Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    まどろみ

    @mdrmnmr00

    皆様の七灰作品が見たいので書いてます

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 106

    まどろみ

    ☆quiet follow

    #七灰ワンドロワンライ
    第46回『足音』
    原作軸。あおはるしてほしい

    #七灰

    両片思い!!からの!!補助監督が不在の二人での任務帰り、塗装されていない道に一人分の足音が響く。
    今日の任務は僻地に住む少女に憑いた呪霊の討伐。彼女は七海をいたく気に入ったらしく、もう少しお話ししませんかと袖を掴んだ。それを見た僕は七海の表情を見る前に「じゃあ先に行くね!ごゆっくり!」と足早に駆け出していた。
    妹を思い出して少女の淡い恋心を砕くのに罪悪感があったからというのが半分。もう半分は…恋をする彼の顔を見たくないという、単なる我儘。
    「自分の気持ちは言えないくせに」
    情けない、とため息をつきながら歩いていると左足に何かが当たる。見るとそれはバスケットボールで、顔をあげるとここには不釣り合いなほど立派なゴールが設置してある公園があった。
    誰もいないところから転がってきたボール。呪霊の気配は感じないものの用心しながら公園に入る。しばらくあたりを散策したが何の変哲もない普通の公園だった。その事実に安堵し手元のボールを地面に置こうとした際、とある考えが頭をよぎる。
    「このシュートが決まったら…」
    ダム、ダムとドリブルしながらゴールの真正面に立つ。誰にも邪魔されないフリースローの構えだ。
    「七海に告白する…んだっ!」
    ジャンプをしてボールを放つ。心臓の音だろうか、ザザザザと音が響く。軌跡を目で追うと、リングに当たったボールはきれいに跳ね返っていた。それは、伝えても受け入れてはもらえないであろう自分の気持ちのようで。
    無言で立ち尽くしていると突然音が止んだ、と同時に視界にジャンプをしてボールを掴む七海の姿が目に入る。彼はそのままボールをゴールのリングに叩きつけた。いわゆるダンクシュートだ。
    「すごい!」
    手放しで褒めるが反応はない。どこか具合でも悪いのかと心配になり表情を伺うと突然両肩を掴まれた。
    「えっ!?」
    「……」
    「なに?」
    ボールがコロコロと転がっていく。それを目で追っていると額同士がぶつかり視界が彼で覆われる。頬を染め、期待に満ちた表情の彼がそこにはいた。
    「私に言いたいことは?」
    「…?」
    「シュートを決めたら、私に言う事があるんじゃないか?」
    その言葉の意味を理解し、心臓の音だと思っていたのが七海の足音だと気がつくまで、あと五秒。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖💞💖💖💖💒💘💘😭💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    nononoko1996666

    MOURNING呪詛師灰原②(前の話とはまったく続いていません)。
    自分に出来ることを精一杯やっていたら、呪詛師になってしまった灰原。呪術師の七海は灰原くんの邪魔ばかりしてる。
    明るい灰原くんはいません。酷い灰原くんはいます。
    あと激重七海はいます(七海視点)。

    別に灰原くんに呪詛師が似合うとかじゃなくて、完全な私の趣味です!書きたいとこだけ!
    暗転「………ぁ」

    「灰原っ!!!」

    必死に腕を伸ばすも届かず、名前を呼ぶことしか出来なかった。
    一瞬にして鉄骨が崩れ落ち、コンクリートの破片が辺り一面に飛び散る。
    灰原と依頼主が中に取り残されてしまい、焦りながら私が鉈を必死に振りかざしている間に、もう一人の依頼主が居なくなっていた事に気付けなかった。

    「どうか、生きていてくれ…」


    ✳✳✳


    縋るような灰原の泣き顔を、初めて見た。
    見開いた瞳からは止めどなく涙が流れ、腕に抱えている依頼主を見詰めている。

    「ねぇ、…あの当主って言ってた人、この子置いて逃げたんだ。…ねぇ、どうしてかな?」

    「考えるな灰原、こっちへ来い…早く」

    今回は嵌められたのだ。私達はあの当主という男に、2級に依頼する任務にしてはおかしいと感じていたというのに。
    2168