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    住めば都

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    住めば都

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    あくねこ、ミヤジ夢。
    「愛の出来損ない」の蛇足的ななにか。
    ↑からしばらく経って、二人が恋人になったあとのできごと。相変わらずぐるぐる悩んでる先生を主様がすくいあげるような話です。

    ちなみにこれは本当に蛇足の蛇足ですが、ピロートークのつもりで書きました!

    #aknkプラス
    aknkPlus
    #aknk夢
    #あくねこ夢
    cats-eyeDream
    #ミヤジ
    oldMan

    愛と呼ばせてくれ「ミヤジ」
    「いっ!?」
     名前を呼ばれると同時に額を弾かれて、ミヤジは痛みに呻いた。腕の中の愛しいひとに向けて、批難混じりに「痛いよ」と訴える。彼女は苦笑して、ほっそりとした指先で労るようにミヤジの額を撫でてくれた。
    「だって、ミヤジが一人で悩んでいても仕方のないことをぐるぐる考えていそうな顔をしていたから」
    「そ、そうか……」
     それは一体どんな顔なのだろうと考えてみるが、ミヤジには想像もつかない。そもそも、ミヤジは自分のことを表情の乏しい男だと思っていた。僅かな表情の変化から、細かな心情を察することのできる、彼女の洞察力がすごいのだ。
    「それで?」
    「うん?」
    「なにを考えていたのか、教えてはくれないの?」
     穏やかに問われて、ミヤジは困ったように眉尻を下げた。
     たしかに彼女の言うとおり、ミヤジが先ほどぐるぐると悩んでいたことは、一人で考えていたところで答えなど出るはずのない問いだ。しかしそれをありのまま話して聞かせるには、少々の勇気が必要だった。
     なぜならそれは、己の抱える暗く重い感情を、愛するひとへさらけ出すのと同義だからだ。
    「ねえ、ミヤジ」
    「っ……ああ」
    「話したくないのなら、無理には聞かないけれど。こんなに傍にいるのに、力になれないのは……寂しいよ」
     頼ってもらえないことが、寂しい。それは、ミヤジにも覚えのある感情だった。甘えることの下手くそな彼女が、ミヤジに寄りかかり、助けを求めることを覚えるまでの間、幾度となく感じた思いだから。
     胸に擦り寄り、寂しい気持ちを素直に伝えてくれる彼女が愛おしい。ミヤジはほうと息をつき、早々に白旗を降った。
    「手を離すことを愛と呼ぶなら。……あなたを自分の元に繋ぎ止めておきたいと願う私のこの感情は、一体なんと呼べばいいのだろうかと。そんなことを考えていたんだ」
    「そ、れって……結構前に話したことだよね? よく覚えてたね……」
    「結構衝撃的な内容だったからね」
     とは言うものの、ミヤジは彼女と交わした会話の内容であれば、だいたい覚えている。生きて傍で過ごせる時間は有限だ。だからこそ、できる限り忘れずにいたかった。
    「あなたなら……私のこの思いを、なんと呼ぶのだろうね」
    「そうだなあ……」
     むむむと眉間に皺を寄せて考え込んだ彼女は、やがてぽつりぽつりと落とすように言葉を紡いだ。
    「執着、恋、あるいは依存、とか? ……でも」
     ひた、と黒に近い濃褐色の瞳が、ミヤジの瞳を見つめる。彼女は向かい合った薄青の瞳に自分が映っているのを認めて、とろりと目元を緩めた。
    「それもまた、愛の一つの形なんだろうなあと思うよ」
    「そう、だろうか」
    「そうだよ。感情の在り方なんて、一つじゃないだろうし」
     それにね、と。彼女は身動いで、ミヤジの耳に唇を寄せた。温かな息がかかるのがこそばゆい。ミヤジは彼女の言葉を聞き逃さないよう、聴覚に意識を集中した。
    「ミヤジが私に向けてくれる感情なら、私はそれを、愛と呼びたいよ」
     それは、これ以上ないほどの、愛の言葉だった。ミヤジは愛しいひとの体を、力に任せてかき抱いた。
     ミヤジはこれまで、ずっとわからずにいた。手を離せない自分が、縛りつけることを望んでしまう自分が、愛しているという言葉を使っても許されるのだろうか、と。
     けれど、ほかでもない彼女が、ミヤジの思いを愛と呼んでくれるのならば。ずっと伝えたかった言葉があった。これでやっと、声に出せる。
    「愛している――心から愛しているよ、私の、いとしいひと」
    「うん。私も――愛してるよ、ミヤジ」
     重ねた唇は、今までにないほど熱かった。
     目に映らない思いは不確かで、寄る辺ない。それに比べて、触れた場所から交わる熱は鮮明だ。それなのに温度だけでは満足できないのは、見えなくとも思いは確かにそこに在ると知っているからなのだろう。
     ミヤジの思いはここにある。それをどうにかして伝えたくて、彼は愛の言葉を繰り返し、愛しいひとの唇に注ぎ込んだのだった。
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    住めば都

