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    aco

    PAST
    記録/HQおれは、初めてやつを見たときに確かに「孤独だ」と感じたのだ。

    中学最後の大会でのことだった。北川第一 対 雪々丘。あの体育館のむせ返るような熱気を、今でも覚えている。ネットの向こう、やつはただただ、孤独だった。肩肘張って、力んで、1人ではなにもできないはずなのに全部1人でやろうとしていた。それはそれは、孤独な戦いであったと思う。憶測にすぎないけれど、しかしだからこそ、おれはそれがとても悔しかった。おれは一目で、奴がいわゆる“選ばれた人間”であると理解した。だから、そのコートの向こうの孤独さを、許せなかったのだ。あいつはこんなところで終わっていい人間じゃない。
    トーナメント戦で闘うということは、どちらかが負けてどちらかが勝つということだ。決定的に勝者と敗者が明白になる。コートの上に立ち続けられるのは、勝者だけ。目の当たりにしたぶん、それは余計に残酷なように思えた。次にやつと闘うのは、高校へ上がってから。だからおれはそこでやつを倒してやろうと思った。高校という、中学よりもレベルのあがるその舞台で、おれはやつと対戦することを、夢に見た。あいつはきっと、高校に入ったら変わるだろう。もしかしたらあいつが中学でバレーをやめてしまうのでは、という危惧は、不思議とおれにはなくて、だってあいつは“選ばれた人間”だから、ちっぽけな孤独さ(そう、それはほんとうにちっぽけな。だってやつの才能は、その孤独を凌駕するほどだったから)に、つぶされることなんてないと思っていた。それは、どこか願いにも似た確信だった。
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    nu.

    DOODLE付き合ってる🎈🌟小話
    🎈の家に行くまでの🌟くんのようす。時期的には森ノ宮で修行してる時の話です。
    本当はこの「🎈の家に行く時における🌟」をテーマにしてオムニバス的な感じで何本か小ネタをひとまとめにする予定だったけど2本目が長くなりそうな上に🔞になりそうなので分割。
    お家に行こう◾︎scene1.体操

    「うぅ…今日も身体がバキバキだ…」
    「大丈夫かい、司くん。ほらこの千切りキャベツを分けてあげるからこのキャベツのようにしなやかに…」
    「なるかっ!!あ!おい!分けるどころか全部ではないか!!ああもうお前は…」
    「キャベツくんたちも司くんに食べてもらった方が嬉しいって言ってるから…『僕を食べてしなやかになってツカサクン♡』って…ね?」
    「……相変わらず野菜を避けるためならなんでもアリだなお前は…。まあ身体を動かした後で腹も空いているし、そこまで言うなら食べてやらんこともない」
    「フフ、それでこそ司くんだね♡」

    今日の森ノ宮でのレッスンを終えたオレと類は、夜ご飯を食べにファミレスへとやって来ていた。トンカツ定食を注文した類がよく分からん理由をつけて付け合せの野菜をオレに横流ししてきたが(毎度のことだが)、過酷なバレエレッスンを乗り越えた後だとこれくらい造作もないことであった。
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