「……茨は私に、よく説明を求めるよね。何が悪いのかな……?」
視線を天井から、既に横で寝る体勢になっていた茨に移し、凪砂は問いかける。もぞりと体を動かし茨の方を向けば、相手もまた凪砂と向かい合う様に体の向きを変える。
「閣下の説明箇所が、スタートとゴールしか無いからですよ。今回だってそうです。」
「……なるほど。ええと、最初は確か、日和くんが茨と仲良くしているのを見て、つい、声を荒らげてしまって」
「でしょうね。それは何となく分かりましたが、不可解なのは『良かった』の方です」
周りから見れば、過剰なスキンシップに見えたであろう茨と日和を見て、どちらかは分からないが嫉妬心のようなものを自覚したというのであれば「触られて不快ではなかった」という茨の言葉に「良かった」という言葉は出てこない筈だ。少なくとも茨は同じような状況で、凪砂の様な言葉を選べない。
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