ウィー
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DONEレイチュリワンウィーク【恋煩い】
無自覚🦚と自覚有🧂の邂逅
病名をつけよう「ねぇレイシオ。君ってなんか……えぇっと、香水まで薬じみたものを使っていたりするのかい?」
「は?」
突飛にもほどがあることを問いかけてきたのはアベンチュリンだった。見た目と同様に頭の中までどこか常識が欠落しているのだろうか、などと疑問に思う時期はとうに過ぎていて、つまりは彼が本当にそれを疑問に思っているのだと分かってしまう。
「……例えば、どんな?」
だからなるべく平静を装って、問うた。見下ろした特徴的なネオンがぱちりと瞬く。例えば、と口の中で反芻して、今はその先の言葉を探しているらしい。細くしなやかで、しかし筋の見える指が口元に触れる。
「うーん……例えば、吸い込むと心拍数が上がるような薬、とか」
2765「は?」
突飛にもほどがあることを問いかけてきたのはアベンチュリンだった。見た目と同様に頭の中までどこか常識が欠落しているのだろうか、などと疑問に思う時期はとうに過ぎていて、つまりは彼が本当にそれを疑問に思っているのだと分かってしまう。
「……例えば、どんな?」
だからなるべく平静を装って、問うた。見下ろした特徴的なネオンがぱちりと瞬く。例えば、と口の中で反芻して、今はその先の言葉を探しているらしい。細くしなやかで、しかし筋の見える指が口元に触れる。
「うーん……例えば、吸い込むと心拍数が上がるような薬、とか」
bois
DONE「追いかけっこ」レイチュリワンウィーク#25
この🛀は、割と早い段階で🦚と戦パを組んで3~4回一緒に任務したくらいの設定。そして、まだ余裕のある時期の🛀君ですw ここから思い通りにいかない歯がゆさにもだもだすると良きかな()
しっかり筋肉ついてるように見えますが、まだ健康のための筋トレしかしてなくて、マッチョにはなりきれてない体格設定です^_^
fu_7club
REHABILI【セイニコ】休日デート、糖度(中)ウィークエンドシトロンってワードを使いたかった
ウィークエンドシトロンをきみと秋晴れが気持ちの良いニューミリオンの空の下。
久しぶりにオフが被ったセイジとニコは、日用品の買い出しに平日の街へ共に出かけていた。
お互い必要だった物も買い終わり、休憩がてらニコのお気に入りのオムレツが食べられるカフェで食事をする。
『セイジも食べて』とニコが一口分けてくれたチーズオムレツの味がとても美味しくて、また一緒に来ようねと約束を交わしてから店を後にした。
二人で買い物に出かけて食事をする…今まで何度も行ってきたことなのに、ニコとの休日デートだと考えると自然と心が弾んでしまう。
ぽかぽかと気持ちの良い天気も相まって、思わずスキップしたくなる気持ちをぐっと堪えたセイジは、日用品の入った紙袋を抱えて隣を歩くニコへ声をかけた。
1226久しぶりにオフが被ったセイジとニコは、日用品の買い出しに平日の街へ共に出かけていた。
お互い必要だった物も買い終わり、休憩がてらニコのお気に入りのオムレツが食べられるカフェで食事をする。
『セイジも食べて』とニコが一口分けてくれたチーズオムレツの味がとても美味しくて、また一緒に来ようねと約束を交わしてから店を後にした。
二人で買い物に出かけて食事をする…今まで何度も行ってきたことなのに、ニコとの休日デートだと考えると自然と心が弾んでしまう。
ぽかぽかと気持ちの良い天気も相まって、思わずスキップしたくなる気持ちをぐっと堪えたセイジは、日用品の入った紙袋を抱えて隣を歩くニコへ声をかけた。
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DONEレイチュリワンウィーク【くすぐったい】
これは想定外だった🧂の話
それは性感帯でもあるらしい「うひっ」
それは唐突に、小さな口から漏れ出てきた。捕まれてしまった足をぶんぶんと振り回してそこから逃れて、ソファの端まで逃げていく。この膝に無遠慮に乗り上げてきたのは、他でもない彼だというのに。
レイシオとアベンチュリンは恋人という関係にあった。お互いの家を行き来するような生活を続けていて、今はレイシオの家で食事も風呂も終えた後だった。読書にいそしむレイシオの膝の上に、風呂上がりの彼が端末片手に寝そべりに来たのだ。
