Holy, Holy, Holy聖なるかな、
聖なるかな、
聖なるかな。
聖致命者ファウスト様、
どうかお救いください。
彼を悪よりお救いください。
*
少年の肌は透き通るように白く、まるで肌の内から光を放っているかのようだった。少年の寝室は常に分厚いカーテンによって外界から完全に閉ざされており、日中でも太陽の光は全く入ってこない。暗闇の中で蝋燭の炎が仄かに灯るばかりの室内は、まさに彼のための常夜の国であった。
カインは生来活発な質で、部屋で本を読むよりも外を駆け回るほうが好きだった。それでも少年の待つ小さな部屋へと、カインは足繁く通った。少年は決して外へ出ない。大人たちから落ち着きがないと評されることも多いカインだったが、少年と共にいるときにはただ静かに本を読むことが苦ではなかった。ここにいる限りは、ふたりきり。ふたりのための、常夜の国。
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