ごうたたんぺんいつつめくらい
ある日、高専に見知らぬ男の子がいた。
小学生くらいだろうか。小生意気そうな目をした、その、やたら不機嫌そうな顔をした小さな子供の傍らにはなんと五条が付き添っていて、いつもの調子でへらへらと笑いながら補助監督相手に一頻り話をすると、軽く頷いた補助監督が子供の手を軽く引き、応接室の方へと連れて行った。
何だろう。
怪訝に思って眉を顰めていたところで、目敏くこちらに気付いた五条が片手を上げて駆け寄ってくる。
「よ、歌姫じゃーん。何、仕事終わり?」
「これから任務の説明受けるとこよ。……何、あの子」
まさか攫ってきたんじゃないでしょうね、と当てつけのつもりでそういえば、にやついたままの五条が「んな訳ねー」とせせら笑いで応えた。
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