おとぎの夢 ここは夢の中でのみ訪れることができる不思議な図書館。
ナイトブルーを基調にしたクラシックな内装は落ち着いた印象なのに、壁際に並んだ本棚は思わず圧倒されてしまいそうなほど多く満たされている。
そんな不思議な図書館を訪れたあんずはしかし、困っていた。
探していた本を見つけたのはいいのだけれど、それが手を伸ばしても届かない高さのところにあったのだ。
ハシゴや踏み台がどこかにないかとあたりを確認したが、見つからなくて途方に暮れている。
呪文を唱えて自然に落ちてきたら便利なのに、などと背表紙を見上げて眉間に皺を寄せているあんずはそれでも現実的な思考の女の子だから、せめて椅子を持ってこられたら届くかも、と思いついた。
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