ゆりお
DONE本編よりだいぶ後、ホシグマがチェンにプレゼントをする話。ホシチェン/アークナイツ「なんだこれは」
執務室の机の上、積まれた書類の山の隙間に置かれた細長い箱を見て、チェンは声を上げた。
目の前のホシグマは答えず、大きな身体で肩を竦めた見せた。広げたてのひらを差し出す。どうぞお開けください、とでも言うように。
チェンは怪訝な表情のまま箱を手にとった。パールホワイトの包み紙でラッピングされたそれは白いリボンが丁寧に巻かれている。およそこの無骨な近衛局には似つかわしくないものだ。自然と包みを剥がす手が丁寧になる。途中、ふとチェンは気付いた。シルバーでプリントされた柄、これはシュヴァルツスキーのロゴだ。
「プレゼントです」
そこで、ようやくホシグマが口を開く。
開けると、中には予想通り、ネックレスが入っていた。小ぶりのクリスタルをあしらったシンプルなデザインだが、ブランドからして安物ではない。
1196執務室の机の上、積まれた書類の山の隙間に置かれた細長い箱を見て、チェンは声を上げた。
目の前のホシグマは答えず、大きな身体で肩を竦めた見せた。広げたてのひらを差し出す。どうぞお開けください、とでも言うように。
チェンは怪訝な表情のまま箱を手にとった。パールホワイトの包み紙でラッピングされたそれは白いリボンが丁寧に巻かれている。およそこの無骨な近衛局には似つかわしくないものだ。自然と包みを剥がす手が丁寧になる。途中、ふとチェンは気付いた。シルバーでプリントされた柄、これはシュヴァルツスキーのロゴだ。
「プレゼントです」
そこで、ようやくホシグマが口を開く。
開けると、中には予想通り、ネックレスが入っていた。小ぶりのクリスタルをあしらったシンプルなデザインだが、ブランドからして安物ではない。
ゆりお
DONE不仲ではなかった頃の兄妹。シルバーアッシュとプラマニクス/アークナイツ 階下から音が聞こえ、編み目を数えていたエンヤは手を止めた。編み棒を傍のテーブルに置き、部屋を出る。階段を降りながら玄関を見れば、兄が雪のついたコートを従者に渡すところだった。
「お帰りなさい、お兄様」
「エンヤ」
兄は出迎えた妹の名を呼んだ。彼が笑うことは少ないが、口元がわずかに緩んだのがわかる。
「まだ起きていたのか」
「ええ、お兄様が帰ってくる日ですから」
「エンシアは」
「まだ戻っていません。今度の山は張り切っていましたから——あまりヤーカおじさまに迷惑をかけていなければいいのですけど」
お転婆な妹のことを考えて苦笑しつつ、さあ、とエンヤは兄の袖を引いた。
「冷えたでしょう。お茶を淹れますね」
昔に比べれば、使用人の数は随分と減ってしまった。けれどもエンヤは、密かに自ら身の回りのことをすることが好きだった。誰かに傅かれるより、大事な家族のために何かをしてあげたいと思う。兄の土産である紅茶の葉にお湯を注ぎ、その香りを胸いっぱいに吸い込む瞬間が幸せだと思う。
929「お帰りなさい、お兄様」
「エンヤ」
兄は出迎えた妹の名を呼んだ。彼が笑うことは少ないが、口元がわずかに緩んだのがわかる。
「まだ起きていたのか」
「ええ、お兄様が帰ってくる日ですから」
「エンシアは」
「まだ戻っていません。今度の山は張り切っていましたから——あまりヤーカおじさまに迷惑をかけていなければいいのですけど」
お転婆な妹のことを考えて苦笑しつつ、さあ、とエンヤは兄の袖を引いた。
「冷えたでしょう。お茶を淹れますね」
昔に比べれば、使用人の数は随分と減ってしまった。けれどもエンヤは、密かに自ら身の回りのことをすることが好きだった。誰かに傅かれるより、大事な家族のために何かをしてあげたいと思う。兄の土産である紅茶の葉にお湯を注ぎ、その香りを胸いっぱいに吸い込む瞬間が幸せだと思う。