膝枕であればまだかわいらしいだろう。そんな時期もあったのだ。何をするにもこちらの様子をうかがって、ほんの少しだけ欲をのせたうえで、なのに遠慮ばかりを携えて触れてくる。それがあまりにもいじらしくて、不覚にも愛しいと思ってしまって。慌てる彼をよそに抱き寄せたのはずいぶんと前だ。
2373それは唐突に、小さな口から漏れ出てきた。捕まれてしまった足をぶんぶんと振り回してそこから逃れて、ソファの端まで逃げていく。この膝に無遠慮に乗り上げてきたのは、他でもない彼だというのに。
レイシオとアベンチュリンは恋人という関係にあった。お互いの家を行き来するような生活を続けていて、今はレイシオの家で食事も風呂も終えた後だった。読書にいそしむレイシオの膝の上に、風呂上がりの彼が端末片手に寝そべりに来たのだ。
膝枕であればまだかわいらしいだろう。そんな時期もあったのだ。何をするにもこちらの様子をうかがって、ほんの少しだけ欲をのせたうえで、なのに遠慮ばかりを携えて触れてくる。それがあまりにもいじらしくて、不覚にも愛しいと思ってしまって。慌てる彼をよそに抱き寄せたのはずいぶんと前だ。
aprilapple16
MOURNINGバンドパロ。好きって色んな種類があるよねって話。ワンウィークので書き始めたはいいけれど、あれもこれもと詰め込んで書いてたら1週遅れの上終わらないし力尽きたのでいったん区切りでアップしておきます。後半もいつか書くつもり。
バンドパロ(前半)いつから好きになったのかなど考えるのが無駄なほど、それはもう当たり前のように好きになっていた。その声も、表情も、密かにかかえる孤独も、その存在ごと全て大切で守りたかった。
愛と呼ばれる繋がりを恐がり遠ざける彼の、信頼という繋がりの拠り所でいたかった。
けれど相棒として以上に膨らんでしまった自分のこの想いは、彼の忌避する愛そのものであり、拠り所を破壊するものでしかない。彼のその殻を叩く勇気もなければ、自分の想いをずっと秘めておく覚悟もできなかった。
──だから、陆光は程小时のそばから離れることにした。
程小时の幼い頃の記憶の大半は喬家で占められている。
程小时の両親もまた音楽をこよなく愛し、彼らの音楽も人々から愛されていた。それゆえ世界を飛びまわり家を留守にすることが多く、程小时はずっと寂しい思いをしていた。
12475愛と呼ばれる繋がりを恐がり遠ざける彼の、信頼という繋がりの拠り所でいたかった。
けれど相棒として以上に膨らんでしまった自分のこの想いは、彼の忌避する愛そのものであり、拠り所を破壊するものでしかない。彼のその殻を叩く勇気もなければ、自分の想いをずっと秘めておく覚悟もできなかった。
──だから、陆光は程小时のそばから離れることにした。
程小时の幼い頃の記憶の大半は喬家で占められている。
程小时の両親もまた音楽をこよなく愛し、彼らの音楽も人々から愛されていた。それゆえ世界を飛びまわり家を留守にすることが多く、程小时はずっと寂しい思いをしていた。
bois
DOODLEレイチュリワンウィーク#23 お題「プロポーズ」2~3時間しか時間がなくてイキオイで描いたらくがき(^_^;)
🛀には、考えすぎて一周回ったよくわからないヘンなプロポーズをして欲しいw
bois
DONEレイチュリワンウィーク#23先週Xで公開したものに加筆と続き3Pを描き下ろし。
式は、身内やごく親しい人、とてもお世話になった人達だけでこじんまりとした人前式のイメージです。
⚠️同性婚、2人の髪型変更、🛀の捏造両親が出てきます。なんでも笑って許せる方向け。 5
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DONEレイチュリワンウィーク【プロポーズ】
いちばん大切なものをつかみに行く🧂の話
大勝負「へ」
「は?」
決して急だった訳では無い。初めこそ事故だったもののゆっくりとこの関係をひとつずつ進めて、深めて、満を持してその話を持ち出した。そのはずだったのだ、レイシオの認識では。
しかし目の前で特徴的なネオンを見開く彼にとっては違ったのかもしれない。ぽかん、と間抜け面ともいえるそれを晒して、アベンチュリンは仕事用の端末片手にただただレイシオを見やっている。
「……聞こえなかったか」
「ぇ、あ……そ、そうかも」
「ではもう一度言おう。……君の薬指につける指輪を選びに行きたい。空いている日はないか」
そして今度は明確に、その瞳が困惑に揺れた。同棲しているこの家のソファで、彼が連れてきた小さな命と戯れながら。ここまで関係が進んでいるのに予想していなかったのだろうか。まさかこの先の関係を知らないわけでもないだろう。いや、その可能性がない訳ではないのか。
