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    KAYASHIMA

    @KAYASHIMA0002

    🌈🕒ENのL所属💜右小説置き場。
    エアスケブは受け付けません。ご了承ください。

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    POIPOI 98

    KAYASHIMA

    DONEIsアンソロに寄稿しましたお話です〜。
    第2弾もまたあるぞ!楽しみだ〜。
    【💛💜】衛星はホシに落ちた『衛星はホシに落ちた』







     僕は恋を知っている。
     僕は自覚も知っている。
    「恋を、自覚したから」、知っている。
     ルカという男に恋をしてから、僕は彼の周りをつかず離れられず周回する軌道衛星になった。決して自分から、形を保ったまま離れられないけれど、ルカの持って生まれた引力には逆らえずに接近してしまう、どうしようもない人工物。それが今の僕。近づきすぎたところで大きなルカには傷一つ付けられないで、きっと刹那的に瞬く塵になるソレ。そんなことは望んでいないし、そもそも自覚したところで、ルカという数多に愛される男を自分のモノにしたいなんて、勇気もない。それに、そうしたいとも思わなかった。百人のうち、きっと九十人がルカを愛するだろう。僕には自信があった。そのくらい、魅力に溢れている。だから、誰かのものになるのはもったいないと、本気で考えてしまったから。まあ、どう動けばいいのか分からなかった、ってのも、あるんだけれど。何を隠そう、右も左も分からない、僕の初恋だった。心地のいい存在。気負いしなくていいし、持ち上げなくてもいい。危なっかしいのに頼りになる。幾千の星に埋もれない。ルカは僕にとって一等星だった。
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    KAYASHIMA

    DONE💛💜です。
    にじそうさく07にて無配ペーパーとして書きましたお話です。
    学パロ。
    雰囲気なお話。
    【mafiyami】スモールワールドの扉「さっき校舎裏でヤミノが告白されてたのみちゃった」
     ザワザワとした教室の空気に、針が一本ぷすりと刺さった。入口から気色ばんで飛び込んできたクラスメイトは、少し大きな声でそういった。くっきりとした音だった。オレの耳に、聞かせるような声だった。と思わせるくらい、鮮明だった。
    「また? ヤミノってモテるねえ」
    「美人だもの」
    「でもしゃべると変? じゃない?」
    「ギャップじゃん。綺麗で近寄り難いと思ってたけど気さくで明るいから」
     さわさわと、さざなみみたいにオレへと近づいてくる他人から見えるシュウの情報に、どうしてか緊張して、生唾を飲んだ。ヤミノシュウは、オレの親友で、誰に紹介しても自慢できる最高のヤツ。多数に流されない芯があって、他人と違うことにも何処吹く風。綺麗な黒い髪と、ミステリアスな深い紫の目をした、澄まし顔の美人。だけど、気さくで豪快に笑うただのオレと同い年の男。物静かで、快活で、うつくしくて、少しだけズレている。振り幅だけなら多分、学校一だろうって思えるくらい、魅力のある人間。ヤミノシュウは、そんなヤツ。家が近所で、小さいころからだいたい一緒だった。高校も、理数科を選んだ結果同じ。ただオレはスポーツ推薦も相まって、シュウとは同じクラスにはならない運命だった。まあ四六時中一緒にいたいわけじゃなかったし。と思って過ごした二年。この間に、「他人から与えられるシュウの情報」に胸をモヤモヤとさせていて、ひとり気まずさを育てている。ほとんど知ってるシュウのこと。耳にするのも大抵は知ってること。特別新しいことなんてないはずなのに、どうしてか初めて聞くような感覚になって、何度首を傾げただろう。
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    KAYASHIMA