ゆりお
DONEロサの首を絞めてあげるズィマー。ズィマロサ/アークナイツ グムは夜中に目を覚ました。
喉が渇いている。一度そう感じると堪らなくなってグムはベッドから這い出た。簡易キッチンで水を汲んで、ごくごくと一息で飲む。もう一杯。大丈夫、もう飢えたり渇いたりなんかしない。
人心地付いたグムは部屋の中を見渡した。うす暗い視界に、空のズィマーのベッドが見える。
「……グム?」
反対側からイースチナの声がした。
「どうしたんですか?」
「イースチナお姉ちゃん、ズィマーお姉ちゃんがいないよ」
「きっとトイレですよ」
返答は素っ気なかった。イースチナが手招きするのが見えて、グムは彼女のベッドの中に潜り込んだ。
安心する温かさと匂いに包まれて、グムはそのまま眠ってしまった。
*
1434喉が渇いている。一度そう感じると堪らなくなってグムはベッドから這い出た。簡易キッチンで水を汲んで、ごくごくと一息で飲む。もう一杯。大丈夫、もう飢えたり渇いたりなんかしない。
人心地付いたグムは部屋の中を見渡した。うす暗い視界に、空のズィマーのベッドが見える。
「……グム?」
反対側からイースチナの声がした。
「どうしたんですか?」
「イースチナお姉ちゃん、ズィマーお姉ちゃんがいないよ」
「きっとトイレですよ」
返答は素っ気なかった。イースチナが手招きするのが見えて、グムは彼女のベッドの中に潜り込んだ。
安心する温かさと匂いに包まれて、グムはそのまま眠ってしまった。
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ゆりお
DONEソーンズ視点のイベリアの話。※遅くなってすみません。全文公開しました。
ソーンズ/アークナイツ 黒い手袋をつけた手。ピンと伸びた人差し指がソーンズの頭部を差し示す。
「寝癖を直して」
ウィーディはいつものように丁寧に指摘した。言われた通り、彼は自分の固い髪を撫でつけた。ぴょこんと飛び出したひと房を見つけ、髪留めのゴムの中に無理矢理しまい込む。
彼女は頷いて納得を示した。指先は迷いを知らないように直線を描いて下を向く。
「あと、裾が捲れてる」
ソーンズは言われるままに、くるぶしが剥き出しになっていたズボンを直した。ついでとばかりにいていた糸くずを摘まんでポケットにしまう。感心したようにウィーディは頷いた。
「今日は素直だね」
「……目的のためだ」
ソーンズは端的に答えた。ため息交じりのそれを聞きつけた彼女の眉間に皺が寄ったことには気づかないふりをする。
7305「寝癖を直して」
ウィーディはいつものように丁寧に指摘した。言われた通り、彼は自分の固い髪を撫でつけた。ぴょこんと飛び出したひと房を見つけ、髪留めのゴムの中に無理矢理しまい込む。
彼女は頷いて納得を示した。指先は迷いを知らないように直線を描いて下を向く。
「あと、裾が捲れてる」
ソーンズは言われるままに、くるぶしが剥き出しになっていたズボンを直した。ついでとばかりにいていた糸くずを摘まんでポケットにしまう。感心したようにウィーディは頷いた。
「今日は素直だね」
「……目的のためだ」
ソーンズは端的に答えた。ため息交じりのそれを聞きつけた彼女の眉間に皺が寄ったことには気づかないふりをする。
こ〜らる
DOODLE英国の絵描きと平等院趣味で絵を描いている男が美しい鳥を見つけるお話
⚠︎モブ(英国の絵描き)視点
Twitterでフォロワーさんが話していたパトロン夢とは少し違いますが、一連のツイートを見た時に真っ先に浮かんだ物をお話にしました。 3471