2412「は?」
決して急だった訳では無い。初めこそ事故だったもののゆっくりとこの関係をひとつずつ進めて、深めて、満を持してその話を持ち出した。そのはずだったのだ、レイシオの認識では。
しかし目の前で特徴的なネオンを見開く彼にとっては違ったのかもしれない。ぽかん、と間抜け面ともいえるそれを晒して、アベンチュリンは仕事用の端末片手にただただレイシオを見やっている。
「……聞こえなかったか」
「ぇ、あ……そ、そうかも」
「ではもう一度言おう。……君の薬指につける指輪を選びに行きたい。空いている日はないか」
そして今度は明確に、その瞳が困惑に揺れた。同棲しているこの家のソファで、彼が連れてきた小さな命と戯れながら。ここまで関係が進んでいるのに予想していなかったのだろうか。まさかこの先の関係を知らないわけでもないだろう。いや、その可能性がない訳ではないのか。
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DONEレイチュリワンウィーク【チェックメイト】
ゆっくり追い詰めてく🧂と自ら飛び込んでしまう🦚の話
飛んで火にいる 好きな人がいるらしい。あのお堅いべリタス・レイシオに、想い人が。なんて面白く興味をそそる話題なのだろう。そう思ってアポも無しに彼の研究室を訪れたのは、もうかれこれ数ヶ月前の話だった。
その話題を出したところでこの関係が消える訳ではない。だってこれはカンパニーが勝手に組んだ交友関係であり、いやそれ以下の関係か。ただのビジネスパートナー。仕事で関わることが無くなれば、アベンチュリンに『アベンチュリン』としての価値がなくなれば、跡形もなく消えてしまうだけの関係性。
だから何をしようが構わないだろう。好きの対義語は無関心と言うし、彼の『好き』には絶対に属さないのだからせめて無関心よりはましな場所へ。そう思って、彼によく関わるようになった。これはただの延長線上だったのだ。
3010その話題を出したところでこの関係が消える訳ではない。だってこれはカンパニーが勝手に組んだ交友関係であり、いやそれ以下の関係か。ただのビジネスパートナー。仕事で関わることが無くなれば、アベンチュリンに『アベンチュリン』としての価値がなくなれば、跡形もなく消えてしまうだけの関係性。
だから何をしようが構わないだろう。好きの対義語は無関心と言うし、彼の『好き』には絶対に属さないのだからせめて無関心よりはましな場所へ。そう思って、彼によく関わるようになった。これはただの延長線上だったのだ。
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DONEレイチュリワンウィーク【月夜】
遠征先の星で初めて月を知った🦚と片思い🧂
知識不足と失念「あれ、星とは何が違うんだい?」
細い指が空に浮かんだそれを指し示した。雲がほとんどない夜空に浮かんでいる、美しく大きな月。そしてそこで思った。そうか、彼はあれを知らないのか。
「……月、だな」
「つき?」
「星との違いといえば、あれが惑星であるということだろうな」
「惑星……って、なんかを起点にぐるぐる回ってるってことかい? あれが?」
「そうだ。月と呼ぶものは、月という名称を付けた星を起点としている。つまりこの星で月と呼ばれる惑星は、この月を起点にして回っている惑星、ということだ」
「へぇ」
ぱちん、と美しい虹彩を携えた瞳が夜空へと向けられている。そこに浮かぶのは大きな、それこそ他の星ではあまり見られないほどの大きな月。その明るさもさることながら、肉眼でもその模様が見えるくらいにはよく見える。
2513細い指が空に浮かんだそれを指し示した。雲がほとんどない夜空に浮かんでいる、美しく大きな月。そしてそこで思った。そうか、彼はあれを知らないのか。
「……月、だな」
「つき?」
「星との違いといえば、あれが惑星であるということだろうな」
「惑星……って、なんかを起点にぐるぐる回ってるってことかい? あれが?」
「そうだ。月と呼ぶものは、月という名称を付けた星を起点としている。つまりこの星で月と呼ばれる惑星は、この月を起点にして回っている惑星、ということだ」
「へぇ」
ぱちん、と美しい虹彩を携えた瞳が夜空へと向けられている。そこに浮かぶのは大きな、それこそ他の星ではあまり見られないほどの大きな月。その明るさもさることながら、肉眼でもその模様が見えるくらいにはよく見える。
