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    57ワンドロライ 第84試合『新婚旅行〜ハネムーンHoneymoon〜』
    #悟チチ版ワンドロワンライ #天下一悟チチ武道会 #悟チチ #Gochichi #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge

     自分達の新婚旅行は芭蕉扇を探すそれだったと、チチは穏やかに話す。
     結婚式をあげる前の旅行なので、「婚前旅行」なのではないかとも言われがちだが、悟空とチチが夫婦になったのは天下一武道会の武舞台の上だから「新婚旅行」だとチチは胸をはる。

     あのころは悟空は舞空術は使えるようになったばかりで、今のように瞬く間に地球を何周できるほどではなく長距離の移動はもっぱら筋斗雲がメインだった。

    「悟空さに限っては今は瞬間移動もしちまうからなぁ」
    「早ぇし便利だろ」
    「まぁそうなんだけんど。旅行ってのはな、移動するのも含まれてるから」

     それは悟空がヤードラットから戻ってきてからした会話だ。人造人間が現れるまでの間、修行の日々の中に家族の時間も取り入れようとした中の移動方法について瞬間移動を使用することを提案した悟空とそれ以外の方法を提案するチチとの会話だった。

     気を探る必要はあるが、それさえできればすぐに移動できる利便性を積極的には使おうとはしないチチを不思議に思っていた悟空だが、セルゲームの前には自らエアカーを運転してピクニックに行くなどを自ら提案してきたのでなんとなくかもしれないがチチの気持ちは理解されたのではいかと思う。

    「オラ達もどっか旅行行くか?」
    「いきなりだべな。悟飯とビーデルさの新婚旅行見送ったから、悟空さ影響されただな? でもだめだべ、ふたりは新婚旅行だもの。特別だべ」
    「んー……、チチ、結婚すっか」
    「はぁ?」
    「…………」
    「……なんつぅ笑顔だべか、プロポーズしてから旅行行ったら新婚旅行ってワケだべか? まったく、なんかヘンテコな知恵をつけてきてるだなぁ」
    「で、チチ。どうする?」

     チチが饒舌に話始めるときは気恥ずかしかったり、多少の混乱を落ち着けるための時間稼ぎだったり。そこも分かってきているから、まぁ確かに新婚ではないが、あのころのようなふたりで旅行に行きたいと思ってしまったので、悟空は追撃をする。

     そっぽを向いているチチを更にのぞき込んで、悟空はにっこりと笑った。
     
     
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    TRAINING第18試合『手紙〜Letter〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
     掃除、洗濯、夕食の下ごしらえ、他のこまごました家事が終わると、チチのちょっとした自由時間となる。
     自由時間といっても大概は針仕事や近隣(と、言っても孫家からかなりの距離はあるのだが)への用事事や畑の様子などを見にいくことも多いが、まれに本当にぽっかりとそれらもない自由時間がある。

     そうなるとチチはお茶を淹れて雑誌を読んだりテレビを見たり、時々午睡をしたりとして過ごすが、気が向くとリビングのとある収納の引き出しを引く。

    「ああ、そろそろこの便箋もなくなってきてるだなぁ」

     言いながら取り出したのは、淡い緑色で揃えられているレターセットだ。共に万年筆も出して、ダイニングテーブルに座る。
     
    「さて、と」

     便箋をめくり、チチは慣れた様子で万年筆にインクを補充すると、その切っ先を紙面へと滑らせ始めた。
     出だしはいつも決まっていて、「悟空さへ」 である。

     
     書くことは基本とりとめもなく。
     自分がその日思っていること、伝えたいことをつらつらを書いていく。満足するまで書いたあとは便箋を折り封筒に入れて封をして、便箋をしまっている同じ引き出しに手紙をしまう。
     この手紙は決し 1450

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第7試合 お題『ピアス』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「ピアスを開けたい? いいんでねぇか」
    「…………」
    「悟天、何か言いたいなら言うだよ」
    「あ、えっとさ。あっさりOKされるとは思わなかったから」
    「ファッションのひとつだし、おめぇも年頃だからな。親のおらがしてるものを頭ごなしにダメっていうほど気も張ってねぇだよ」

     ソファに座ってのんびりと茶を飲んでいる母に話しかけるタイミングと彼女の期限をかなり慎重に窺って挑んだだけに、悟天の方が拍子抜けしてしまった。
     桃色が主体の旗袍に髪を短くした母親の耳元には確かにピアスがされていて、小さく球が揺れている。

     ピアスといえばやはり女性ものというイメージがあるし、実際母に話すより前に隣に住む兄に相談してみると「彼女へのプレゼントじゃなくて?」と首を傾げられたこともあった。まぁ悟天とて女の子がつけて可愛い装飾が多いものは興味はないが、小さな銀や金のスタイリッシュなものには憧れる。
     耳といういつも露出している部位に身に着けるものだから、やはり一緒に住んでいる家族に黙ってやるのはいかがなものかということと、素行には厳しい母親であるということで話すタイミングを数日前から考えて見計らって挑んだ結果 1737