    DONE💛💜。
    「聞こえない」呪い。モブ♀ちゃんがでます。ルームシェアしてます。Twitterに文庫形式で掲載しているものを纏めたもの。一気読み用
    【lucashu】I'm here, so listen. シュウの声が聞こえない。正確には、ちゃんと聞き取ることが出来ない。「ざざ、ざざ」ってノイズに邪魔をされて、適当に相槌あいづちをうって誤魔化し続けるのにも限界がある。オレの耳はおかしくなってしまった。それは確かだし、どうして、よりによって、シュウの声が聞こえなくなっちゃったんだろう。そう、頭をめぐらせても答えらしい答えはなくて。日に日にノイズになっていく、シュウの声が段々、煩わしいとさえ、感じてしまって。何か、なにか原因があるはずだって、ぐるぐる考えて、
    『どうして、よりにもよって、
     フラッシュバックしたのは、つい最近言い寄られた女の子の言葉だった。ちょうど、シュウと出かけたついでに(正確にはシュウを連れてきたかったメインなんだけど、それだけじゃ格好つかないから色々回り道をして)立ち寄ったカフェの、テイクアウトコーナーを任されている彼女は、よくオレに声をかけてくれていた。いつもおまけをしてくれて、笑顔が魅力的で、可愛い子だと思ってた。このカフェのサンドイッチが新鮮でボリュームあって、美味しいからってよくシュウの分も買って帰ってたし、その間に緊張せずに話せるようになるくらい、そうわりと通ってた。
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    KAYASHIMA

    DONE8/28sh右 Web only/闇の帳が明ける頃
    展示しておりました作品です。
    ⚠マフィアボス💛と呪術良家の息女💜♀の話。💛の部下視点です。
    【lucashu♀】このお見合いは運命です。

    カネシロファミリーの次期ボスを継ぐことが決定した、ルカさまは表社会に連れ歩くだけの「お飾りの妻」を娶ること、に首を縦に振ることはなかった。けれど、逃れられず「彼女とだけは会いなさい」と母君に強くいわれ、ジャパニーズスタイルの料亭に引っ張られ今に至る。ボディガードとして座敷の隅に、互いの右腕たる人物が控えていて、先方は未だ姿を見せない。居心地悪そうに、というよりも威厳を保とうと眉間に皺を寄せたルカさまは、恵まれた体躯を丸めて胡座をかいて頬杖をついていた。
    「ルカさま、行儀が」
    「平気だよ、こっち見る気配もない」
    多分、向こうも無理やりお見合いさせられるんだ。と唇を尖らせてルカさまは、目配せした先の目を閉じたまま動かない女性を観察して囁いた。高く結われたポニーテールに、紫が散る漆のように艶やかな黒髪を持つ、目鼻立ちの整った相貌に、淡い藤色の着物に、墨色の袴を着こなした女性だった。街を歩けば男女問わず振り向く美人だろう。その人が、赤いラインを引いた双眸を開いた。
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    KAYASHIMA

    DONE8/28 sh右 Web only 『闇の帳が明ける頃』
    展示しておりましま作品です。
    【lucashu】あいがこわいと君がいうので。

    「好き」という言葉を聞くとシュウは声を震わせる。友愛・親愛・恋愛。たくさんの「すき」があるけどそれらすべてにシュウは困った顔(あくまでバーチャルな外側)を、一瞬見せる。震えて、唇をきゅっと噛むような。なにか怯えてるみたいに。愛を受け入れられないっていってるみたいに。全く寂しそうな素振りはないのに。見えないはずのシュウが、オレには映る。



    ボイスチャットで、よく姿を見るのがシュウだった。シュウは用がないときでも顔を出して、他愛ない会話に混ざって、仲間を助けてくれる。良き隣人、って感じ。シュウなら死んでも三日で蘇りそうな聖人みたい。でも相応だったり、子どもっぽかったり。でも大抵はそこにいる人に合わせて、自分を変えていくように感じた。オレの前では良いお兄ちゃんみたいな。それでいて、最近はちょっとだけなつこい。今までは、何となく間合いを探られてたんだと思う。ファーストインプレッションで、オレは「シュウがちょっと怖かった」。多分、それをシュウは感じ取ってて、オレとの距離の適正を見定めてたんだと思う。どうすればオレが緊張しないか、怒らないか、楽しめるか、笑うか。話すことでシュウはたくさんの情報を仕入れて、自分をカスタマイズする。シュウの中で、オレとの接し方が決まったってことなんだろうなって。そう直感すると、カスタマイズされたシュウが、目の前で笑っている気分になった。良かれと思って、偽られたシュウなんだと思ってしまって、オレはそれを暴きたいと思った。
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