bois
DONEレイチュリワンウィーク#19 お題「家族」「無意識」まだ両片想い時期です。あまりの可愛さに、🛀は「とりあえずは、それでもいいか…?」と一瞬考えましたが、最終的には愚息が納得しなかった模様です() 2
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DONEレイチュリワンウィーク19回【無意識】
付き合ってない2人
大概にしろ それはあくまで癖、のようなものなのだと思う。一歩近づくと、一歩離れる。それは物理的なものであり、それでいて概念的なものでもあった。つまりは近づこうとしても近づけないのだ。その距離はずっと変わらずに、縮むことがない。
「教授?」
こてり、首をかしげてこちらを見上げるような仕草はあどけなささえ感じさせるのに、その瞳だけは酷く冷徹だった。触れればこちらが怪我をするような危うささえあって、踏み込むことだって躊躇われて。
「どうしたんだい」
「いや」
そう思っていたのはいつのことだろう。ちか、ちか。下から見上げるその瞳が瞬くようで、しかし不審がられないようにその手元の資料に視線を戻す。これは数日後に共に赴く星のもので、そこの文化文明や政治に関する情報を確認していたのだ。レイシオの傍に、彼を寄りかからせるようにして。
2243「教授?」
こてり、首をかしげてこちらを見上げるような仕草はあどけなささえ感じさせるのに、その瞳だけは酷く冷徹だった。触れればこちらが怪我をするような危うささえあって、踏み込むことだって躊躇われて。
「どうしたんだい」
「いや」
そう思っていたのはいつのことだろう。ちか、ちか。下から見上げるその瞳が瞬くようで、しかし不審がられないようにその手元の資料に視線を戻す。これは数日後に共に赴く星のもので、そこの文化文明や政治に関する情報を確認していたのだ。レイシオの傍に、彼を寄りかからせるようにして。
初春おもち
DONE灰七ワンウィークお題。夜/半分/夏。より、お題、全部盛り。#灰七ワンウィーク企画
私の半身目に痛い夏の日差しが通り過ぎて、秋の気配が漂うようになってくる夏の夜。
もう0時を回ったというのに、東京の街の灯りは神々しく、とても強い。そして、その光が強い程、闇も濃くなる。そんな欲望渦巻く東京には呪霊が湧きやすい。けれど、今、そんな七海は日常から離れて、ホッと息をつき、東京の街の夜空を見上げている。
この季節になると、2006年の夏の夜の事を思い出す。高専一年の七海がまだ若かった頃、灰原と夜中に寮を抜け出して、高専裏手の山に行った時の事を。
七海はグラスの酒を煽ると、「ふぅ」と息をつく。ガラス張りの机の上には、灰原と七海が仲良く写っているⅬ判写真が、透明なガラスケースに入れられて飾られている。
「灰原、私の半身」
4281もう0時を回ったというのに、東京の街の灯りは神々しく、とても強い。そして、その光が強い程、闇も濃くなる。そんな欲望渦巻く東京には呪霊が湧きやすい。けれど、今、そんな七海は日常から離れて、ホッと息をつき、東京の街の夜空を見上げている。
この季節になると、2006年の夏の夜の事を思い出す。高専一年の七海がまだ若かった頃、灰原と夜中に寮を抜け出して、高専裏手の山に行った時の事を。
七海はグラスの酒を煽ると、「ふぅ」と息をつく。ガラス張りの机の上には、灰原と七海が仲良く写っているⅬ判写真が、透明なガラスケースに入れられて飾られている。
「灰原、私の半身」
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DONEレイチュリワンウィーク18回
お題【かくれんぼ】
オメガバース
ヒート中に隠れ癖のある🦚の話
人工の巣 一種の強迫観念だった。それはアベンチュリンの中にずっと蔓延っていて、番を得た今でも変わっていない。いや、ずっとというのは語弊がある。まだツガンニヤにいたときは、姉といたときは、Ωではなかったときは。そんなのは思ったこともなかったのだから。
一人ベッドの上で目を覚ますのはいつものことだ。それに絶望を感じることに絶望する、なんて博識な友人に言ったら呆れられるだろうか。でも今は許してほしい。ヒート中は、どうしても世界のすべてが敵に見えてしまうので。
「……かくれなきゃ」