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第6試合 お題『アイス〜ICE〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    孫家の日常は多分どちらかといえば慌ただしいイメージかもしれない。

     それは確かに事実でもある。
     なにせ、パオズ山は緑豊かといえば聞こえはいいが、実際は大型肉食獣も住まう辺境という言葉が相応しく、人が住む場所といえば限られていて村と呼べる存在は山の麓の方にあり、そこから町、都会へとなるとずっと遠くなりそれなりの移動手段が必要だ。

     そんな場所で暮らしているものだから、ハイスクールへの登校にも時間がかかってしまう。孫家の長男、悟飯は時間にルーズではないがやはり朝はばたばたしがちだし、悟飯や悟天の父親である孫悟空が現世の人として戻ってきたため家事(主に食事面)が増えたため子供達の母であり、悟空の妻であるチチも所々は慌ただしい。
     しかしながら、子供達が成長すれば各々時間の使い方はうまくなっていくし、悟空に至っては修行に出てしまえば家を不在にする時間も長くなり心配はするものの家事の負担は減る。

     あと、これは知るものは孫家の面々くらいだが、農作業が終わり昼食も終わったあとの孫家は意外とのんびりとした時間が流れる。

     茶を淹れて、ゆっくりと飲む時間。
     それはチチがひとりで家を支えてい 2050

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第2回戦 お題『マフラー』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    年齢を重ねてきたことで、ようやく見えてきたことがある。
     自分の中に流れる戦闘本能については純血のサイヤ人のそれということでどうしようもないとしても、闘いがない日常でもそれなりに生きていけて、それを悪くないと思えるのは「地球人」としての自分の一面で、近しい者に危害が加わることは良しとはしないあたり、色濃いことだ。

     穏やかな昼下がり。
     最近自分から望んでやるようになった農作業も終えての、自由時間。悟空には瞬間移動があるので西の都にでも行ってベジータと組手などすることも多いのだが、この日はパオズ山の自宅に居る。

    「ん。大丈夫だべ、ビーデルさ。ちゃあんと出来てるだよ」
    「本当ですか…?」
    「んだ。やり始めたばかりのおらよりも、ずうっと上手だ」

     この時間は窓から入ってくる陽光で陽だまりになるソファに、ビーデルとチチが並んで座っている。
     ビーデルの手には鈎針が握られていて、彼女はいつもは勝気な眉を少しばかりハの字にしながら手を動かし、ソファ前のテーブルの上に乗せられた籠の中の紫の毛糸玉がゆっくりと回る。編み物をしているのだ。

     ビーデルは悟飯のハイスクールのクラスメイトだが、それ 1835

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第9試合 お題『夢』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    思えばずっと、自分は彼女に待たせているばかりだった。

     幼い約束を信じて、少女から乙女となるまで待ち続けた彼女。
     天下一武道会の武舞台で夫婦となりパオズ山で生活はし始めたけど、修行のために家を出れば一人きりの朝と夜を迎えさせたのは片手どころか両手、両足の指を使っても数えきれないほど。それで泣かせてしまったのも数として口にすると後ろめたさでいたたまれなくなるのだが、そこに死別が割り込んでくるとなると、もうなんともさすがの悟空とて申し訳ないどころでは済まされないと反省したくなる。
     二度の死別から現世の人となり、そこから先で、また彼女の元から離れた。

     背中にかけられた声にまともに返せなかったのはともすれば彼女を道連れにしてしまいかねなかったからだ。
     今の孫悟空という存在はこの世、あの世、どちらの存在とも言い難く、地球という星と共に在るが、個として明確であることは短い時間でしか今は保てない。

     そうなることは悟空自身の意思であるし、悔やんではいない。
     自慢の息子達が家庭を持ち、仲間達のそれぞれの人生、可愛い孫娘が孫の世話をする時の流れを穏やかに、なつかしさと羨望のまなざしで見守 1238

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第10試合 お題『りんご 〜Apple〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    二度目のあの世の住人となって、困ったことというのは実は少ない。
     もちろん息子の悟飯のこれからを父親として見ていきたい気持ちはあるが、それよりも地球という星のこれからの平穏を望むことにして甦りの方法を模索する仲間達をそれを制した。 この世が穏やかであれば、元来優しい性格の息子は必要以上に闘うことはなく学者になりたいという夢に向かって勉強をすることができる。
     武道家として我が子の潜在能力に盲目になってしまった自分ができる、願いと、罪滅ぼしだと思っていた。

