癒しの象徴 会場の部屋に到着した瞬間、眩しいものが見えた。
「英智さま、どこか凝ってるところはない?」
英智の肩に手を置いた桃李が背中から顔を覗かせて英智に訊ねていた。
さながら天使を描いた西洋絵画のようだ。あんずは感動で震えていた。このまま彫刻にしたい。あんずが芸術家ならこの場で作業を開始して取り掛かっていただろう。
持ち前の天真爛漫で溌剌とした声に相手を労わる気持ちを乗せたらそこには優しい世界ができあがる。英智に体重をかけないようにしながらそれでも少し子どもっぽく無邪気な素振りを桃李は残していて——とにかく素晴らしいシチュエーションなのだ。
「う〜ん、レッスンで身体は動かしているつもりだけれど。それでもどうしても肩が凝ってしまうね」
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