目に入るものすべてが敵だった。初めてヒートを迎えた日、アベンチュリンはまだ『アベンチュリン』ではなかった。そのうえ『カカワーシャ』でもなく、つまりはただの番号でしか認識されていなくて。そんな奴隷が、Ωであるとも知られていない奴隷が、ヒートを迎えたら。そんなのは主人の格好の玩具でしかない。
2533一人ベッドの上で目を覚ますのはいつものことだ。それに絶望を感じることに絶望する、なんて博識な友人に言ったら呆れられるだろうか。でも今は許してほしい。ヒート中は、どうしても世界のすべてが敵に見えてしまうので。
「……かくれなきゃ」
目に入るものすべてが敵だった。初めてヒートを迎えた日、アベンチュリンはまだ『アベンチュリン』ではなかった。そのうえ『カカワーシャ』でもなく、つまりはただの番号でしか認識されていなくて。そんな奴隷が、Ωであるとも知られていない奴隷が、ヒートを迎えたら。そんなのは主人の格好の玩具でしかない。
bois
DONE【花に託す想い】レイチュリワンウィーク #17 お題「ラブレター」
※花の形や花に関するもろもろは捏造設定です。
🛀が、付き合い始めてから初の長期出張に行った時の手紙。ここから2人の新しい習慣ができていくといいな~というマンガ☺️
あと🦚の服装は、個人的趣味により「内勤だけの時はスーツ」という設定ですw 3
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DONEレイチュリワンウィーク17回
お題【おうちデート、ラブレター】
付き合ってちょっとたってる2人の話
殴り書きの恋文 それは本当に珍しい光景だった。レイシオが不在であろうとも入って構わないと言ってはいたものの、まさかここまで気を許されているとは思っていなかったのだ。すぅ、という吐息、見えなくなった特徴的な虹彩。机に突っ伏しているせいで上下する肩。眠っている、らしい。
今日まで遠征だという話は聞いていた。だから今日の夜は会いたいと言う彼に、外での予定ではなく家でゆっくりすることを提案したのだ。数ヶ月前に渡したこの家の鍵を使わせたいという算段もあった。どうにも、勝手に上がり込むということに抵抗があるらしいので。
「……アベンチュリン?」
問いかけてみても答えはない。当たり前だ。起こすための声ではなく、ただただ確認するためだけの声。当の本人である彼は呑気にまたすぅ、とその寝息を響かせた。
3909今日まで遠征だという話は聞いていた。だから今日の夜は会いたいと言う彼に、外での予定ではなく家でゆっくりすることを提案したのだ。数ヶ月前に渡したこの家の鍵を使わせたいという算段もあった。どうにも、勝手に上がり込むということに抵抗があるらしいので。
「……アベンチュリン?」
問いかけてみても答えはない。当たり前だ。起こすための声ではなく、ただただ確認するためだけの声。当の本人である彼は呑気にまたすぅ、とその寝息を響かせた。
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DONE鋭百ワンスアウィーク第94回『鍵』シアタールームの二人です。あと一歩で鍵を取り逃す鋭百。(2024/8/25)
暗がりに栞を挟んで あ、という声が重なった。真っ暗になった空間で、百々人と鋭心はお互いを探すように手を彷徨わせた。こつりと手が触れて、二人は肩を撫で下ろす。
先程までミステリ映画を映していたスクリーンは何の光も得ることはなく、緊迫したBGMを流していたスピーカーは完全に沈黙していた。シアタールームの照明はもともと消していたが、一応スイッチを入れても電気が点くことはない。
「この辺り全部がダメみたい。雷のせいかな?」
スマホを見ながら百々人が言う。そうか、と呟いた鋭心は百々人と同じように困惑しつつも苦く笑うしかない。どうやらこの付近一帯が停電しているようだ。
「すごいタイミングで停電したね」
「ああ、映画のようなタイミングだな……」
2194先程までミステリ映画を映していたスクリーンは何の光も得ることはなく、緊迫したBGMを流していたスピーカーは完全に沈黙していた。シアタールームの照明はもともと消していたが、一応スイッチを入れても電気が点くことはない。
「この辺り全部がダメみたい。雷のせいかな?」
スマホを見ながら百々人が言う。そうか、と呟いた鋭心は百々人と同じように困惑しつつも苦く笑うしかない。どうやらこの付近一帯が停電しているようだ。
「すごいタイミングで停電したね」
「ああ、映画のようなタイミングだな……」
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DONEレイチュリ🧂🦚ワンウィーク 16回目
