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    MAIKINGだが遂に事は成った。後世においてどちらがどちらに魂を売ったと評されるのか我々には知る由もない。
    クロロレワンドロワンライ第43回「薔薇」「笑顔」  ローレンツの二度目の学生生活は一度目と同じく途中で終わってしまった。アドラステアでもファーガスでも国を揺るがすような一大事があったので仕方ないとは言え失望してしまう。流石に父エルヴィンも思うところがあったのかローレンツを様々なところへこれまで以上に連れ出すようになった。領内の視察もだがデアドラに行く機会も増えている。気分転換にも将来の領地経営の参考にもなった。

    「父上も僕も遊びに行くわけではないのだよ。父上と僕が留守にするのだからイグナーツくんと共にこの家と母上を守るのが二人の責務だ」

     子守りを頼むイグナーツに迷惑をかけるわけにいかないので自分たちも兄上の友達に会いにデアドラへ行きたいと言う弟妹たちをローレンツは慰めている。父相手には言えないことをこっそり聞くのも長子の務めなのだ。だがローレンツ自身としてもややこしいことになりそうなので円卓会議がある時に弟妹をデアドラに連れていきたくない。自分も含めて皆が甘やかしがちな末の妹にしっかりしたリシテアを見習って欲しくはあるのだが、などと考えていたローレンツの鼓膜を妹のクロード=フォン=リーガンに会ってみたいという聞き捨てならない言葉が叩く。
    1966