    DONEあくねこ、ルカス夢。
    いつもドキドキさせられて悔しい主様が、意趣返しのつもりで「ルカスは冗談ばっかり」と返したら、実は全部本気の本心だったと暴露される話。

    交渉係を務めて長い男が、自分の思いに振り回されて本音を隠せず、苦し紛れに冗談だよって見え見えの誤魔化し方しかできないのめちゃくちゃ萌えるなと思うなどしました
    いっそ全部、冗談にしてしまえたら 目の覚めるような美人ではない。愛嬌があるわけでも、聴衆を沸かせる話術を持つわけでもない。
     至って普通。どこにでもいそうな、地味で目立たないタイプ。――それが私だ。
     おおよそ三十年かけて築き上げた自己認識は、異世界で出会ったイケメン執事たちに「主様」と呼ばれ大切にされたところで、簡単に揺らぐようなものではない。
    「フフ、主様といられる時間は、本当に幸せです♪ この時間が、永遠に続けばいいのになあ……」
    「はいはい。全く……ルカスったら、冗談ばっかり言うんだから」
     上機嫌に微笑む担当執事を、私は半眼で睨みつけた。
     ルカスとアモンは、口説くようなセリフをよく言ってくる。恋愛経験の少ない私はそのたび顔を赤くしてドギマギしてしまうのだが、彼らの思惑どおりに翻弄されるのを、最近は悔しいと感じるようになっていた。
    1884

    住めば都

    DOODLEあくねこ。ナックとハンバーグの話。友情出演、ロノとテディ。
    執事たちの話題に上がるだけですが、美味しいもの大好き自称食いしん坊の女性主様がいます。
    後日、お礼を伝えられた主様は「私が食べたかっただけだから」と苦笑したそうです。

    お肉が苦手なナックに豆腐ハンバーグとか大根ステーキとか食べさせてあげたい気持ちで書きました。
    美味しいは正義 今日に夕食のメニューは、ハンバーグだ。
     食堂に向かう道すがらで会ったテディが、鼻歌混じりで嬉しそうに言うのを聞いて、ナックは落胆の気持ちを曖昧な笑顔で濁した。
     ナックは肉全般が苦手だ。メインが肉料理の日は食べられるものが少なく、空腹のまま夜を過ごすことも多い。
     だが、ハンバーグを心から楽しみにしているらしい同僚に、それを伝えることは憚られた。食事は日々の楽しみだ。テディには心置きなく、好物を味わってほしい。
     食事の時間は一応決まっているが、執事たちは全員揃って食事を取るわけではない。一階や地下の執事たちはそろって食べることが多いようだが。
     決められた時間内に厨房へ顔を出し、調理担当に、食事に来たことを告げる。そうして、温かい料理を配膳してもらうのだ。
    2130