夢
夢か現か「……アベンチュリン?」
そう問われて、夢か、と何か納得するようなものがすとんと落ちてくる。見上げる彼の顔は至近距離にあって、先ほどまで温度を感じていたその場所をそっと指先で触れてみた。少し湿っていて、あたたかくて、それでいてかさついていなくてよかったとどこかで思った。彼のそれは、自己管理を怠らない彼らしくふわりとしていたから。
「……さすがに無言のまま無反応でいられると、僕もいたたまれないのだが」
「え……あ、うん。ごめんね」
そう言えばぐ、ときれいなかんばせの中心に皺が寄る。ごめんって言っているのに。だって、何を言っていいかが分からないのだ。
そもそもこれは夢だろう。夢とは人の願望を表すことがあるという。何を隠そうアベンチュリンは目の前の彼に、このベリタス・レイシオという人に懸想してしまっているので。分不相応だと自分でも思う。だから伝えるつもりだってなかったし、伝えたつもりも露見させてしまった記憶もない。
3932そう問われて、夢か、と何か納得するようなものがすとんと落ちてくる。見上げる彼の顔は至近距離にあって、先ほどまで温度を感じていたその場所をそっと指先で触れてみた。少し湿っていて、あたたかくて、それでいてかさついていなくてよかったとどこかで思った。彼のそれは、自己管理を怠らない彼らしくふわりとしていたから。
「……さすがに無言のまま無反応でいられると、僕もいたたまれないのだが」
「え……あ、うん。ごめんね」
そう言えばぐ、ときれいなかんばせの中心に皺が寄る。ごめんって言っているのに。だって、何を言っていいかが分からないのだ。
そもそもこれは夢だろう。夢とは人の願望を表すことがあるという。何を隠そうアベンチュリンは目の前の彼に、このベリタス・レイシオという人に懸想してしまっているので。分不相応だと自分でも思う。だから伝えるつもりだってなかったし、伝えたつもりも露見させてしまった記憶もない。
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DONEレイチュリ🧂🦚ワンウィーク 15回目
体格差
毒に冒される 別に知らなかったわけではない。隣に並んだ時の視線の高さが違うことには気付いていたし、下を見下ろせば足の大きさだって違う。手の大きさだって彼の方が一回り以上大きくて、腕の太さに関しては二回りじゃ足りないだろう。そう、だからちゃんと理解はしていたのだ。
「ぁ、」
けれど、それを実感したのは今だった。彼との想いをあたたかな何かでつなぎ合わせてから初めてこの部屋に招いて、それぞれに風呂を済ませた今。ちいさな三つのかわいい子たちも今は別の部屋で眠ってもらっている。そのための寝床をわざわざ用意したのだ。だから今からは二人っきりで、つまりはそういうことをしようと、思っていて。それは多分レイシオも一緒で。
そしてぽすり、とベッドに押し倒された。彼に覆いかぶされるようにして寝転がったそこからはきれいな赤色と天井が見える。そこでようやっと、今更ながらに気が付いたのだ。本来であればこれは『アベンチュリン』が避けるべき体勢である、ということに。だってこんな大柄な男に押し倒されてしまえば、小柄であるこの身では到底太刀打ちができない。ある程度は体術を仕込まれたし今は基石だって手元にあるけれど、それを鑑みたところで危機であることに違いはないのだ。だからこれは、脳が警鐘を鳴らしてしかるべきで。
3249「ぁ、」
けれど、それを実感したのは今だった。彼との想いをあたたかな何かでつなぎ合わせてから初めてこの部屋に招いて、それぞれに風呂を済ませた今。ちいさな三つのかわいい子たちも今は別の部屋で眠ってもらっている。そのための寝床をわざわざ用意したのだ。だから今からは二人っきりで、つまりはそういうことをしようと、思っていて。それは多分レイシオも一緒で。
そしてぽすり、とベッドに押し倒された。彼に覆いかぶされるようにして寝転がったそこからはきれいな赤色と天井が見える。そこでようやっと、今更ながらに気が付いたのだ。本来であればこれは『アベンチュリン』が避けるべき体勢である、ということに。だってこんな大柄な男に押し倒されてしまえば、小柄であるこの身では到底太刀打ちができない。ある程度は体術を仕込まれたし今は基石だって手元にあるけれど、それを鑑みたところで危機であることに違いはないのだ。だからこれは、脳が警鐘を鳴らしてしかるべきで。