     仲間達も皆、それぞれの時間を歩んでいける者達ばかりだ。ピッコロなんかは新しい地球の神となったデンデに付いてやるだろうし、多少厄介ごとがあってもなんとかできるだけの力がある。
     未来からやってきたトランクスから聞かされた、悲痛の路からは外れたはずだ。

     二度目の死でも幸い肉体は与えられた。だから、地球で生きる者達が天寿を全うしてこちらで会えるまでは存分に修行をして、己が望む武を高めていけばいい。



     そう、思っていたのだが。

    「なぁ、界王様。もうちっとなんか食うモンねぇかな?」
    「お前まーだ食うつもりなんかい」
    「いや、結構 1586

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    TRAINING第13試合『告白〜Confession〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    パオズ山、孫家。
     長男、悟飯が家庭を持ち家を出たことにより、息子達の部屋は次男悟天の自室となった。
     最初は広くなった部屋に落ち着かない様子だったが、成長と共にそこは彼のテリトリーとなり自室で過ごす時間も多くなった。

     家族仲が悪くなったわけではないが、悟空からしてみればやはり以前のように家族三人でリビングで過ごす時間が少なくなったと感じるし、それとなくチチにそれを話してみたところ、それが子供の成長だと微笑まれた。

    「悟空さは意外と子離れが寂しい性質なのかもしれねぇな」
    「そうなんかなぁ」

     風呂上り、チチがリンゴを用意してくれるというので悟天にも声をかけたのだが、彼は机に向かって今はいいと返してきたことを妻に話して、彼女が置いてくれた皿からリンゴをつまんで食べる。
     子離れというと悟飯の結婚式の前夜に涙をこぼしていたチチを思いだすのだが、そこまでではないと思う。でも確かにチチの言う通り、なんとも言えない感覚は「親」としての何かしらの感情だろうともあり、……なんとも表現し難い。

    「まぁ、おらと悟空さは子育ての差に七年ほどあるだ。そのうち追いついてくるだよ」
    「なんかチチ、セン 1899

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    TRAINING第14試合『猿〜MONKEYサル〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    ある日突然、出会ったころのような少年の姿になって自分の元に戻ってきた夫は元の姿に戻るを通り越して、スーパーサイヤ人の別の形態を得た。
     それまで髪に宿していた金色は瞳の色へと変わり、スーパーサイヤの三つ目のときほどではないが髪は背後に流れるほどの量がある。
     朱の隈取に同じ色の体毛。同色の尻尾を持つ夫は素直にかっこいいとチチは称し、その姿で近づかれても金色のスーパーサイヤ人を初めて見たときのような拒否反応は起こさない。
     それが嬉しいような、どことなく複雑なような、とは悟空の心境だ。

    「スーパーサイヤ人3んときもそんなおら嫌がらなかったべ? 髪もふもふさせてもらったもん」
    「ありゃあいい加減普通のスーパーサイヤ人とかである程度慣れてたってのもあんだろ。いっちゃん最初になって見せたときとかはまぁ不良だなんだ言われたし、悟飯のときもそうだったじゃねぇか」
    「悟空さ結構根に持つタイプだべよな。普段は黒い髪の悟空さや悟飯ちゃん、悟天ちゃんが金色の髪になっちまうと髪を染めて不良になってるってイメージになっちまってたからなぁ。我が子が非行に走るのを嘆くのは親の本能だべ」
    「オレはチチの子供じゃね 1730

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    TRAINING第16試合『Freestyle』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「我流?」
    「んだ。悟空さの武術スタイル。亀仙流…神様、界王様やあの世のお偉いさんとか、今じゃあウィスさんって破壊神のお付きの天使様に修行とかつけてもらってて、その教えはあるかもしんねぇけど、ほとんど我流だべ」
    「まぁ……そうなるの、…か?」
    「なんでおめぇさが疑問形なんだべ」
    「いやー、別に嫌とかじゃあねぇけんど、なんかヘンテコかと思ってよ。チチは…亀仙流だよな」
    「んだ。おっとうからみっちりと教わった正統派亀仙流だべ」

     型見せるだか? と、腰を落とし両手を持ち上げて構えをとるチチは凛として華の如く。美しい武だ。

    「ほんっとキレイなもんだよな」
    「悟空さの構えもてぇしたもんだよ。この人にはかなわねぇって肌ぴりぴりするだよ」
    「オラおめぇにそんな気ぶつけたか?」
    「ねぇな」
    「だよな」
    「我流ってのがしっくりこねぇべか? 一応いろんな教えをたくさん持ってて、それ全部ひっくるめて修行して発展させてるってのが今の悟空さだと思うけんど。あ、言い方がちょっとカッコ悪いって思ってるんじゃねぇか、悟空さ」
    「言い方ぁ?」
    「んだ。悪くはねぇけんどちょっとなんかもうちょっとあるんじゃねぇかって 882