    住めば都

    MEMO2023クリスマスの思い出を見た感想。
    とりあえずロノ、フェネス、アモン、ミヤジ、ユーハン、ハナマルの話をしている
    執事たちが抱く主様への思いについて現時点で、あるじさまへの感情が一番純粋なのはロノかなという気がした。
    クリスマスツリーの天辺の星に主様をたとえて、でもそこにいるのは自分だけじゃなくて、屋敷のみんなも一緒でさ。
    主様と執事のみんながいるデビルズパレスを愛してるんだなあということがとてもよく伝わってきて、メインストのあれこれを考えると心が痛い。ロノの感情と愛情が純粋でつらい(つらい)

    なぜロノの贈り物にこんなに純粋さを感じているかというと。
    手元に残るものを贈っている面々は、そもそも根底に「自分の贈ったものを大切に持っていてほしい」という思いがあるはずで、贈った時点である意味主様からの見返りを求めているのと同じだと思うんですよね。
    ただ、消え物にするか否かは思いの重さだけでなくて、執事たちの自分への自信のなさとか、相手に求めることへの拒否感とか、なにに重きを置くかの価値観とか、いろいろあると思うので、消え物を選んだ執事がみんなロノほど純粋な気持ちではいないんだろうなと思っている。
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    住めば都

    DONEあくねこ、ハウレス夢
    本編2章の直後くらいに、セラフィムの騙った主様の処刑を夢に見るハウレスの話。

    始めたばっかりですが、生きてるだけで褒めてくれるあくねこくんにズブズブです。
    本編は3章1部まで、イベストは全て読了、未所持カードばっかりだし執事たちのレベルもまだまだなので解釈が甘いところも多いかと思いますが、薄目でご覧いただければと思います( ˇωˇ )
    悪夢のしりぞけ方 ハウレスはエスポワールの街中に佇んで、呆然と雑踏を眺めていた。
     多くの商店が軒を列ねる大通りは、日頃から多くの人で賑わっている。幅広の通りはいつものように人でごった返していたが、いつもと違い、皆が同じほうを目指して歩いているのが奇妙だった。
     なにかあるのだろうか。興味を引かれたハウレスは、足を踏み出して雑踏の中へ入った。途端に、周囲の興奮したような囁き声に取り囲まれる。
    「火あぶりだってさ」
    「当然の方法だよ。なにしろ奴は人類の敵なんだから」
    「天使と通じてたなんて、とんでもない悪女だな」
    「許せないよ。死んで当然だ」
     虫の羽音のような、不快なさざめきが寄せては返す。悪意と恐怖、それから独善的な正義。それらを煮つめて凝らせたような感情が、人々の声や表情に塗りたくられていた。
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    住めば都

    DONEあくねこ、ハウレス夢。
    過労で熱を出したハウレスが主様に看病される話。
    なおハウレスは回復したあと、ボスキやアモンから主様に甲斐甲斐しく世話されたことをさんざんからかわれたそうな。

    担当執事をつついてると、いやそのセリフそっくりそのまま返すよ!?って思うことが多くて、この話もそういうアレから生まれました( ˇωˇ )
    きみに捧げる特効薬 今になって思い返して見ると、朝起きたとき、いつもより体が重いような気はしたのだ。けれど、頭が痛いとか咳や鼻汁が出るとか喉が痛むとか、ほかの症状がなかったものだから。少し疲れが溜まっているのだろうと、ハウレスは軽く考えてしまった。
    「おそらくは、過労だね」
     診察していたルカスが真剣な表情で告げるのを聞いて、ハウレスの主人はひどくショックを受けた表情になった。主様がそのように悲しそうなお顔をされる必要はないのにと、ハウレスは思ったけれど、熱があることを自覚してしまった体はやたらと重だるくて、口を開くこともままならなかった。
     ハウレスの異変に気づいてルカスの元へと連れてきたのは、他ならぬ主人だった。
     この日――。ハウレスは寝起きに体のだるさを覚えたものの、大したことではないと断じて普段どおりに仕事に取りかかった。屋敷中の窓を開けて空気を入れ替え、トレーニングをこなし、主人に起床時間を知らせにいった。身支度を済ませた彼女を食堂までエスコートするために手をとって、そこで眉間に皺を寄せ険しい顔になった主人に手首や首筋、額などを触られた。そうして、有無を言わさずここへ連れてこられたのだ。
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