら、チチは起こされて湿り気を含んだ独特の匂いのする土の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。 

     トラクターで掘り起こされた土は黒々としていて、春の陽射しをぐんぐんと吸いこんでいるのが分かる。この、畑の「目覚める」様子がチチはとても好きだ。
     もちろん冬にも幾つか作物は育てていたが、やはり秋までに比べれば幾分縮小させていたし、この春に備えて手入れをし、休ませていた畑もある。

     雑草などで作った堆肥を含んだ土に器具を入れてひっくり返すときにわくわくすると言うと夫である悟空に笑われてしまったが、それはマイナスな意味ではなく「チチらしい」という明るくてどこか嬉しそうなそれであった。
     
     もう二度と会うことは叶わないと思っていた夫が現世の人となり、チチが生業として選んだ「農業」に加わったことで、孫家の農業はぐんと幅を広げた。
     トラクターなどを使って畑を耕していたとはいえ、パオズ山の土地はその内に大小様々な土をはらんでいることも多いし、また土も農作物を育てるにはまず土を育てて整えて 1425

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    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    孫家の日常は多分どちらかといえば慌ただしいイメージかもしれない。

     それは確かに事実でもある。
     なにせ、パオズ山は緑豊かといえば聞こえはいいが、実際は大型肉食獣も住まう辺境という言葉が相応しく、人が住む場所といえば限られていて村と呼べる存在は山の麓の方にあり、そこから町、都会へとなるとずっと遠くなりそれなりの移動手段が必要だ。

     そんな場所で暮らしているものだから、ハイスクールへの登校にも時間がかかってしまう。孫家の長男、悟飯は時間にルーズではないがやはり朝はばたばたしがちだし、悟飯や悟天の父親である孫悟空が現世の人として戻ってきたため家事(主に食事面)が増えたため子供達の母であり、悟空の妻であるチチも所々は慌ただしい。
     しかしながら、子供達が成長すれば各々時間の使い方はうまくなっていくし、悟空に至っては修行に出てしまえば家を不在にする時間も長くなり心配はするものの家事の負担は減る。

     あと、これは知るものは孫家の面々くらいだが、農作業が終わり昼食も終わったあとの孫家は意外とのんびりとした時間が流れる。

     茶を淹れて、ゆっくりと飲む時間。
     それはチチがひとりで家を支えてい 2050

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第11試合 お題『海 〜Sea〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    惑星バンパは「過酷」な環境ではあるが、ブロリーにとっては物心ついたころから生きてきた星だし、色々あったが今はチライとレモが一緒にいる。
     ソンゴクウが持ってきてくれた「家」でぐっと過ごしやすなったし、昼は暑さに夜は寒さに、食料が心もとないと不安がっていたチライとレモが笑ってくれるようになったのはブロリーには嬉しいことだ。
     ゴクウは度々バンパを訪れ食料や他に必要なものを持ってきてくれて、そしてブロリーを修行に誘う。それを数回繰り返すうちにゴクウはブロリー達を地球へと誘った。理由はブロリーが海を見たいといったからである。

     ゴクウ曰く、ブロリーは海自体はとっくに見ていて、かつその中に落ちたりもしていたらしい。
     フリーザの宇宙船が着地した場所、そしてゴクウやベジータと闘った場所こそは氷に覆われてはいたもののその下こそが「海」だったらしい。
     ゴクウから聞く地球の話で、海とは青くて広くて深い場所もあって、たくさんの生き物がいるとあった。
     闘争本能が暴走した状態だったので、海自体をよく見れていなかった。たくさんの生き物がいるなら見てみたいといったところ、ゴクウの瞬間移動なるものでの地球へ 1607

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    TRAINING第16試合『Freestyle』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「我流?」
    「んだ。悟空さの武術スタイル。亀仙流…神様、界王様やあの世のお偉いさんとか、今じゃあウィスさんって破壊神のお付きの天使様に修行とかつけてもらってて、その教えはあるかもしんねぇけど、ほとんど我流だべ」
    「まぁ……そうなるの、…か?」
    「なんでおめぇさが疑問形なんだべ」
    「いやー、別に嫌とかじゃあねぇけんど、なんかヘンテコかと思ってよ。チチは…亀仙流だよな」
    「んだ。おっとうからみっちりと教わった正統派亀仙流だべ」

     型見せるだか? と、腰を落とし両手を持ち上げて構えをとるチチは凛として華の如く。美しい武だ。

    「ほんっとキレイなもんだよな」
    「悟空さの構えもてぇしたもんだよ。この人にはかなわねぇって肌ぴりぴりするだよ」
    「オラおめぇにそんな気ぶつけたか?」
    「ねぇな」
    「だよな」
    「我流ってのがしっくりこねぇべか? 一応いろんな教えをたくさん持ってて、それ全部ひっくるめて修行して発展させてるってのが今の悟空さだと思うけんど。あ、言い方がちょっとカッコ悪いって思ってるんじゃねぇか、悟空さ」
    「言い方ぁ?」
    「んだ。悪くはねぇけんどちょっとなんかもうちょっとあるんじゃねぇかって 882

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    TRAINING第18試合『手紙〜Letter〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
     掃除、洗濯、夕食の下ごしらえ、他のこまごました家事が終わると、チチのちょっとした自由時間となる。
     自由時間といっても大概は針仕事や近隣(と、言っても孫家からかなりの距離はあるのだが)への用事事や畑の様子などを見にいくことも多いが、まれに本当にぽっかりとそれらもない自由時間がある。

     そうなるとチチはお茶を淹れて雑誌を読んだりテレビを見たり、時々午睡をしたりとして過ごすが、気が向くとリビングのとある収納の引き出しを引く。

    「ああ、そろそろこの便箋もなくなってきてるだなぁ」

     言いながら取り出したのは、淡い緑色で揃えられているレターセットだ。共に万年筆も出して、ダイニングテーブルに座る。
     
    「さて、と」

     便箋をめくり、チチは慣れた様子で万年筆にインクを補充すると、その切っ先を紙面へと滑らせ始めた。
     出だしはいつも決まっていて、「悟空さへ」 である。

     
     書くことは基本とりとめもなく。
     自分がその日思っていること、伝えたいことをつらつらを書いていく。満足するまで書いたあとは便箋を折り封筒に入れて封をして、便箋をしまっている同じ引き出しに手紙をしまう。
     この手紙は決し 1450